滅亡する世界に逆らう者7
アリシア視点
クリスからの念話で支持のもと、王妃様とオリビア王女と私とコリンの4人で、警護の者もいない状態で、私たちは城の庭に出てきた。
王妃が言うには、ここにはめったに人は来ないそうだ。
庭を見渡しても、木と草しかない。
クリスが念話で「俺の言うとおりに進んで………」と言うので、私は何もない庭を歩いている。
いいえ、違った、木と草があるだけと思ったけど、先に進んでいくと、目に着いたのは、なんだか変な感じがするエリア。
念話でクリスが「アリシア、止まって」と言う。
私はゆっくり歩いていたから、止まることができたけど、後ろの3人は、私にぶつかってきた。
「「あっ、ごめんなさい」」と王女と王妃
コリンは鼻を押さえているが、何も言わない、いつもだけど。
そうしたら、コリンが私をみながら、鼻を押さえて顔を下げた。
うわっ、なに~………初めてコリンを身近に感じる、この子もこんなことができるんだ。
あの時、私はコリンに嫉妬した。
そう、コリンがスカートでクリスの頭を拭いていた時。
私がいる位置から見たらクリスがコリンのスカートに頭を突っ込んでいたとしか見えなかった。
スカートが不自然に動いていたのは認めるけど………。
だからクリスは悪くなかったのに、にらんでしまった。
たぶん、コリンが飲み物をクリスの頭にぶっちゃくけた時、クリスは何も考えもせずに頭を下したんだろう。
でも、あんなの接近させるなんて………
最近は、クリスともチャンスがない………
これは、もしかしてクリスを独占したいと言う私の嫉妬?
ああ、嫌だ、そんなの嫌だ。
前にみんなで話あって決めたじゃない、抜け駆けしないって。
でも、なんだか違ったみたいで安心した。
あっ、でも、コリンに嫉妬するっていうことは、そんなにまでクリスのことを好きなのかな。
考えるだけでも、顔がほてって赤くなる。
手を顔のやると、熱い………
「………」
がんばれ、私………小さいころはクリスはよく泣く弟だった。
それを、面白がってと言うよりも、歯がゆい感じで、ちょつと意地悪したりもした。
だって、木にもぼる事もできないし、川で泳ぐときも、浮くくらいはできるだけ、泳ぐことなんてできない。
あ~でも、昔小さい時は、よくお風呂に一緒に入ったりしたな。
お互いの家が近くて、遊んだからお泊りも同じ布団に入って寝たな。
なんだか、そのことが懐かしい。
でも、でも、よくよく考えると、顔が赤くなる。
裸でお風呂に入っていたなんて、私たちが住んでいた村は、村に一か所だけシャワーじゃなく、浸ることができるお風呂があった。
周辺でもここだけだって大人が言っていた。
大人たちは朝から仕事で畑を耕しに行ったり、狩りにいく人もいれば、洗濯や掃除をする人もいるから、私たちが入る時間は、いつも大人が忙しい時………
もちろんお風呂は、女性の時間と男性の時間があって交代制だ。
以前住んでいた大工さんが、桶の大きいのを作ってくれたそうで、薪で火を起こして沸かす方式。
今でも現役で入れるのかな?
あ~なんだか、あのころが懐かしい。
私って、いつからクリスのことを弟だって思っていたのか?
そして弟から、いつから意識するようになったのかな?
あ~もう、考えるだけで顔が赤くなる。
あっ、そういえば、これって幼馴染で、しかも初恋?
あっ、いやだ、いやだ………思うと顔がほてる。
もう、クリスの奴め………またいじめてやろうかな。
でも、最近はクリスは昔みたいになくことは少なくなった。
どれだけクリスに重圧がかかっているか、想像もできないけど………
クリスは、本当に私たちを引っ張ってくれる。
メンバーも当初の数よりも増えてしまって、いつのまにか一緒にいることに慣れてしまったけど、神獣たちの存在。
神獣の存在なんて、全然、知らなかった。
第一、獣なの? 人なの?
