ライン交換
清瑞は剣士系の最高クラス『パラディン』がメインのようで、ごっつい男で聖剣を振り回していた。なんとレベル『72』もあった。
「EOやり込んでいるんだね、清瑞さん」
「うん、家でよく遊んでるよ。ずっとソロでさあ、友達が欲しかったんだよね」
ソロだって? 信じられないな。このEOは経験値テーブルが鬼畜でレベリングが大変なゲーム。パーティ推奨型なんだけど、ソロで70まで上げるとか凄すぎる。俺なんか『55』だぞ。何度も死んでデスペナ食らっているのになあ。
高レベルの清瑞とフレンドになれて良かった。てか、女の子のゲーム仲間が増えるとか嬉しすぎる。
EOのフレンド登録を済ませた。
清瑞のキャラネームは『ヴェラチュール』というようだ。なんかカッコイイな。
「登録完了っと。ついに俺のフレンドリストに友達が……」
「あたしも初めてだよ。同じだね」
「そ、そうなの? ガチのソロかよ」
「そう言ってるでしょ~。あ、ついでだし『ライン』も登録してよ」
「へ……」
唐突な提案に俺はギョッとした。……ラインってあのラインだよな? 無料通話アプリの……。あんなの家族としか使った事ないんだが。
「ほらほら、くっし~」
「ああ、うん。って、くっしー?」
「もう、あたしとくっしーそういう仲じゃん」
と、清瑞は自然に笑った。なんてまぶしい笑顔だよ。可愛い、惚れてしまう……。てか、ギャル特有のノリに俺はすっかりハマっていた。最初はどう接していいか分からなかったけど、なんか……悪くないな。
「か、考えておくよ」
「え~、今登録しようよ」
か、顔が近い。良い匂いもするし、どうすればいいんだ俺。でもそうだな、女の子からのお誘いなんて人生で初めて、これを逃したらもうないかもしれない。勇気を出してみよう……。