魔族3
俺たちの山荘の近くの洞窟に現れた四人の魔族は、四天王ということだが、それが、貧困に喘いでいるので助けてくれということを言う。
しかし、本当か、嘘なのかわからない。
言葉巧みに嘘を言うことはできるが、俺を騙すためなのか?
でも、リアムとエマが、言っていることを合わせるとあっていると言える。
しかしオーリス王国の国王からも、早急にとのこともあるため、今は優先されるべきものが決まっている。
「俺は、住ませるべき用事があるので、あとで連絡するので、時間が必要だ」
「では、ここで待っている、お前の用事というものが終わるのを」
「どれくらいの時間がかかるのか、わからない」
「それでも、いい。お前が動いてくれることで、俺は何かが変わるような気がする」
魔族が、よっぽど切羽詰まっているのか、俺を信用すると言い出した。
「では、連絡する」と言って洞窟を出てくると俺の横に並んでエマとリアムがいた。
俺たちは山荘に戻ることにした。
もちろん察知されないように、数カ所に転移を繰り返しながら。
隠蔽の魔法と追跡の痕跡を残さずに転移して戻ってきた。
そして厳重にするために、気配を断つ魔法を俺たちにかけている。
追跡の可能性はない。
山荘に戻った俺たちは、全員が見ていたので説明は不要と考えた。
「さぁ、どうするか?、でも、俺は、オーリス王国に戻ってみるよ」
と言って、用事を済ませるために、オーリス王国の貸し出されたままになっている部屋に転移してきた。
そして部屋から出て歩いている人を捕まえて、王に話を通してもらう。
部屋の中で俺がウロウロして、新米冒険者のことを気にしながら待っている。
新米冒険者の方は、ウルフを討伐したみたいだ。詳しい話を聞きたいけど、今は王と話がある。
5分くらい待ってると、オーリス王が部屋にやってきた。
数人を連れて王は俺が待っている部屋に入ってきた。
「何事です?」
「それが、悪い知らせなんだ」
「何があったんですか?」
「この国に限らず、教会があることを知っているだろうか?」
「いいえ」
「教会とは、王を任命するときに神官が、この国を訪れて任命して下さるんだが、その神官様が、やってきて勇者に合わせろと言ってきた」
「それは、なんとも、それで、どうしろと言っているんですか?」
「勇者クリスを盟主と崇めるということは、教会と同じ立場になるということであり、勇者自体が異端だと言い出したんだ」
「どうして俺自身がいたんなんですか?」
「まあ、よくわからんが、盟主というのを因縁つけているだけだと思う」
「それで、どうすればいいと思いますか?」
「ワシとしては、騒ぎになることもなく、穏便が一番だと思うが、そういうわけにもいかなくなった」
「えっ、どういうことです」
「王都の屋敷が、奴らに囲まれているのじゃ」
「えっ、屋敷が?」
「うむ」
「それで、中にいるものたちは」
「連絡によると全員が無事だそうだ。今は奴らは過激なことに及んでいない。ただ君が帰ってくるのを待っているだけのようじゃ」
「では、俺が連れて行かれれば、いいということですか?」
「そういうことになる」
「しかし、今、魔族と交渉する段階に入ろうとしているんですが」
「どういうことじゃ」
「それがですね、たった今、そこから転移してきたところなんですが、魔族の四人が、洞窟に潜んでいて、話をしていたんですよ」
「俺が検索魔法を展開していなかったら見逃すところでしたが」
「それで?」
「奴らは、自分たちの世界が火山の噴火で滅亡するから助けてほしいというんですよ。それを話していたら、ちょうど王様から念話が入りまして‥‥‥」
「うむ、そうであったか」
「どうしましょうか?」と王に問うてみた。
「そうだな、急ぐべきものは、魔族の方だろう?」
「そうだと助かりますが。では教会の方は?」
「そうだな、それが問題だな」
「しかし、どうして今頃なんですかね」
「それはワシにもわからん」
「俺、何か教会の気に触ることをしたんですかね」
「そうだな、教会というのは、トップは教皇なんだが、最近、その教皇が変わってな」
「そうなんですか?」
「その教皇の関係かもしれん」
「なんだか厄介ですね」
「今は、どこにいるのかね」
「あっ今は山荘にいます」
「ブラッドフォード大公国のかね」
「はい、そうです。その近くに魔族もいますから」
「魔族との戦争も、長きにわたるものだが、人族とのトラブルもかぎりがない」
「生きていくのも、多くの軋轢がありますね」
「ああ、そうだ。王ともなると、その軋轢をうまく乗り越えていく必要がある」
「そうですね、王は教会をどう思っていますか」
「先代からの受け継ぎで教会には属しているが、今回の教皇は、気に入らぬ」
「本来なら、教会は国を、どうこうありがとうございますありがとうございますありがとうございます訂正を行っておりますしようとするものじゃないと思っている」
「そうですね」
「教会とは心の拠り所であれべきものであり、口出しするものじゃないと思う」
「私も、そう思います。心が不安定になった時に導いてくれるもの、それが教会だと思います」
「人としての教えを解くことこそ、教会の本質だと思える」
「そうですね」
「しかし我が国も信者が多いのは事実だ」
「あのシャーロットは?」
「あの子は信者ではない」
「よかった」
「シャーロットとは仲良くしているかね」
「ええ、今のところは」
「あの子は王女だから、君の嫁さんにピッタリだぞ」
「ええ、申し分はありませんよ、王様」
「となれば、ゆくゆくは君も王族として迎えることになる」
「まぁ、それはのちほど」
「それでは、王様、今は屋敷には立ち寄らない方がいいですね」
「そうだな、そうしてくれるか、今、屋敷には、我が国の兵士たちが君の屋敷を取り囲んで、教会の奴らを近寄らせないようにしている」
「そんなことしていいんですか?」
「さっきも話したように、わしは教会とは縁を切ってもいいと考えている」
「そうですか」
「国にあだ名すような存在は、必要ない」
「ええ」
「では、先に魔族のことを解決してみましょう」
「頼んだぞ」
「はい」と言って俺は、その場から転移した。
*
山荘に戻ってきたら、アリシアたちも全員が、揃っていた。
もう新米冒険者の方は方がついたみたんだけど、話を聞いてみたいけど、今は急ぐ必要があるから、それよりも重大なことを進めていく必要がある。
「みんな、お待たせ」
「おかえり、クリス」とアリシアが何か食べながら、挨拶する。
「えっと、知っての通り、魔族の関係を正す必要があるからね」
「それでクリス、どう動くの?」とイザベラ
「そうだね、また魔族のいる洞窟に移動して、奴らの言っていることの信憑性を確認する必要があるよ」
「それで、みんなには監視役を受け持ってもらいたい。エマとリアムは、魔族の国に行ったことがあるから、わかっているから情報を共有して、監視すること。それと、人の力を借りて感覚を覚えることも、自分の能力を拡大させる、いいチャンスだと思うから」
「うん、その辺はみんなと話して決めるよ」とアリシア
「じゃ、俺は、魔族と連絡を取るべき、洞窟にいくから」
「了解」
という言葉をもらい、俺は洞窟の近くに転移した。
そしていきなり入るのではなく、様子を伺うことにした。




