第645話 世界滅亡へ(幕開け)9
俺たちが要請があってかけてきた。
そこには数キロ先に、魔物の大軍が集結しつつある。
その数はさらに増えているみたいだ。
どこまででてくるのか?
俺が観察しようと振り返ると、メンバーが転移してきた。
転移して来たのはアレク、アデル、エイミー、アイリス、そして人型になったままのエマ。
「よし、これで12人が揃った」
俺たちは5人と合流する。リアムは俺のマントのまま。
そういえば俺の剣がない………エマが剣になってくれないと………以前、使っていた聖剣を使うか?
俺は剣のことを考えながら、魔物が出現しているのか、確認するために集中する。
俺の検索能力を最大に使いながら、魔物が出現している場所まで飛ばして、どこから増えているのか、増える原因を見つける。
どうしてか、わからないし、俺からは言わないけど、エマは人型になって戻る事もなく、戦う気でいる。
俺は集中することにした。
魔物が増えているのが、どうしてなのか?
そうすると、いとも簡単に見つかった。
まぁ、魔物が出てきている所なんて、すぐに見つかって当然だけど………。
ちょっと時間が数秒、要したのは、魔物が整列している訳ない。
バラバラで魔物がいるために、吐き出されるように集まっている場所を特定する。
でも、どうしてかわからないが、魔物が何かを待っているようにバラバラで立って待っていることだ。
後ろから、どんどん出てきているのに、それに押されるように動くだけで、自分からは動くこともなく、だらんと立っているだけ。
騒ぎもせずに?
こいつら、統制が取れているのか、人工的に作られたものなのか?
なんだ、このこいつら………?
ある一体の魔物の体の中を鑑定してみる………
その魔物は、どこかしら、ぼーっとしているように思えるんだが、鑑定魔法で、出た結果は、薬物の影響と出る。
薬物の影響で自分の自由意思を奪っていると言うことか?
まぁ、こんなことをするのは、あいつしかいない。
それよりも、早く魔物を出しつくしてから動いた方が良いのか? それとも出し尽くす前に、なんらかの処置をした方がいいのか?
俺の選択したことは、魔物がわいてでてくる状況がわかったので、出尽くすまで待つことにした。
そう、魔物が出てきているのは、空間の出口からだ。
そこで、待つ間に俺は、あることを思いだして、魔力で蜂を作ってみた。
以前に俺が意識を憑依させた蜂を思いだして、なんとか形を作る事が出来た。
「うわっ、蜂が急に出現した」と近くにいる騎士が言っているが、俺は無視して作業を続ける。
その兵士に向かって、ソフィアが指を口もとにあて、「シーッ」と言ってくれている。
メンバーたちは俺が作り出した蜂だとわかっている。
作り出した、その蜂に隠密性能をまとわせる。
そう、誰がみても、見ることができない、感じることもできないようにして、俺は、蜂を、魔物の群れに放った。
俺だけが感じることができる蜂は、まっしぐらに魔物たちがいるエリアまで飛んでいく。
まだ、魔物は出尽くしていないみたいで進軍の気配がない。
後ろから押されるように、周りに広がる魔物………
徐々に、魔物の数を増やしていき、その数、10万。
それも、10万で終わる事がない魔物たち、見たことがない魔物もいる。
人工的に作られた魔物なのか、この星の魔物じゃいのか、わからない。
後ろから指揮官が「クリス様、いかがなされますか?」
「そうですね、いまだに出尽くしていないから、待とうと思いますが」
「えっ、では、もっと増えると………?」
「そうみたいですよ、いまだに先が見えませんから」
それを聞いた司令官は「では、出尽くす前に、動いた方が良いのでは?」
「いや、もう少し待ってみましょうよ。私に案がありますから」
「はい………」と言うが司令官は納得していない様子。
俺たちは今はメンバー全員が休息をしている。
周りでは立ったり、座ったりして食事をしている所。
戦場では、いつ何時、食事をとれるかわからないから。
こんな時でも、緊張して食事をとれなくなる人もいるが、うちのメンバーに限っては、そんなことはない。
しかし、俺も何も言わないがエマが剣に戻ってくれる様子はない。
俺は予備の聖剣をだしているけど………
俺は前線に向かって地面に剣を突き立てながら前線を見ている。
その俺の横に人影が現れ、俺の口に食べ物を押し込む………
「ほら、クリスも食べなきゃ」と言って俺の口に食べ物を押し込んでくるイザベラ。
あ~ぁ、せっかく、恰好をつけていたのに………もぐもぐ あっ、この味、おいしいな………などと考えていると反対側からは、アリシアが「あ~ぁ、口の周りにソース付けて」と言って、口の周りを拭いてくれるから、余計に恰好が付かない。
俺は恰好をつけるのをやめたが、魔物の確認は怠っていない。
同じような姿勢で立ちながら、全員が食事を終えるのと同時に、魔物が出尽くした感じがした。
「全員、戦闘用意」と言うと、全員が横並びに前線に向かって立つ。
俺たちは、悪魔たちが動きだすのをみながら、まずは、少し戦ってみることにした。
その理由は、経験値も大切なことだから。
どんな魔物がいるのか? どう対処すれば良いのか? どんな魔法を使うのか? 蹴剣を使うのか? そして威力は、どれくらいなのか?
念話『じゃ、実際に魔物と戦ってみようか』
『うん、了解』
『『『『『『了解』』』』』』
『じゃ、それぞれで前線に転移、でも無理はしないように』
『『『『『『はい』』』』』』
そして、それぞれで転移して、俺たちの戦いが始まった。
俺は指揮官の方を向いて、「うち漏らした魔物だけ、お願います」
「はい………、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。あと、ここより前線には出ないように、頃合いを見計らって、大規模魔法で掃討していく予定ですので」
「っ、は、はい、了解しました」
「あっ、それと司令官、系統外魔法って聞いたことありますか?」
「あっ、いえ、本管は騎士で、魔法師ではありませんので」
「あっ、そうですか、それは失礼しました」
質問をする人を間違えた、騎士だから、剣を主に使うんだった。
俺は後方まで聞こえる大声で「皆さんに聞きたいことがあるんですが、系統外魔法って聞いたことはありますか?」と聞いてみた。
「「「「「………………」」」」」
誰も発言しないし、手も上げない………
知っている人が少しはいると思ったが、無駄だだったか?
俺は前線に向けて転移した………
前線に転移しても、すぐに戦闘に参加することなく、しばらく上空で見物することにした。
魔物は、剣を持つ奴は確認できない、こん棒を持つ魔物はいるが、多くは持っていない、あっ、剣を持つ奴がいた、ゴブリンみたいだけど、大型だ。
しかし、剣を持つゴブリンは、たった今、アレクが倒してしまった。
俺は戦場を見ながら、魔法で作った蜂を確認してみる。
魔法の蜂は、異空間収納の部屋で飛び回っているが、白い空間で、まだ突破口を見つけていない。
魔法の蜂は、もう少し様子を見ることにした。
魔物の戦場の確認に戻ると、俺の横に転移してくる影………
もちろん、危険なことは無く、残ったメンバーの3人が転移して来たようだ。
ジャネット「ご主人さま、我々も参加していいですか?」
「うん、よろしく頼む」
「「「了解」」」と言ってジャネット、ロゼッタ、パトリシアが、上空から魔法をはなって魔物を蹴散らせていく。
あちらこちらで大きな音がしている。
俺は気になる一体の魔物を鑑定魔法で見てみることにした。




