第644話 世界滅亡へ(幕開け)8
なんとエマとリアムがネコから人型になったことに俺は、驚いた………
しかも、人型が、本来の姿だったなんて。
人の姿をしていても、どれが本当の姿なんだろう?
剣? ネコ? 人型?
*
今は戦闘中なのでリアムは、またマントになったけど、目の前では人型化したエマが悪魔と戦っている最中だ。
エマはいつの間にか、剣を作り出している。と言うことは錬金術が使えるのか、アイテムボックスをもっているのか?
この二人については謎が多い。
いや、二匹か?
俺は小さな女の子を守る結界を維持しながら、エマの戦いを見ているが、危ないことは一つもない。
俺と同じように剣と魔法を使いながら悪魔を倒してしまった。
エマがこちらに帰ってくる前に、女の子に近づいたので俺は結界魔法を解除した。
悪魔の死亡は確認している。
安心して小さい女の子に近づいている。
エマが女の子に優しく声をかけると女の子は泣き出して、エマに抱きついた。
なんだか、この光景がすごく良い………聖母って感じ?
これが、俺だったら、こうはならない。
欲にまみれて、口からよだれを流しそうな感じに思えてしまう。
俺は索敵魔法を展開しながら、二人の光景を見ているとメンバーが少しずつ俺のもとに集まりだした。
目の前の光景を俺が見ていると、メンバーも見る。
イザベラが「ちょっと、あの綺麗な女性、誰よ」
「えっ、エマだよ」
「えっ? エマって剣かネコの姿でしょう? あんな綺麗な子な訳ないでしょう?」
「いや、ほんとうだって」
ジャネットが助けてくれて「そうですね、あれはエマですね」
「うん、そうだよ、俺も先に言っておくけど、知れなかったからね」
「そ、そうなの?」とアリシア
「うん、さっき、初めて、あの人型になって悪魔と戦ったから………」
「そうなんだ」
念話『おい、リアム、こんな時こそ、黙っていかないで、出てきて応援してくれよ』
リアム『………』
『おーい、リアム?』
リアム『はっ、寝てました。なにか言いました?』
『いや、もういい…』
また、夜更かしして本を読んでいるんじゃ、ないだろうな?
エマが立ち上がって、女の子と手をつないで、こちらに来た。
エマ「ご主人様、この子を母親のもとに届けてきます」
「うん、了解、注意するんだよ」
「はい」と言って歩いて行こうとしたら、「私も」と4人もついていった。
もちろん、その4人は、アレク、アデル、アイリス、エイミーの4人だ。
俺は、6人で歩いていくのを見送っていると、念話が入ってきた。
念話『クリス様、こちら、ブラッドフォートのハワードですが、聞こえますか?』
『うん、ハワード、久しぶり、どうしたの?』
『あっ、はい、こちらこそ、お久しぶりでございます、クリス様。実は困った問題があって、緊急事態なんです。ぜひともお力をお借りしたいと思いまして』
俺は、ただならぬ気配を感じて『なにがあった?』
周りにいるメンバーも俺を注視する。
『この王都から、10キロの山地に、魔物の出現と言う情報があって、数が大したことなければ、こちらの者で対処できるのですが、数が増えていてですね』
『どのくらいの数?』
『それが5万は超えていると言う報告が入っています』
『そ、そうなんだ、数が多いね』
『はい、ぜひとも力をお貸しいただけないかと』
『そうだね………うん、わかった、すぐに向かうから、そのまま監視をお願い』
『わかりました、では』
う~ん、どうしようか? まだ、この国に悪魔の反応がある。
俺、一人が悪魔を討伐して、早めに向かうか?
