表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/684

ライラ

プロローグ(前世のアルベルト編)7


俺はライラとは時々、図書館で会うようになり話をすることが多くなったある日、俺に呼び出しがあった。


普通なら、士官クラスでも俺なんか、貴族でもないから上官が呼び出すなんてない。


上官に呼び出されるなんて、怒られる時だけど、俺って最近、上官に怒られるようなことをしたか考えているけど、思い当たることはない。


もしかしたら時間ギリギリまで図書館にいるから、怒られるのか、貴族のライラと会っているからなのか?


どちらかというと怒られるならライラと会っていることだろう。それしか思い当たらない。


ライラは貴族だから、俺とは釣り合わない。


もうライラと話したり会うのはやめよう。


俺は足が重たい感じで上官の扉の前にいた。


コンコン「アルベルトであります」と言うと、「入れ」という声がして、ドアを開けた。


俺は扉を閉めて、上官に挨拶する。


「アルベルトです。お呼びにより参上しました。ご用件はなんでしょうか?」


そうすると上官は口で言うことなく、俺の目の前に一枚の書類を投げた。


俺は投げられた書類を見る前に「拝見します」と言って書類を手にとった。


その書類には、文字が多く書かれているわけでもなくたった数行の文字が並んでいた。


それを読んでみると‥‥‥ 驚くできことが書かれてあった。


俺が転属すること?


上官に聞いてみた「どうしてでありますか、自分が何か、致しましたでしょうか?」


「ワシにも聞かされておらんのじゃ、ワシも貴殿を評価していたので非常に残念じゃが、上からの命令だから逆らえん」


「上から?」


「そうだ」


「それで、どこに行けばいいんでしょうか?」


「すぐに荷物をまとめて、書いてあるところに行ってほしい」


「はい、わかりました」と言って上官の部屋を出てきたけど、扉の前で一枚の書類をまじまじと見ている。


そして歩きながら、今から俺どうなるんだろう?と考えている。


書類を見ながら歩いているけど、その書類には、今から数時間後の時間と、部屋に文官が呼びにいくとだけしか書いてない。


どこかに飛ばされるのか?? 僻地でも行かされるのか??


行くのは俺一人みたいだから、軍隊が動くわけじゃないみたい。


と言うことは僻地かぁ、嫌だな、寒いところだったら。


また、毛布一枚かな?


この部屋ともお別れかぁ


個室で勉強しやすかったんだけどな、本も読みやすいし。



俺は部屋に戻って少ない荷物を整理しながら待っている。


待っている時間が嫌だな、もう図書館に行くこともできなくなるかな?


僻地でも、本があるといいな?


と考えて少ない荷物をバックに入れて待っていると、文官がドアをノックした。


「アルベルト殿の部屋ですか?」


「はい、そうです。俺がアルベルトです」


「確認のため身分証を見せてください」


僻地に飛ばされるから身分確認が必要なのかな?


「では、荷物を持ってついてきてください」


「はい、わかりました」と言って俺は部屋を出た。


通路では、多くの人に見られながら歩いていく。


「おいアル、お前、どこかにいくのか?」


「うん、そうみたい」とだけしか言えなかった。


文官が「お待たせしていますから急ぎますよ」と言う。


誰が待っているかも言わずに文官は早足で歩く。


誰が待っているのか、どんどん文官は綺麗な通路を早足で歩いていく。


進めば進むほど通路が豪華になり、階段を上るのが多く徐々に上階になってきた。


ここって? お城?


窓から見える景色を見ていると、さっきまでいた軍の施設が目に入る。


うわっ、どこの僻地に飛ばされるんだろう。


ここで僻地の場所を言い渡されるのかな?


でも、ここでなんて、さっき会った上官だったら考えられるけど‥‥‥。


と考えていたら文官の足が止まった。よそ見していたからぶつかりそうになった。


文官が止まったところには大きな扉があった。


その横に立つ兵士と文官が話している。


兵士は頷きながら俺の方を見ている。


俺、今日は軍服じゃなく普段着を着てきたけど、場違いな感じ。


服の指定までなかったけど、一応綺麗な服を着てきたつもり。一枚の書類には、軍服はダメって書いてあったから部屋に置いてきたんだよね。


もう、なんなんだよ!


扉を守る兵士は、中の人にお伺いを立てに行った。


そして兵士が出てきて、扉が大きく開かれた。


文官が頭を下げたので、俺も自然と頭を下げた。


そこに女性の声が響いた


「どうぞ」なんだか聞き覚えのある声がした。


俺は、頭を上げずに部屋の中に入り、兵士が扉を閉めた。


「頭を上げて、アルベルト」


「!、その声は、ライラ?」と言いながら顔を上げると、目の前にはいつもの服ではなく、綺麗なドレスを着たライラが立っていた。


「そうよ、アルベルト。いえ、アル」


「なんだ。ライラが、俺を呼び出したの?」


「うん、そうなんだ」言葉使いが変わった。いつものライラの言葉使いになった。


「そうか、ライラだったのか?」


「うん、ごめん。アル、ここに座って」とテーブルの椅子を指差した。


「なんだか綺麗すぎて落ち着かないね」


「ふふっ、もうアルったら」


「それで、俺を呼び出したのは、転任なの?」


「えっ、転任?」


「えっ、ちがうの?、どこかの僻地とか」


「違うわよ、アル」


「そうかぁ。俺、てっきりどこかに飛ばされると思っていたから」


「ううん。まぁ、少しは当たっているけど。あなたは、私を守るのよ」


「えっ、ライラを?」


「そうよ、アル。あなたが、私を守るの」


「俺がライラを守るなんて?、俺でいいの?」


「アルがいいの!

