魔族4
俺が魔族に会うために洞窟の近くに戻ってきた。
しかし、直接、洞窟に転移することはしない。
気配を消して、様子を見ることにした。
ここでふと頭の中をよぎったのは、教会のこと。
王からは、しっかりとした協会の名前を知ることができなかったけど、名前なんて、あまり意味をなさないから、どうでもいいけど。
どうして今頃になって、なんくせをつけてきたのか?
そういえば王は最近、教皇が変わったって言っていたな。
もし、オーリス王国や加盟国になにか問題が上がるようであれば、脱退または解散と言うことも考える必要がある。
それで問題が解決するならだけど。
どうも、そう上手くいくとは思えないが。
俺の最近の活動は、そんなに目に余るものではない気がするが。
以前あった、魔物が大量発生した件だろうか?
あれは、もう半年以上前だぞ。
しかし、それを今頃になって文句をいってくる人もいるから、時間の経過は、その人で違うからな……と考えていたら念話で「ちょっとクリス……」とイザベラから警告がきた。
念話「あっ、そうだった。ごめん」いけない、集中しなければ……
また洞窟の中にいる魔族の4人に意識を集中する。
しかし、あの4人が四天王だとは、まぁ、言っているだけでウソということもあるけど。
事実を確認する必要があるので、魔族の国に行く必要が出てきたが、そう簡単ではない。
と言うのも、事実だとしても、ウルフが王になっているわけだから、その取り巻き連中もいると思われるので、どうするか?
本当に厄介なことが続いてしまう。
普通、勇者なら魔物を倒して終わりだろうに‥‥‥
ドラゴンでも倒して、勇者として凱旋するなんて、面白そうだけど、あっダメだ、ドラゴンのボスがいるから。
ロゼッタが、今は女性として存在しているけど、以前、一度だけドラゴンに戻って、敵を脅してことがあったんだ。
もちろん作戦としてだけど。
あの時のロゼッタは、すごかった。
あたらめて神獣たちが味方で良かったと思った。
さぁ、何を話すために洞窟に入るのか?
簡単には魔族の国には行くことができないけど、勢力が二つに分かれているようであれば、国王派と反国王はだったら、問題は少し低くなる。
それを確かめるためにも、情報が欲しい。
ということは危険を犯す必要があると言うことで、俺は洞窟に向かって歩き出した。
今回は、姿を現したままだ。
洞窟を入る前に、今回は、驚かさないように大声で「俺だ、戻ってきたぞ」と叫んだ。
俺が声を変えると、洞窟の中で動きがあった。
洞窟の入り口あたりに四人が出てきたらからだ。
洞窟から出てきたので、俺も、そこから出て、四人に後ろを見せた。
もちろん警戒はしている。
背後に四人の魔族を従え、洞窟の外まで歩いていく。
念話「クリス!」
念話「うん、わかっている」
「そう簡単にはいかないか?」と後ろを振り返ろうとすると、魔族の四人が、もう、すでに攻撃体制に入っていた。
やはり、嘘だったのか!
魔族の四人は、同時に炎系のファイヤーボール、氷属性のアイススピア、風魔法のウィンドカッター、水魔法のウォーターカッターを放ってきたが、予想していたため、転移魔法で近くに転移した。
しかし、全部の魔法が予想していたみたいで、俺を追ってきた。
風魔法と炎魔法が合体して、威力が増し灼熱のような威力があるものに変化した。
まさにウィンドウ・ファイヤーストームというべき感じに。
そして氷魔法と水魔法も合体して威力が強いアイスストームになって俺を襲ってくる。
あちら、こちらに逃げながらも、魔族の攻撃魔法はカーブを描いて追ってくる。
木に隠れたりしながら、木にあたって霧散しないかと思うが、うまくコントロールしているので、空中停止までしている。
魔法を消すことは簡単だけど、今は、奴らの実力を見ているところだ。
四天王っていうのが本当であるなら、こんな実力じゃないだろう。
本当に四天王かも怪しい。
やはり嘘なのか?
