馬車の中の男 2
第52話 馬車の中の男 2
馬車にひかれて怪我をした母親が帰った後も、食堂で朝食が出てくるのを待っている。
食べに行くよりも、ここの女将さんの料理がおいしいからなんだけど。
でも食べる時も、ずっと口をモグモグ動かしながらして考えていたんだよね。
馬車の中の男が誰だったのか?
どこかで会っている!
と言うことがいつまでも頭の中にあってモヤモヤしている。
朝食をとって、少し時間があったので冒険者ギルドに行くよりも俺は部屋に戻ることにした。
他のメンバーは何か依頼がないか冒険者ギルドに行ってみるそうだ。
部屋に、こもる理由はわかると思う。
なんだか馬車の中の男が、すごく気になるし危険なような気がした。
一度、王城に戻って、王様や姫にでも聞いてみようかと思った。
そう思った瞬間、今まで悩んでいたパズルがつながり始めた。
そうだ俺は、奴と会っている。
しかも最近、会っている。
どこでだ?
そう考えながら、城?と考えるとパズルが繋がり始めたので、城の中であったんだろうと考えるてみる。
どこでだろう?
と考えていたところで、思い出した。
俺たちメンバー全員で王の謁見があった時だ。
カーペットの横に並んでいる人たちの中にいた。
窓側に並んでる列から見ていたが、反対側の廊下側の列に並んでいた。
多分、奥の王様から高位の貴族から並ぶと思われるから、一番先頭にいたと思われる人物がやつだった。
しかし、なんで凶悪、凶暴な奴だと言う事はわかるが、危険だと感じるんだろう。
奴の顔を頭の中に思い浮かべると、危険だと言う意識が働く。
名前もわからないけど、それを確認するために部屋を出て階段を降りていく。
聞いてわかるものではないかもわからないが、宿の店主に、この街にいる貴族の名前を聞いてみる。
王の謁見の時に全員の貴族が揃っているとは限らないが、先頭にいた男は、かなりの高位だと思われる。
と言うことを考えれば公爵か、侯爵か、伯爵あたりじゃないかと思う。
なので宿の店主に、知っている限りで構わないので全員の名前を聞いてみる。
紙とペンを借りて、名前を書いていく。
バードランド伯爵
ロイド公爵
ユーゴット公爵
ネイサン侯爵
う〜んあとは、
マテオ伯爵
「俺が知っているのはそれぐらいだな」
貴族だって、いつでも王都にいるわけじゃない。
自分の領地に帰ったりするからと店主は言った。
「詳しく知りたければ、兵士や騎士に聞くんだな」
それだけ教えてくれればありがたいと思い、俺はお礼を言って部屋に戻った。
多分、この中にいる。
なんとなくそう感じる。




