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俺にしか興味がない!?

「分かったよ、清瑞(きよみず)さん」

「わーい、やった!」


 QRコードで登録し、ついに俺の『友達リスト』に女の子が追加された。はじめてがまさかの『清瑞(きよみず) (あや)』になろうとはな。未だに信じられない。これは夢か!?


 頬を引っ張っても痛かった。

 これは現実だ。


「よろしく……でいいのかな」

「うん、ありがとね。――って、もうお昼だね」



 ちょうど昼を知らせるチャイムが鳴った。腹が減ったと思ったら、そうだったか。俺は食糧保管庫になりつつある(かばん)からパンを取り出した。


 すると清瑞が少しキョトンとしていた。



「ん? 食べる?」

「え、くっしーって鞄の中にいつもパン入れてるの?」


「三個程度を常備しているよ。朝、昼、三時のおやつ用。ほら、食堂へ行くの面倒じゃん。だから予めコンビニで買ってある。これで焼きそばパンの争奪戦に参加しなくていいわけさ」


「ぷ……あははは。焼きそばパンの争奪戦って、そんなの今時ないよ~。くっしーって面白いね」



 真面目に笑われたというのに不快感はゼロ。むしろ笑顔を向けられて俺は顔を赤くして、照れまくってしまった。清瑞って笑うと可愛いな。


 俺はそんな清瑞に『あんパン』か『いちごジャムパン』を選ばせた。すると彼女は『いちごジャムパン』を選択。手渡した。



「お近づきのしるしだ」

「ありがと」



 だから笑顔が素敵すぎるって。

 俺にとっては宝石だ。

 ありがたすぎて拝んでしまいそうだ。



 そんな時、屋上に珍しくお客がやってきた。あれは……同学年の男子生徒か。名前は覚えちゃいないが見覚えはあった。



「あれぇ~、清瑞さんじゃん。屋上にいたんだ」



 なんか茶髪のチャラいやつが清瑞に接近していた。うわ、絡まれると面倒臭そうなヤツだ。でも、清瑞はああいうタイプが――アレぇ?


 清瑞のヤツ、すげぇ面倒臭そうな顔してる。マジか。



「あー…隣のクラスの小石くんね」

「名前覚えてくれたんだ! 清瑞さん、俺とライン交換してくれる約束考えてくれた?」

「……は? そんな約束してないし」


「いいじゃん、別に~。……ところで、その男なに? 不登校のヤツだよな」



 小石とかいう男子生徒は俺を睨む。こっち見んな。そんな恨めしそうに視線を送られても……何なんだよッ。俺に出来る事といえば視線をそらすくらいだ。



「あたしと藏屋敷(くらやしき)くんは付き合ってるから。邪魔しないで」

「……なッ。嘘だろ、そんな根暗と?」


「もういい。行こ、くっしー」



 俺は、清瑞から腕を引っ張られて強制連行。まさかここまで(かば)ってくれるとか思わなかった。



「おいおい、そんなヤツと付き合うくらいなら俺と付き合えよ、清瑞。俺は実家が金持ちだから、カラオケとか奢ってやるぞ」


「……興味ないし。あたしが興味あるのは藏屋敷(くらやしき)くんだけ」



 小石に対し、吐き捨てるように言って清瑞は俺を引っ張っていく。悔しそうに唇を噛み、最後まで俺を睨む小石。だから、そう(ねた)まれても困るんだが。

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