力を持つ者11
俺は鑑定魔法でわかったことを全員に説明したが、それは全部ではない。
どこからかわからない魔力供給、自分でもわからないから、それを説明することはできない。
それだけじゃなく、魔力自体の質と言っていいのか、違いだ。
俺たちが普段、使っている魔力の質の違い。
魔力を供給する人物は俺に、何を望んでいるのか?
何を指せるために、俺への魔力を供給するのか?
そこに、誰かの意図があるような気がする。
そういえば、俺には勇者の称号とは別に救世主って言う称号も、相変わらず、ついている。
それに関わることかなのか?
勇者っていうのは悪と戦うイメージだが救世主っていうのは、なにを救世するのか?
もしかして、俺に、この星を、どうにかしろって言うのか?
俺には、その力があると言うのか?
もしかして、もっと質が違う魔力を使えって言うのか?
その質が違う魔力を使うには、どうすれば使うことができるのか?
それは、自分で考えろって?
あまりにも強引なやり方だ。
何者か、わからないが、俺なら使いこなせるだろう………とでも思っているのか、悔しいから、使いこなしてやろう。
まだ、王たちの話し合いが終わらないので、今日は城に泊まることになった。
俺たちには、2,3人ずつの部屋を当てがわれた。
もちろん、俺は一人部屋だけど、全員が俺の部屋に集まっているので、あるものはベットに座ったり、テーブルの椅子に座ったり、長い椅子に座ったりしている。
そして全員が部屋着に着替えている。
俺はと言うと、いつも通り、景色を見るためにテラスに出てきている。
部屋の話し声が聞こえるが、もう一度、俺に供給される魔力を見分してみようとするとジャネットが部屋から出てきた。
「ご主人さま、いま、いいですか?」
「いいよ、なんだい、賢者ジャネット」
「その言い方は、もう、良いですから」
「もしかして、俺がやろうとしたことを理解しているの?」
「はい、たぶん………」
「それじゃ、意見をきこうか?」
「はい、では、ご主人さまは、いつも使っている魔力とは違う魔力に気が付いたんじゃないですか?」
「うん、そう、よくわかったね」
「いえ、私も、その力に、少し前に気が付いたものですから、私だけかと思っていたら、魔力の発生源をたどると、ご主人さまからだったので、ご主人さまは、気が付いてしているのかと思ったんですが」
「いいや、ついさっきまで気が付いていなかったよ」
「そうですか」
「ジャネットは、この正体、知っているの?」
「はっきりとは言えませんが、たぶん………その方が、その力を使うことを望んでいると思います」
「その方とは?」
「それは、わかりません。しかし、もはや、ご主人さまが使わなければならない状況になる………と言うことが起きるのだろうということは、ご主人さまも、うすうすわかっているでしょう?」
「………うん、なんとなくね、今までは、魔物や悪魔や魔族がでてきて、攻撃するくらいだったけど、地震を起こすなんてことは星自体に影響するようなことは起きていなかったからね。そこに、大きな地割れ………」
「そうですね………こんなことが起きれば、いくら大きな星だからと言って無傷で済むとは思えません」
「ジャネットは、どう思う?」
「はい、私は、敵が何か画策しているように思えますが、最終局面に来ているのかと思えますが」
「そうだね、奴らは、どこのタイミングで、どういうふうに、ことを起こすのか?」
「うん、そうだね、ジャネットは、知っているかい?」
「えっ、なにをですか?」
「奴らの使う魔力が俺たちとは違う魔力を根源としていること………」
「はい、最近の事案を考えていくと、検索しても分かりにくいことを踏まえても、なにかあるだろうと思っていましたが、根源魔法が違うんですね」
「そう、だから、反応がしにくいんだよ。でも、最近は奴らが使う根源が違う魔法だとわかってきたから、すごくやりやすくなったけどね」
「さすがですね」
「その結果として、奴らが異空間から出てくることが、わかるようになった」
「それで、異空間からでて来る魔物を止めることができていると言う訳ですね」
「うん、そういうこと」
実は、俺たち二人しか、テラスにはいないんだが、全員が聞き耳スキルで、この話を聞いている。
もう、しょうがない、全員が知っておく必要があるから。
「奴らの使う根源とする魔法は、俺たちが集める根源とは違うから、それで魔力の質が違うと思うんだ。まだ、研究することもできていないけど、以前、魔物を操っていた奴からアーティファクトを分捕っている。
「では、魔力の供給源はアーティファクトだと?」
「うん、しかし、すべてではないと思う」
「ではアーティファクトは、魔力を集める道具の一つだと?」
「そうだと思う」
「………」
「アーティファクトだって、古代の遺産と言う訳でもあるし、また、魔力を秘めた地面に埋まっていると言うこともあるだろうし、誰かが作ったものでもあるかも知れない。」
「アーティファクトですか? 厄介ですね」
「うん、そうなんだ、、そういえば、この星にもアーティファクトがある?」
「いいえ、そんな話は聞いたこともありませんね」
「俺たちの魔力の根源は、生きるもの、すべてに与えられる膨大なエネルギーが関係しているけど、集めることができるのは、そのごく一部だ」
「はい」
「すべての魔力を周りから集めてしまうと、草も木も干からびてしまう」
「………」
「大地が与える絶大なるパワーの一部を草や木が栄養としてもらって、成長していく。または、大量にエネルギーがある所もある。そんな場所に埋まっているものは、長年、エネルギーにさらされているため、勾玉とか、信仰の対象物になっている。しかし、永久にではない………」
「そうですね、それ自体には、エネルギーを発生するものがありませんから、ただ単に、長く、そこにあったからその影響下にあるだけ、と言うことですよね」
「と言うことは、俺たちが使う魔法は、この星自体からもらっていることになるんだ」
「!っ 、そ、そうですね」
「星だって生きているから、地中深くに、この星の核があって、その周りをマントルが動いている、これが魔法の根源になる、、もちろん、マントルがと言う訳ではなく、そのマントルを動かすものが、魔力の根源だ。
動かすエネルギーが、あるから星が回転している、それが夜を生み、昼になる。
そのマントルを動かさすエネルギーが核にあると思う。
マントル自体には、核からでた大量のエネルギーの影響だろうね」
「!っ」
「気が付いた?」
「ええ、奴らの狙いが………」
「奴らの狙いは、この星の破壊だ。
俺だったら、星を破壊するなら、核を狙う」
「………恐ろしいですね。と言うことは……」
「そう、今までのは陽動の可能性もあると言うことだ」
「これが、陽動ですか?」
「うん、たぶんね」
「と言うことは、もう、星の核に向かっている可能性が?」
「うん、そこなんだ、上手く隠しているから、種類が違う隠ぺい魔法を使っていると思う」
!っ
「そうか、そのために使う魔法が供給されている可能性も?」
「!っ、そうかもしれませんね」とジャネットが思いついたような明るい顔。
「でも、どうやって使えばいいんだろう」
「そこですね、難しいのが」