アルはわかっていないでしょうけど、アルほどの魔法使いは他にはいないわ」


「そ、そうなんだ」


「その上、あなたは性格もいいわ」


「そ、そう?」


「ええ」


「こらからよろしくね。アル」


「うん。こちらこそよろしく、ライラ」


「それで俺の荷物があるから、どこの小屋に住めばいいの?」と変なことを聞いてしまった。


ライラは笑いながら「あなたは小屋には行かないわよ。あなたは正式な私の護衛だもの。あなたの部屋は、私の横よ」


「へー‥‥‥横なんだ?」なんだか意味が掴めていない‥‥‥


「えっ、ライラの横の部屋?」


「そうよ。ここよりは少し狭いけど、今日からあなたが暮らすのは私の隣の部屋よ。そこで私を守ってね」


「あのー。ライラって、何者?」


「あら、知らなかったの?」


「うん、ごめん」


「もう、謝る必要ないわ。

私はね、この国の王女よ」


「えっ、王女?‥‥‥って、そうするとお姫‥様?‥」


「そういうことになるわね。

だから、あなたは私が動くときには、いつも付き添って守ってね」


俺は型式ばって軍隊の敬礼をした。「はい。わかりました、王女さま」


「公式じゃないから、いつも通りにしてね」


「はい。あっ、うん、わかったよライラ」


「明日はあなたの魔法師の服を仕立てましょう」


「えっ、服なんていらないよ」


「ダメよ。あなたには、あなたの魔法士としての服装があるのよ」


「わかったよ。ライラの言うとおりにするよ」


「そうね。じゃ、あなたの部屋を見に行きましょう」


「うん」俺は少ない荷物を持ってライラの部屋から出てきた。


俺の部屋をライラは少し小さいと言ったけど、そんなことはなく、大きな部屋だった。


「ここが今日からあなたが暮らす部屋よ」


「へー、大きな部屋だね」


「いい、アル。もし賊が入ることがあったら、私を守ってね」


「うん、もちろんだよ。ライラ」


「じゃ、今日はゆっくりしてね。そして荷物の整理もね」と言ってライラは出ていったけど、ほとんど荷物らしいものはないからすぐに終わった。


俺は部屋の中を見渡したり、ベットに腰掛けたり、寝そべって天井を見たり。俺がここにいること自体、変に感じている。


俺は起き上がってベランダに出てみた。


ベランダに出ると、目の前の景色に目を奪われた。けれど、それ以上にベランダが横のライラの部屋と繋がっていることに驚いた。


なんだ、変な作り?


ライラの部屋をベランダ伝いに見にいくことなんかできない。


まぁ、気にしてもしょうがないので、俺は景色を見ることにした。


お城であり、上階なので、王都が一望できる。


さすが王族がいる上階だけど、俺がこんなところに住むなんて、ライラのお遊びか?


ライラをしっかりと守らなければ。でもライラは守ってほしいと言っているけど、何かあるのか?


早急に俺をここに呼び寄せたのも、そして、ここの部屋を与えたのも。


誰かに狙われている?


もしかしたら、そうなのかもしれない。



俺が城に来て、時々はライラと話しをした。また、お城にも本が多くあることがわかったので、俺は楽しくてしょうがない。


食事する時は別だけど、ライラが俺を呼びにきたり、俺が会いにいったりして7日がすぎた。


ライラは護衛対象であり、俺はライラを守っているつもり。


俺はこの城に置いてある魔法書から研究の末、さらにうまく結界魔法を使えるようになる。


これでいざという時にライラを結界魔法で守ることができる。


7日目の夜、ベランダから侵入者が現れる。


俺は蝋燭を使うことなく、夜遅くまで毛布で覆い、光魔法で本を読んでいたので物音に気がついた。


「ガキッ」


ん、なんだ、この音?


ロープを降りてくる音がしている。 ギシギシッ


俺は立ち上がってベランダを見てみた。


柵の外側に人が立っているのが見える。


さらに、もう一人現れた。


ん、なんだ? こいつら。


俺は検索魔法を使って動きを確認してみることにしたけど、まさか夜中に工事しにきたわけじゃあないだろう?


ライラが俺をここに呼んだのは、このためか?


賊は二人みたいで、柵を越えてベランダにいる。


ライラがいる部屋の鍵を開けようとしているみたいだな。


俺は通路からいくことも考えたが、結界魔法をライラに行使することにした。


ライラを結界魔法で覆って安全を確保して様子を見る。


賊は、鍵を開けたみたいで部屋の中に入っていく。


部屋の中に入った二人は短刀を持っている。


もう間違いない。

俺はどうしようかと迷ったけど、ライラは結界魔法で覆っているから安全だと考えて、ベランダからライラの部屋に侵入することにした。


ちょっと面白そうだ。俺が後ろから入ってきたら、どういう反応するんだろう?


