もらった屋敷
第58話 もらった屋敷
宿で昼食をとった後、俺が王様からもらった屋敷を見に行くことになった。
屋敷の位置は、今いる宿と比べると人通りが少ない貴族の屋敷ばかり立っているエリアになる。
そういえば前世でも、俺は貴族街に屋敷を持っていた。
宿を出て、地図を見ながら、しばらく歩いていると、周りは大きな屋敷ばかりなので、全てが貴族が住んでいると思われる。
そして地図を見ながら、もう、しばらく歩いていると、ここだろうかと言うところに行き当たる。
なんだか、門も大きいし、庭も広いしも広いし、家と言うよりは、屋敷とか、邸宅と言ったほうがいいかもわからない。家と言うよりは、屋敷とか、邸宅といったほうがいいかもわからない。
門から景色を覗いてみると、庭の手入れをしている人が動いているので、声をかけてみた。
「あのここって、どなたかのお屋敷ですか…?」と言うとクリス様のお屋敷でございますと帰ってきた。
「俺はよー、長年庭師をしているんだが、今日、初めてここの管理を任されたんだ」
「クリス様っていうのはなぁ国の一大事を解決した英雄なんだぜ」
「ていしたもんだよなぁ」
やっぱり自分の屋敷みたいだ。
こんな立派な屋敷をもらっていいものだろうか。
そこでしばらく見ていると庭師が、「ここにいると邪魔だからあっちに行ってくれ」と言われてしまった。
まぁ洋服も貴族っぽい洋服を着ているわけでもないし、今日初めて爵位をもらって貴族になったわけだし。
しょうがないけどね。
そこで庭に入って行こうとしたら止められた。
「ダメだ、ダメだ、何勝手に入ってきてんだ」
俺が名前を言おうと思ったら、邸の扉が開いてシャーロット王女が出てきた。
屋敷にシャーロット王女がいること自体びっくりした。
だからなんだか邸と言うか全体が物々しかったんだね。
「あら、クリス様、ようこそいらっしゃいました」
「こちらがクリス様のお屋敷になります」
とお姫様が言ったので、庭師は驚いたような驚愕の表情を浮かべて謝ってきた。
俺は素直に受け取った。
気にしないでいいと庭師に行って、シャーロット王女が、招いてくれたので屋敷の中に入った。
そして見知り合いだったアリシアが、王女の手をとって喜んでいる。
シャーロット王女と仲が良かったアリシアだが、他の人の前ではなかなか、話すことができなかったから。
本当に手を取り合って喜んでいる姿は微笑ましい。
しかし確認しなければいけないことがある。
「シャーロット姫、本当にこの屋敷をいただいてもいいんですか」
「ええ、あなたは、それに見合うことをしたんですから」
本来ならより以上のものを与えなければいけないのに、まだ少ないくらいです。
「本当に国家の一大事件を解決してくださったのに、なんと言ってお礼を申し上げたらいいのか。」
王国建国から、こんな大きな事件を起こしたのは初めてだったので、お父様も大変迷っていましたし、宰相とも何回も話し合ったんですが。あなた様がしてくださったことに対して少しでも報いるために急ぎました。とシャーロット姫が付け加えた。
そして王族である私たちは、あなた様のことを一生忘れることもなく、記録に残すように言われました。
なんだか大変な方向に行ってしまった。
もう決定された事項なので、なかったことにするのは難しく、俺は素直に受け取ることにした。
そしてなんだか屋敷の外からガヤガヤと声がする。
窓から門の方を見てみると、多くの人がこちらを見ていた。
シャーロット姫が、もう昨日のことが知れ渡ったみたいですね。と言った。
「あれだけど大事が起こったわけですから」
その言葉に、本当に自分がしたことが一大事で、国を作ったと言うことをなんとなくだけど理解ができた。
やっている時は一生懸命だったから、そういうことも考えもせずにしていたからね。
悪事が進行中の時は、そこに集中して物事をなしているので、他のことを考える余裕がないからね。
そしてシャーロット姫からお城で人選された執事やメイドや料理を担当するものや警備のものを紹介された。
人物的には宰相が人選したみたいで良い人材だったみたいだ。
シャーロット姫がいかがでしょうかと言ったので、俺は了承した。
いつでも進むことができますが、今日からお住まいになりますかと執事から言われた。
それには宿を引き払わなければいけないけど、宿の女将さんの料理もおいしいんだよねー、だから時々食べに行こうかな。
そして屋敷の中をいろいろ見て回って、執事から、こちらが旦那様の部屋になりますと言われて見てみると、すごく豪勢でつながっている部屋がいくつかある。
屋敷の主の部屋は、景色も良く日当たりも最高で、1番広い空間がある部屋だった。
あんまり、こういう広い部屋もいらないんだけどねと思ったけど。
一通り、屋敷を見物していると、俺は執事と部屋を待っていたんだけど、女の子4人はシャーロット王女と部屋を回っていた。
玄関正面の広い空間に、俺たちと女性4人が戻ってくると、5人で住むのも広過ぎるよねと俺が言ったら、女性たちが変な顔をした。
女性たちがエッと言う顔をした。
その疑問に対して、女性たちに俺は
「パーティーメンバーだから一緒に住んだ方が動きやすいよね」とだけ付け加えた。
パーティーのリーダーであるソフィアが、
「ここに住んでいいの?」と聞いてきたので、
「どうぞ」と言った
そこでパーティーメンバー女性たち3人と、アリシアと、俺がここに住むことになった。
なので1度、宿に戻って宿泊のキャンセルと、荷物をまとめることにした。
屋敷から出るときに、シャーロット姫も馬車に乗って帰っていった。
シャーロット姫が乗り込んだ馬車に対して、全員でお辞儀をして帰ってもらったよ。
シャーロット姫が帰り際に、また来ますね、と言っていた。




