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ライラを思う

プロローグ(前世のアルベルト編)8


ライラ姫を守る事ができた俺は、国の有名人になってしまった。


逃げた三人を皇太子に話して捕まえることも成功したけど、姫を暗殺しようとしたのはこの国の者ではなく、隣国の暗殺者だった。


ライラを狙った理由はわかっていない、と言うか、知っていなかった。


暗殺に来たのは末端だったため、隣国が狙ったと言う理由はわからずしまいだ。


最近、隣国のスタンリー王国からライラを妃に欲しいと言って来たそうだ。それをライラたち王族は断ったらしい。


それは当然だと思う。自分の国の可愛い姫を50すぎのおっさんの側室に欲しいと言われて、はいそうですか、とは言えない。


しかも正室が5人、側室が10人以上いるそうだから、ふざけんなって俺も思った。


今はスタンリー王国にガルシア帝国が戦争を仕掛けてきていると王子からも言われてた。


隣の国にガルシア帝国が攻め込んできて、スタンリー王国は負け戦争になってきているそうだ。


もしかしたらスタンリー王国が完全に負けてしまうと、このルーファス王国も危なくなると王子が話してくれた。


スタンリー王国も今、妃になることを断ったライラを狙っている時間はないと思うんだけど。


自白をさせる専門の魔法師を使ったそうだけど、そんな魔法もあるんだと気づいた。



俺はライラ姫を守った功績と魔法の才能が認められて、王国に4つある魔法師部隊の指揮官を最年少の19歳で任命される。


もちろん寝る部屋は、そのままライラ姫の横の部屋を使っていいと言われて、ライラからの頼みで警護も任務になる。


昼間は忙しく部下になった者を鍛えて、魔法を上達させることをしながら、夜はライラと話すこともあったけど、時間が取れにくくなった。


「ライラ、ごめんね。最近忙しくて時間、作れなくて‥‥‥」


「ううん、良いのよアル。アルが忙しいのは良いことだもの。しっかり兵隊さんを鍛えてね」


「まぁ、強くなるのは時間がかかるけどね」


「そうなの?」


「うん、そうだよ。俺の技術を教えてもできないからね」


「アルは、普段から簡単そうに魔法を使っているけど、魔法って大変なんだね」


「そうだよ」


本当に魔法というのは個人差があり、強くなることは簡単ではない。


しかも無詠唱は使えないから、詠唱をする必要があり、その詠唱を覚えることも簡単ではないから。


魔法というのは、詠唱すれば使える訳ではないから魔力が必要になる、その魔力を纏わせることが大変なことなんだ。


多くの文献を読み漁りながら他の魔法師が使える詠唱を探しているけど‥‥‥


魔法は詠唱とその人の魔法力と、イメージする事が大切で、詠唱だけでは威力もない。


単純に詠唱すれば魔法が使えるわけじゃなく、その上に魔法力がいる。


それも魔法力も1から無限大までレベルがある。


どのくらいのレベルがあるのか、個人個人の問題は難しくてわからない。


それを測る事ができればいいんだけど。


そんな他人のレベルを図る魔法なんて、どこにも載っていない。


それでも俺が訓練した魔法師たちは、明らかに他とは違う。


他の3つの部隊と模擬戦をしても、優秀な成績を残している。


部隊が使えるのは、火魔法、水魔法、土魔法が主で、氷魔法は誰も使えない。


まぁ、火魔法でも、威力を強くするために部隊を鍛えることもしているけど、こんな威力の魔法師じゃ、実戦では使えるのか疑問だ。


俺は初めて、軍隊と言ってもこれくらいのレベルしかないと言うことを知った。



ある時、実践訓練をするために魔物討伐をすることになった。


司令官の将軍から「実践の訓練のため、王都の東に行き魔物を討伐してきてくれ」と言われた。


「はい、わかりました」


「いいな、アルベルト。王は、魔法師に期待している。貴殿が部隊の指揮官になってから、魔法師は変わってきている」


「はい、必ずやご期待に添えるようにいたします」


「王国のこのエリアに、魔物が多数出没する事で冒険者ギルドから依頼があった。それを貴殿の部隊で討伐してもらう」


「はい、冒険者ギルドからの依頼で軍による討伐ですね、わかりました。準備出来次第、すぐに兵を率いて、討伐に向かいます」


「まぁ、貴殿がいるから心配はないと思うが、気をつけろよ」


「はい、ありがとうございます。これより向かいます」と言って司令官室を出た。


何よりも必要なのは訓練と実践だから。


部隊がいる兵舎まできて、全員がいるのを確認して

「全員整列、部隊長に敬礼」


ザッと一斉に敬礼した。


俺が率いていく魔法師部隊は、103名、この部隊が一番人数が多い。


「今から冒険者ギルドから依頼があった魔物討伐に向かう」


「はっ」全員が返事をする。


あとは副官に任せて、俺は準備をして馬に乗っていく。


馬に乗るのは、俺と副官と、5人の小隊長になる。


つまり小隊長が、魔法師約20人を指揮する。


今回は剣士が一人もいない。


もちろん剣は持っているけど、大きな剣ではない。


魔法師の中には魔石を埋め込んでいる杖を持って呪文を唱えて、魔法を発動する奴もいる。スタイルが違うだけで、発動が実戦に適していればいいわけだ。


そして軽い魔法を防ぐ事ができるローブをきている。


魔物が出没するエリアまで1日かけながら歩いていく。夜になると野営の準備を始めて、夜はテントで過ごすことになる。


そして朝早くに朝食を取ったあと、またしばらくは歩いて魔物が出るエリアに到着した。