攻撃魔法から逃げながら、ちらっと魔族の方を見るが、コントロールするのに余裕がない。
あちらこちらに逃げらがら観察しているが、必死に自分が放った攻撃魔法をコントロールしている。
地面を跳ねたり、木に足をついて飛び跳ねたりしているが攻撃魔法が遅い。
これは確かめなくても、こいつらは幹部の四天王とは違うと思う。
もうお遊びは終わりにしよう。
俺は逃げるのをやめて、攻撃に転じることにした。
木を蹴って、一瞬で魔族の奴らのところにいき、追ってくる攻撃魔法を、まずは魔族が避け切ることができるのか確認してみる。
魔族の四人は横並びに立っているので、俺は急転換して、奴らの前に行き、そこで一瞬で消えて近くに転移する。
俺が転移していなくなったときに、自分に当たりそうになることに慌てたのか、奴らは自分の攻撃魔法を、モロにくらった。
俺は動き止めて、しばらく、転移した場所に留まり、奴らの様子を伺う。
まだ攻撃魔法の煙が消えてないけど、検索魔法でわかっている。
数秒経つと、奴らがいる場所が、どうなったか、わかってきた。
煙が収まると、全員が、その場に倒れている。
俺は正直、がっかりした。
いくら魔族だって、こんな弱い奴らが四天王と言えるわけはない。
四天王といえば、最高幹部クラスだと思うから、王の側近の奴らだろうから、弱かったら王を守ることができない。
検索魔法で確認してみると、今は動きはしないが生きている。
しかし、どうもおかしい。
四人が倒れているところに、ドス黒い魔力が湧き出している。
何が起きるんだ?
四人が倒れている現場にドス黒い魔力が渦を巻いている。
ドス黒い魔力中心に、ゆらめきが起きて、しばらく見てみると四人が一つになって統合されていく。
山荘で監視していた誰かが念話で「うわっ、気持ちわる」っていう声がした。
本当に言葉の通り、気持ち悪い‥‥‥
陽炎のようになって四人が統合されて、一個の魔族が完成した。
爪は伸びて鋭くなって、牙も生えている、
「シュウ〜」と音がしている。
臭い匂いもしてきた。
俺は鑑定魔法で、確認してみるとレベルが89になっている。変化する前の四人の最高の奴でも67だったはずだ。
久しぶりに関係魔法でレベルを見てみたが、こんなことで上昇するのか?
融合したということは、四人の魔力を合わせている可能性もあるから用心する必要がある。
まぁ、待っている間も攻撃してもいいと思うけど、変化が終わるのを待つことにした。
変化が終わったみたいだ。 さっきまで聞こえていた音はしなくなった。
身長も、巨人といえるほど高くなっている。筋肉質になっているから力も上がっているのか?
これは、接近戦はやめた方がいいな。
組まれると厄介だ。
俺は相手との距離を置いて、間合いを警戒しながら、奴からの攻撃を待っている。
奴が、どれほどの実力かは、攻撃で判断できるから。
たぶん俺を攻撃するのは、手加減していることはないと思える。
もう攻撃をする段階で敵と認識しているから。
嘘でした〜ということはないだろう。
物語に出てるような「試したんです」とかは、それこそ信用しない。
敵になるか、わからない人を試すなんて、本当にどうかしている。
誠意を持って対処するべきだと思う。
攻撃してみて、当たったら、弱い奴だから、障害ないと思うだけでは済まされない。
強い奴だったら味方にできる、と思うのか?
俺だったら、そんな奴嫌だな。
人を試そうとする奴なんて、最悪だと思える。
一回でも人を騙そうと思う奴が誠実だと、どうして思えるのか?
しかし、理由はわからないが、四人の魔族が融合して?一個の怪物になったことは間違いない。
融合?
そういえばウルフの奴も、魔族の王と融合していると聞いた。
これと同じようなものなのか?




