勇者のレゾンデートル(存在意義)15
俺がアンデットを倒すことをして戻る時に、地面の奥深くに生き残っている奴がいた。
多分、空間を作っていた奴の仲間だろう。
俺は、そいつを倒すことをせずに、泳がしておくことにした。
サイラス帝国に侵入した奴らも、アレク、アデル、エイミー、アイリス、セラフィーナ、シャーロットの活躍で倒す事ができている。
しかし、まだ戦いの途中で、終わっていない。
あと、もう少しのところまできて、苦戦をしているみたい。
それぞれが分散した戦いを強いられている。
特にシャーロットとセラフィーナが離されたところにいる。
四人のアデル、アレク、エイミーのメンバーは、そんなに遠くない位置にいるが、シャーロットとセラフィーナの2人は引き離されているし、消耗が激しいみたい。
次々に襲ってくる奴らに対して集める魔力を発動していない‥‥‥
つまり余裕がないのか、気が回らないのか?
いつものことを忘れている。
これじゃ、ジリ貧であとがない。
このまま続けていると危険なので、俺が今の位置にシャーロットとセラフィーナを転移させた。
「えっ?」
「あっ?」
「あっ、クリス様」とシャーロット
「あれっ、今まで前にいた奴らは?」とセラフィーナ
「君たち、いつものことができていないよ」
「‥‥‥あっ、そうでした」とシャーロット
「ご、ごめんなさい」とセラフィーナ
俺は、それ以上、言えなかった。
普段やっていることができなくなるくらい戦闘が過酷だと言うことだ。
俺は2人とともに戦いを続けることにした。
3人で扇形の陣形をとり、攻撃を再開する。
俺が参加したことでふたりにも余裕が少しできたみたいでいつも通りに基礎魔法を展開したままで攻撃を再開した。
基礎魔法を展開してシャーロットはファイヤーボールで攻撃を続けている。
同じようにしてセラフィーナもウインドウカッターで攻撃を続けている。
時には、同じ攻撃魔法ではなく、違う魔法も使っているけど、今回は消耗していない。
俺も魔法で攻撃をしながら、さっきの奴を確認しているけど、まだ地中、深くに潜ったまま、しかし寝ているわけではないみたい。
様子を伺っているみたいだな。
アレクたち四人も、ほとんど倒しているみたいだ。
あとは後ろからやられる可能性もあるので、確認作業をしている。
そこにアレクが転移してきて「ご主人さま、全部、倒したと思うんですが、どうです?」と腕にまとわりつきながら聞いてきた。
俺が検索魔法を切り替えようとしたが、さらにもう一つ検索魔法を同時に発動してみたらできた‥‥‥同じ魔法でも多重に発動できるもんだな。
「うん、アレク、大丈夫みたいだよ、ご苦労様」
「やったね」と俺の腕を振り回し、はしゃいでいる。
そこにアデル、エイミー、アイリスも転移してきた。
「みんなご苦労様」というけど、俺の左腕にアデルがしがみついている。
アイリスとエイミーも俺に近づいてくるけど、俺の腕は2本しかないから、そばで見ている。
戦いが終わろうとしているのでセラフィーナとシャーロットも俺の方をチラ見している。
*
サイラス帝国での戦いが終わったので、報告のため、サイラス皇帝に会いにきているが、イーノック王国の地面に隠れている奴は、まだそのまま‥‥‥
今は、サイラス皇帝から接待を受けている。
もちろん、食事だけど、しかし、他のメンバーで勇者の国に行ったジャネットたちも気になる。
俺は、2ヶ所の確認をしているが、一つはメンバーの行ったところと、もう一つは地中に埋もれている奴。
地中に埋もれている奴が、そろそろ動き出しているが、気づかれることなくマーカーをつけているので、どこに行っても追うことができる。
俺は食事を食べながら、あとはメンバーのことをストーカーするわけじゃないけど、検索魔法を行使して危険がないか、見ている。
今は街で情報を集めているところみたいなので、まだ勇者は見つかっていない、そして宿をとっているので、そこにいつでも転移できる。
やはり活動拠点の宿は大事だ。
宿がなければ路地に転移することもできるが‥‥‥。
今まで行ったこともない国だから、街中で急に姿を表すのは控えたいが‥‥‥
俺は検索魔法に集中するため、あまり喋ることはしないが、アレクとアデルとエイミーとアイリスは、サイラス皇帝の娘のミーアを楽しそうに話している。
俺の横にはシャーロットとセラフィーナが両横に座っている。
どこでも座っていいからと言われて、座ったら、2人が俺の横を選んで座ってきた。
決して俺から座ったわけじゃないぞ。
しかし、2人とも、お上品に食べるから、庶民の俺は真似できない。
だから、比べられると、少し恥ずかしい。
俺は田舎育ちだから、マナーも知らないから、こんな席に出たくない。
しかし、セラフィーナとシャーロットの他にもアレク、アデル、エイミー、アイリスがいるので、気にしなければいいけど、アイリスは、お上品に食べている。
しかしアレクは俺と同じくらいの食べ方をしている。
皇帝もミーアも、アレクや俺の食べ方を見ても、何も言わない。
しかし冒険者なんて、こんなもんじゃない?