ジャネットが「私とロゼッタ、パトリシアで、ここは掃討しますので、ご主人様は、あちらへ」
「了解、なにかあったら、すぐに連絡を」
「はい、わかりました。エマたちも、帰ってきたら、すぐに向かうように言います」
「うん、そうだね。じゃ、消耗を最小限にするため、俺が転移させるよ」
「うん、わかった」とイザベラ。
全員が俺の周りに集まってきた………ジャネットに向かって頷いて、転移した。
転移したのは、俺とアリシア、イザベラ、ソフィア、コリン、セラフィーナ、シャーロットだ。
まずは7人でブラッドフォードへ行く。
俺は転移する前に、検索魔法で魔物が多いエリアを特定して、それに対して人が多い場所を特定して、その場所に転移する。
転移して、俺は、遠くを見る魔法で、うごめく黒いものが見える。
確認して後ろを振り返ると、陣地みたいなものがあり、木でバリケードが作られている。
その後方に、冒険者、騎士、兵士が並んでいる。
まずは急に出現したのが、敵ではないと言うことを証明しないと、後ろから攻撃を受けかねない。
「みんな、挨拶を済ませておこうか?」
「うん、そうだね」とソフィア
「でも、ここは加盟国だから、余計に、そういうのが必要だね」とイザベラ
「うん、そう言うこと」
俺を先頭に歩き始める。
転移をして移動することも考えたけど、俺たちを知らない人がいる可能性もある。
急に知らない奴が消えて、目の前に現れたら良いとは思わないから。
まだ、魔物が攻撃するまでには時間があるから。
数分で、やっとバリケードにたどり着く前に、遠くから、そこにいる人に声をかける。
「俺たちは、あやしい者じゃない、オーリス王国のクリスが来たと指揮官に伝えて欲しい」
「クリス?」
「そうだが」
「では、あなたが勇者のクリス様ですか?」
そこに後ろから出てきた豪華な装備を付けた人が出てきた。
「ああ、そうだが」
豪華な装備を付けた人が「お初にお目にかかります、私が、この現場を預かっている者です」と言って俺に対して地面に膝をついて頭を下げた。
指揮官が地面に膝を下すと、周りの騎士、兵士たちが、同じようにする。
立っているのは、冒険者だけ。
そこに、さらに後方から恰幅の良い大男が出てきて地面に膝をついて「私が、冒険者ギルドのマスターをしている者です」と名乗ったが、冒険者ギルドマスターは膝をつく必要はないと思うけど………?
「状況を教えて下さい」
「では、時間がありませんので、ここで説明させてもらいます。おい、だれかテーブルと地図を持って来い」と指揮官が言うと、すぐにテーブルと地図を持ってくる。
俺と後方にいるメンバーがのぞき込むと、地図には詳細ではないが、今の位置と、魔物の位置くらいは表示していた。
指揮官が「今は、3時間くらい前に、一報が入りまして、準備を整えている状況です」
「早いですね、立った3時間前の一報で、ここまで来て準備を整えているとは」
「それは、もう、すぐに駆け付ける用意をしておりました。まさか、勇者クリス様が来て下さるとは」
「うん、ハワードから要請があったからね」
「えっ、ハワード王からですか?」
「うん、そう」
「しかし、魔物たちが多すぎて、勇者様が来られても、大変、危険な状況ですが、今、さらに応援を要請している所です」
「いや、これだけいれば十分でしょう?」
「え、あ、あの………?」
「このメンバーがいれば大丈夫でしょうと言ったんですが」
「あっ、いや、ここには騎士、兵士、さらには冒険者を集めていますが、それでも300人もいませんよ」と言いながら冒険者ギルドのマスターをチラッと見る。
「いや、もう集める必要はありませんよ。俺たちだけで、何とか、やってみますから、うち漏らした奴はお願いしますけど」
「………しかし、あの数ですよ、勇者のパーティーメンバーと言っても、勇者様、含めて女性ばかり7人ですよ、たった7人で、あの数の魔物を相手するですよ」
「まぁ、そこは見ててください」と言って、振り返ると、さらにメンバーが転移して来た。




