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アリシアから見て

第85話 アリシアから見て


俺が、次の日にアリシアに会ったときに、ありがとうと言った。




アリシアは、うん…とだけ答えていた。




また、何かあったときに頼ってねと言われた。






アリシアの視点




私の両親が村で襲われて死んだときにはすごいショックだったけど、しばらくして変わったのは小さい時から知っているクリスの事。




私がゴブリンに襲われて傷を負って、倒れたんだけど出血がひどくて気を失いながら、クリスは1人ゴブリンに向かっていたみたいだ。




ゴブリンから腕に傷を負わされて、クリスが何かを叫んでいたような気がした。




そしてクリスが叫ぶのをやめてから、なんだかクリスが変わったような気がした、落ち着きだしたというか魔物と対峙しているのに余裕があるように感じがした。




そしてクリスが魔物に向かって走り出して棒を手に持った途端、魔物に捧を振りかざして倒してしまった。




その時のクリスは、すごく早くて驚くくらい動きが今までと違った。





薄れゆく意識が目の前のことを現実として捉えることができなくても、目を覚ました時にクリスが近くに来ていて自分の体が温かくなって楽になっていくのを感じてた。




1度も受けた事はないが、魔法の回復させる力のように感じた。




でもクリスが、そんな魔法を使えるわけないし。




怪我をしたから、夢を見たのかなと思ったけど、自分の洋服についている血の量で夢じゃないと感じた。




そしてクリスも怪我をしたみたいで洋服が血だらけだったが、痛がっている様子もなく普通にしていたので、あれと言う感じだった。




どこかがおかしい?




何かが変だ




でも、その何が変なのかが、わからない。




そういうことがあって、しばらくしたらクリスが冒険者になりたくて家を出て行った。




自分もついていこうとしたが、クリスの邪魔になるから今はやめたし、自分を引き取って育ててくれたクリスの両親に恩返しもしたかった。





そしてしばらくして、クリスが村に戻ってきて、自分も冒険者になりたいと言ってクリスについて行った。




クリスには冒険者の仲間が女の子だけど3人いた。




冒険者仲間の女の子は、とても自分によくしてくれたので、すぐに仲良しになれた。




特に少し年長者のソフィアと、コリンとイザベラは、気さくでとても話しやすく優しかった。




初心者の自分にとても優しくしてくれた。




そんな時に冒険者ギルドで依頼を受けることになって馬車の護衛をすることになる。




護衛途中で、盗賊に襲われそうになったんだけど、ほとんどクリスが撃退した。




クリスの真剣な眼差しを久しぶりに見た。




私はドキドキした。




そういうことがあって王都に着いたんだけど、実は護衛をしていたのが王国のお姫様だったんだ。私は同じ場所にいたので知っていたんだけど、なぜかクリスだけは知らなかったみたいだ。




でもそのクリスが王都に着いてから、大変なことをやらかした。




大変なことをやらかしても王様に感謝されたので、どこでどうなったのかわからないけど貴族の伯爵の位をもらった。




本当に、なんだかよくわからない!




クリスは自分からペラペラ喋る方じゃなかったけど、私がお姉さん肌で守ってあげたかったのに。




なんだか最近のクリスは、大人びてる時もあれば、そうじゃない時もあるけど、以前より成長したのかなと思っていたが、とんでもなかった。




でも、あの晩、


なかなかクリスが地下2階から出てこないので普段は行かないんだけど、廊下まで来ているところでクリスの泣いているような声が聞こえた。




ドアには鍵がかかっていたのでノックをして中に入れてもらうと、やはりクリスは泣いていた。




事情を聞かなかったけど、いつまでもクリスは泣き止む事はなかった。




こんな時は昔のクリスのままだねと、心の中で思った。




ソファーに座ってクリスの手を握ってあげていると、しばらくすると落ち着いてきたみたいだ。




なんだか初めの時は震えていたから。




手も、すごく冷たくなっていた。




私がクリスの両手を持って、私の手で温めてあげた。




しばらくすると本当にクリスは落ち着いてきたので、ありがとうとだけ言われて、部屋を出た。




私は自分の部屋に戻ってきても、今あったことが忘れられないで、繰り返し繰り返し走馬灯のように思い出していた。




だって村から出てきたときに、今あるようなことが夢みたいなんだもの。




こんな大きな屋敷に住んで、クリスが伯爵になるし、王族のお姫様と友達になるし、それもこれもクリスがいたからだ。




自分の胸に組んだ両手を置いていると胸の中が暖かくなってきた。




初めてあんなに長い時間クリスと手をつないでいたし、クリスの頭が自分の胸に当たっていたことを恥ずかしく思った。




こんな思いは初めてだった。

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