だって、寝るのは、テントもなしに寝ていることもあるし、馬車の中なんて、もってのほかだ。
貴族、王族は、野宿するうことなんてないと思う、ほとんどが、宿場町まで行くか、馬車の中だ。
そういえば、初めて貴族からの依頼を受けたときには知らないでシャーロットの依頼を受けたんだけど、シャーロットは場所から出てこないで寝泊まりしていたみたいだけどトイレはどうしたんだろう。
聞くのが怖すぎて聞けない‥‥‥
そんなことを聞いたら、ビンタの一発でも飛んできそうだ。
俺は、サイラス帝国で食事を振る舞われているけど、突然にアレクとアデル、エイミー、アイリスと俺の4人が席を立った。
4人が、こちらを見ているので、俺は頷く。
アレクは食べていたパンを手でもってミーアにバイバイしている。
それを見た他のアデル、アイリス、エイミーも同じようにしようとしたが、流石に手に持つことはできないので、近くにあったシートに包んでいた。
そして四人は転移した。
「えっ」とミーア。
「皇帝、ミーア、緊急事態発生なんだ、ここでお暇するよ」
「じゃ、私たちも」とシャーロット
「そうだね、行こうか?」とセラフィーナの2人も席を立つ。
シャーロットとセラフィーナは遠距離の転移はできないが短距離の転移しか、できない。
なので、俺の横に立つ。
「クリス様、お願いします」とセラフィーナ
「クリス様、頼ってしまって申し訳ありませんが」とシャーロット
「では、皇帝、ミーア、また会う日まで、本日はありがとうございます」
と言って皇帝やミーアが口を開く間も無く転移した。
最後にテーブルに残った皇帝とミーアは「‥‥‥」
「なんだか、慌ただしいな‥‥‥」
「でも、クリス様が、急ぐことがあったということですね」
「うむ、それは、そうだが」
「クリス様が、食事の途中でも、緊急事態には、行かなければならない、それが勇者なんですね」
「そうだぞ、勇者っていうのは、人からも羨ましがられるが、結構、きついことだと思う。」
「そうですね、勇者はクリス様しかいませんもの」
「あれだけの能力を持つ勇者なんて、特別だぞ」
「はい、私も、そう思います」
「今は俺たちが軍事協定を結んでいるが、本来なら勇者は、うちに欲しいくらいだ」
「はい、わかっております、各国が勇者を欲しがっているのを」
「今は勇者は、拠点をオーリス王国に置いているが、全部の国が、勇者の存在を欲しがっている」
「はい」
「もし、自国のものにならなければ暗殺を企てようとする国もいる可能性もある」
「はい、それは考えていました。クリス様のお力はあまりにも強大すぎます」
「力が手に入らなければ、無にするという輩も出てくるだろう」
「はい‥‥‥」
「しかし俺たち同盟国で、それを阻止せねばならん」
「お父様‥‥‥」と言ってミーアの瞳から涙がこぼれる。
「お前がクリス君を好いていることは、とうの昔にわかっておった」
「はい、あの時、助けられてからです」
「そうだろうな、あの時、クリスくんのそばに置く時間が長すぎた」
「はい」
「お前は、この国、一番の魔法の使い手に成長しつつある」
「‥‥‥」
「これもクリス君の指導のおかげだろう」
「はい、そう思います」
「もう、お前も10歳になる、そろそろ婿の貰い手も考える必要がある」
「クリス様、以外は‥‥‥」
「ああ、それも知っておる」
「幸いに弟も生まれて、世継ぎができた」
「はい」声が明るいミーア
「これからの人生も、考える必要があるな」
「はい、お父様、ありがとうございます」