いつもは、私たちと変わらない。
人間にみえるけど、立ち居振る舞いも人、そのもの………
今はリーダーはジャネットさんだけど、いつもはジャネットっていうけど………
私だって負けられない………
クリスの横に堂々と立つことを、みんなに認めて、もらわなきゃ。
そのためには、魔法の努力と工夫。
以前はできなくて、悔しい思いをした飛行魔法だって、いまは自分の力で飛ぶことができるだから。
転移もできるようになったけど、できれば良いと言うものじゃない、転移先の確認をおろそかにすると、大変なことになる。
転移先に人や馬がいれば、大変なことになる、そして建物でもあれば、融合してしまう。
神獣たちは飛行魔法も転移も使えた。
人は誰一人、それが使える人はいない。
でもクリスは使える。
そんな偉大なクリスに近づくことなんて、本当にできるんだろうか?
クリスは、今でも新しい魔法を時々、使うけど、以前は夜に寝る時間を惜しんで研究していた。
最近は、その暇もない。
今でも、違う国にいるのに、クリスの念話の声が良く聞こえるし、遠くにいるけど、そばにいるように感じる。
クリスが、いると思うだけで、胸のあたりが温かくなる。
いま、クリスは山荘にいて、魔物を撃退すべき結界を張っている。
でも、こうして念話で、私たちを導いてくれる。
分身体を作るのも、大変な魔力と精神力が必要だと思う。
そして巨大な結界魔法を張って、中に魔物を閉じ込めて、防いでいる。
いくつもの系統が違う魔法を同時操作する魔法力と、集中力と精神力………すごい
たぶん、クリスは苦しい顔は見せないけど、冷や汗ものだと思う。
それはコリンが飲み物をこぼしたことでもわかる。
そう、それはいつもは結界を張っているのに、その時は結界を張っていなかったから、飲み物が自分にかかってしまっている。
まぁ、安全な山荘だからと言うこともあるけど。
でも、今は戦闘中だ、いくら安全な場所だって言っても………あっ、もしかして、クリスは山荘自体を結界で覆っているから、中は安全だと思って解いたのかな?
*
今は、なんていう国か知らないけど、ここで起きている異変を解決する必要がある。
集中、集中………
クリスが念話で支持したところにきたけど、私でもわかるくらい、ここだけは変だ。
私が立ち止まって、後ろからついてきた人たちが、ぶつかってきたけど、お約束は起きない。
つまり、どんっと押されて、中に入ってしまうと言うことは起きなかった。
「もう、押さないでよ………」とコリンに言うが、コリンも後ろの二人に押されたみたいなので、文句は言えない。
コリンも私の横にきて、立ち止まる。
コリンの反対側に、オリビア王女と王妃が立つ。
「アリシア伯爵、ここはなんなんですか?」
「いま、クリスが確認していますが、魔法陣だと思います。」
「魔法陣………?」と王妃
「こんな場所に魔法陣があるなんて………」とオリビア王女
「あまり近寄らないでください」と言って下がらせるアリシア。
アリシア「ここに入っただけでは起動しないと思いますが、万が一と言うこともありますから」と言うと二人は一歩下がった。
「うん、そうだね、どうも起動するためには何かが必要だね」とコリンが魔法陣を目の前にして、つぶやく。
コリンがみても、ここが魔法陣だとわかる。
ちょっと目をそらして、周りをみてみても、ここだけ不自然なことがわかる。
しかし、一般の人にはわからないように偽造魔法がかけてあるみたい。
と言うのは、王妃と王女はキョロキョロしているから。
どこになにがあるのか、わかっていない。
魔法を使えて、それも使えるだけじゃなく、ある程度のレベルを持ってないと判断ができないし、魔法陣を起動させることもできないだろう。
ちょっと聞いてみる「ほんとうに、あの本の転写は、正確?」
王妃が「もちろんですよ、我が国の者を疑うのですか?」
「いいえ、そうではありませんが、と言うことは、書いてある文字のどこかに細工が?」
コリン「うん、私が知っている」
「えっ、知っているの?」
「うん、知っている」
「それを早く言え」と言ってコリンの首を絞めてるアリシア
しかし、少しさがっていた王妃と王女には、そんな光景は強すぎた。
コリンが苦しそうにしている‥‥‥
「アリシア、苦しい‥‥‥」と