俺もベランダを歩いて行き、開いている扉から足音を立てずに部屋の中に入る。


ライラを見てみると気がつくことなく寝ているみたいだ。


賊は俺が後ろにいることも気が付かず、ライラに近づきながら短刀を持つ。


「君たち、何をしているの?」と俺が声を出すと、二人は飛び上がるくら驚いている。


なんだか、猫みたいな驚きようだ。

 

俺は少し笑う。クックック。


堪えるのが必死で、声が出てしまった。


そこにライラが目を覚ました。


「誰?」


「えーとアルベルトだけど、ちょっと待ってね」そう言ってライラを安心させた。


賊は単剣を構えてライラのいるベットに飛びかかった。


「キャ〜」とライラが大きな声で叫ぶ。


賊はライラに短剣を突き立てたけど、体ごと結界に阻まれる。


「ライラ落ち着いて。魔法で守っているから、そこから動かないでね」と俺がいうとライラは毛布で体を隠して震えている。


賊二人は、ライラに近づくことができずに迷っている。


「残念でした。結界魔法でライラは守っているから、ライラには近づくことはできないよ」と説明した。


賊は二人だから、どうしようかな?


俺って今、剣は持ってない。


剣を持っていないので迷ってしまったけど、ライラと同じように結界魔法で賊の体を覆った。


動くことができないというイメージをしながら結界魔法を発動させたら、できた。


そして空気だけを抜いて、息ができないようにすると数秒で賊は気絶した。


気絶しても、俺はすぐには解除しなかった。


俺は扉を開けて大声で、侵入者だ、と言って横を見たら、扉を守っていた兵士が死んでいた。


「他にも侵入者がいるのか?」


俺は夜中なのに動きが早いやつを検索してみた。


ライラは一言も口にせず、俺の動きを見ている。


俺が目を閉じて検索魔法を展開すると、俺の声で慌ただしくなったけど、逃げていく奴、逆の動きをする奴を探す。だがこのフロアには、何も該当する奴を見つけることはできなかった。


「もう安心だよ、ライラ」と言って、近づこうとしたけど、ライラは寝間着じゃなくて胸元が開いたネグリジェを着ていたので近づかなかった。


ガウンを渡すため、結界魔法を一度解除し、横にかけてあるガウンをライラに渡して、結界魔法を張り直した。


「ライラ、まだ安全じゃないから、その中から出ないでね」と俺が言うと、「うん」と頷いた。


俺の声が聞こえて多くの人が、この部屋に近づいてきている。


俺は、検索魔法をもう一度、もっと大きく展開してみた。


この部屋に近づく奴もいるけど、遠ざかる奴もいる。


遠ざかる奴の数は3人。俺は本で読んだマーカーを対象者につける捜索魔法を使ってみた。


3人ともマーカーをつけた。これである程度安心だろう。


多くの兵士や騎士や文官が、部屋に入る。


部屋に入ると二人が気を失って倒れている。


「王女様は、ご無事ですか?」


「はい、アルベルトが守ってくれました」


「そうですか」と言って兵士や騎士は気絶している二人を運び出した。


「アルベルト殿、後で話を聞きたいので」


「わかりました」と言うと騎士は出ていった。


まだ、部屋の外の兵士の死体が残っているけど、ライラは知らない。


結界魔法も解除した。


「ライラ、大変だったね」


「‥‥‥」ライラは突然、泣き出した。


「うわあ〜ん。怖かったよ、アルベルト」と言って俺に抱きついてきた。


俺はライラが泣き止むまでそばにいたけど、いいのかな。


そこに、前会った事がある男性が入ってきた。ライラはお兄さんと言っていたけど、俺たちが寄り添っているのをみて、男性は足を止めた。


「ライラ‥‥‥」


「あっ、お兄様」


「大丈夫か?」


「はい。アルベルトが守ってくれました」


「そうか。アルベルト、感謝する」


「いえ、とんでもない」


「君にライラの護衛をしてもらってよかったよ。

あの時、ライラの推薦で君に護衛を頼んだのは、間違いなかった。

本当にありがとう」と言って頭を下げた。


「いえ、頭を上げてください」と言うと頭を上げて俺をみた。


「今は混乱しているから、後で話そうか?」


「はい。私も話があります」


「そうか、後でな」と言って出ていった。


「えーと、今のがお兄さんだよね」


「うん、そうだよ。この国の王太子だよ」


「えっ、そうなの?」


「もうアルったら、自分の国の次期国王を知らないなんて」


「いや、普通は知ることなんてないから」


「まぁ、そうだね」と言ってライラは泣き止んでクスクス笑い出した。


この事件以来、俺はちょっとした有名人なってしまったみたい。


ライラ姫の護衛がライラ様を守ったって言われている。


すごい魔法使いだとか、言われているみたい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