-確認-
木々に囲まれた森の中で俺は膝立ちで呆然としていた。
一瞬の間に、沢山の出来事が起きたからか、正常な判断が出来ていない。
時系列に起きたことを考えてみると…
いきなり、空に瞬間移動させられて、地面に叩きつけられて、
腕と足が完全に折れていた体に何かをされて…
スクッと立ち上がり、自分の体を改めて見直した。
着ていた服のほとんどが汚損しており、全身が血塗れになっている。
シャツの右腕は上腕二頭筋の場所から完全に裂けており、左腕部分は穴が開いていた。
落下した際に飛び出した四肢の変形、骨により貫通した損傷だろう。
血で浸った青いシャツは紫色になっており、体中がベタベタになっていた。
しかし、こんなに大量に出血したら確実に死んでいる筈だと思うが。
ズボンやシャツの上から手で体をさすりながら様子を確認する。
足触った時に血液がべっとりと付着していた靴下は不快だったので脱ぎ捨てた。
客観的に自分を確認すると素足に血で装飾された革靴、
破けたズボンとシャツのワイルド紳士スタイルという人には会えない格好である。
しかし、体が正常に動くか確認したほうが良さそうだな…
立ち上がり、両手でグーパー運動を行う。
拳は握れるようだった。いや、こんなに俺は拳を強く握れたか?
明らかに体が軽い気がする。若返っているかのように
この漲っている力を試すように
周りを見渡した際に地面に落ちていて気になったエメラルド色の石を拾い、握ってみる。
徐々に力を強めて握っていくとパキパキといった音を立てて石が砕けた。
「は? なんだこの握力は…」
俺はゴリラかチンパンジーにでもなったのか?
現在進行形で、人としておかしくなっている気がする。
破れたシャツやズボンをめくり、四肢を全て確認してみたが治っている。
エイリアンのような異質な腕や足にもなっていなかった。
化け物のようになっていなかったことに安堵はしているが、
体が元に戻っていることには納得は出来ていない。
そういえば…治る前に全身を水が纏っていた様な気がしたが…アレはなんだったのだろう。
いや、それよりもここはどこなんだ?
空から落ちた時に明らかに広いジャングルのような森に落ちた気がする。
少し歩いて周りを見渡すが、変な木々しか見えなかった。
とりあえず、ここを抜けよう。
しかし、ジャングルって、アマゾンにでもいるのかな…
アマゾンって…肉食獣いるんじゃねえのか。
テレビやネットの中で見た肉食獣の捕食光景を思い出す、
冷汗が垂れ、ゆっくりと歩くことを決意した。