ここからは気を引き締めていく。馬は馬番に預けて、魔物から遠ざけておくように指示した。


俺たち103人はエリアに広く展開しながら歩いていくと、魔物の気配がしてきた。


魔法を放つのは、対面では難しい。エリアを広げ、5人から7人体制を維持する。


小部隊に分けて魔物を討伐する。


部隊には魔物を討伐した経験がある者もいれば、ない者いるから、あらかじめ選別している。


必ず経験者が一人は入るようにしている。


俺たちは木を避けながら草をかき分けて奥に入っていく。


そして魔物が見える位置についたら、魔物はオークだった。


情報にはゴブリンが多数と書いてあったけど、目の前にはオークの群れがいる。ゴブリンもいるかもしれない。


ゴブリンは木の上から襲ってくることもあるから注意しなければならない。


オークの群れは何かを食べているようでこちらに気がついてない。時々、「フゴッ」って言っている。


食べているので先制攻撃をさせてもらう、横にいる副官に合図を出すと、副官は全部隊に手真似で伝える。


見えない位置にいる小隊は、攻撃の音で判断する。


俺から見える位置にいる魔法師は、ファイヤーボールを準備している。


俺も開始のファイヤーボールを魔物に向けて放つ。


「フゴッー」


俺のファイヤーボールを受けた魔物は大きな叫び声を上げるが、他の魔法師もファイヤーボールで応戦するので、声がかき消される。


多数のファイヤーボールが魔物に向けて放たれる。


全部とは言えないが練習の成果で、今いる魔物全てがファイヤーボールで燃える。


しかし一体だけ大きなオークが、ファイヤーボールで燃える炎を纏いながら、俺たちの方に突撃してきた。


ざわめきが起きる。それでも対処しようと必死に魔法を発動する。


しかし魔法の発動ができないほど魔物が近づく。


そこに騒ぎを聞きつけたのか、ゴブリンが襲ってきた。


このままじゃ、部隊が全滅してしまう。


俺が立ち上がると副官も立ち上がり、もう隠れている必要はないので、副官と二人で向かってくるオークを倒しながら、ゴブリンを掃討していく。


うん、この副官も大したものだ。 向かってくるオークは討伐できた。


俺たち二人は、ゴブリンをファイヤースピアで討伐していく。


副官もファイヤースピアを使える。


そして俺は大きく笛を吹いた。撤退命令の笛で、撤退できない部隊は俺の周りに集まってくる。


怪我をしている奴は、治癒魔法が使える魔法師に手当てをしてもらう。


俺はゴブリンを討伐していくが、副官がもう魔力切れになった。


と言うことは攻撃できるのは、俺だけ。


「撤退は完了したか?」と俺は近くにいる疲弊している副官に聞いた。


「もう少しかかるみたいです」


俺は副官の言葉を聞いて、なおゴブリンへの攻撃を続ける。


しばらくすると、「撤退完了しました、隊長」という副官の声が届いた。


でももう、ゴブリンはいない。


「まだ魔法が使える奴は警戒してくれ」と言ったけど、返事を誰もしない。


全員が消耗が激しく、魔法が使えない。


しょうがないので俺が自分で索敵魔法を使ってゴブリンを確認する。


俺の索敵魔法が展開した範囲では動きはないし、ゴブリンはいない。


俺はやっと振り返る事ができた。


「部隊の安否確認をしろ」


いくらゴブリンが奇襲をかけて数が多かったとはいえ、こんなんじゃダメだ。


倒されたのは、オークが8体とゴブリンが200体を超えていた。


「馬がいる位置まで撤退をする」


「はい、わかりました。おい、急げ」と言って引き上げる。


これだけの数がいることも報告にはなかった。


全くのイレギュラーだ。


森から離れて部隊のところにいくと、立っている奴の方が少ない。


でも、まだここでも休むわけにはいかない。


もう少し離れる必要がある。


俺は指示を出して、さらに現場から離れる。


死者は荷物を運ぶ馬車に乗せて運んだけど、大量の死者が出てしまった。


数えると死者38人、ケガ人50人以上、魔力切れになったものが俺以外、全員だ。


こんなんじゃ部隊を預かるなんて、到底できないから降格だ。


でも、弱すぎる。


俺たちはトボトボと重い足を引き摺りながら戻ってきたが、街に入ると多くの人が囲み、中には悲惨な状態に涙する人もいる。


隊舎に帰ってきた俺たちは、早速上官に呼び出されて説明することになる。


全部体が全滅していてもおかしくない状況と言うことが説明してわかったので、俺は責任を取らされて部隊の隊長を辞めさせられた。


しかしこれは表の理由で、しばらくはライラの警護に戻された。


「アル、大変だったわね」


「うん、ゴブリンが200体以上なんて情報がなかったし、ゴブリンが奇襲してくるなんてことも」


「でも、これでよかったわ。またアルがそばにいてくれるから」


「俺、責任取らされているんだけど?」


「何、言っているのよ。本来なら全滅のところ、半数は帰ってきたんでしょ」


「うん、まぁ、そうだけど」


「そしてあなたがゴブリンを半分以上討伐したって聞いたわよ」


「うん‥‥‥」


「何よりも、あなたが怪我をしなかったのがよかったわ」




俺はしばらく、責任を取らされてライラの警護をしていたけど、最高司令官が引退することになり、司令官が俺を指名してきたのは驚いた。


どうもライラの意志が反映されたような気がした

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