結.
結.
結果。これが結末なのか。
ちょっとしたいたずらじゃないか!
そう怒鳴りたい気持ちは穴、それも小さな穴のあいた風船のように萎んで消えた。
・・・こつん、こつん・・・、・・・こつん。
かぶっているのに、聞こえる。
固いモノが、他の固いものにあたる音が。
熱帯夜に潜り込んだというのに止まらない。
がたがたと動いてしまう体の震えが。
ぶーん。
ひっ!
枕元で急に始まった、もう1つの震えに思わず息を飲む。
暗い暗い部屋の闇を切り取る四角い光。
恐る恐る手を伸ばしたスマホに表示されている数字は222=丑三つ時。
───来てるか?
主語が省かれたツレの質問。
聞くなよ。
窓の外。カーテン越しに見える重なった楕円の影はまるで・・・。
───聞こえるよな?
だから、聞くなって!
まぁるい、まぁるい影にぶら下がった四角い影は・・・。
ザー 右往左往しましたけどついに到着しました足湯
ザー ラストフードだ。覚悟を決めろよ? アイセル
ザー 明暗が別れたのが信長の妹と結婚した浅井長政
ザー 飼育下でよく見落とされてしまうのが実は鍵穴
ザー やにわに立ち上がりだんだんと踏み鳴らしおい!
チューニングする人はいないのに。
十三階の窓の外に人はいないのに。
次々と切り替わるラジオの音声は、ところどころタイミングを合わせて伝えてくる。
言いたい事を、伝えて、くる。
───もう、俺キレた。
何をする気だ?
───たかが風船とラジオじゃねえか! 割っちまえば!
おい。バカ! 止め──。
がらり、と窓を開けた音。
えい! やあ! と勇ましい掛け声が止む。
代わりに聞こえてきたのは。
スマホ越しに遅れてきた、窓の外と同じ。
どこか、歪んだ放送。
俺は、震える指でスマホの表面をなぞった。