救世主への道35(レジーナ王国編)
俺は国を纏めるために王女とクロード公爵を使って、他の貴族と話をしてもらう、できるだけ多くの貴族を味方につけることだが、全員は難しい。
この国にも名前は違うかもわからないが元老院みたいなところがあって王と貴族が話し合いをする場があるはずだ。
王の権力でできる決定と、元老院ができる権力は違いがある。
特に、今は緊急事態なので多数決を取られると王女が王になることができないけど、俺は王女にこだわっていない。
というものクロードの方が王として適任だけど、そんなことをすれば貴族の票が入らないということもある。
王家の血筋というのが何よりも大切なんだ。
以前、シャーロットとセラフィーナに聞いた話だけど。
平民のまとまりがいいんだそうだ。
しかし貴族は違う、自分が今の王族にとって変わり王になりたいという奴もいる。
クロード公爵と王女の貴族と縁を強固にするため、こちらから出向いていくことになり、どれくらいの貴族を訪問するのかわからない、有力貴族さえ抑えてしまえば、いいと思う。
なんだか本当にややこしい。
しかし王女の方は、どうかわからないけど、クロード公爵は有力の国の重鎮らしいから期待が大きい。
あとの残った俺たちは、今は何もすることがないので、待機しているが、俺は考えている。
何かすることがないのか?
あっ、そうだ。俺は、思いついた。
俺は行動に移すことにした。
「みんな、いいこと? を思いついたから協力して」
「そこで、でた疑問符が気になるわね」とイザベラ
「あまり、いいことではないんだけど、国のためだから」
「それで、どうするのよ?」とイザベラ
「王女の対抗馬を立てようと思って」
「えっ、対抗馬?」
「そう、このままじゃ、多分、うまくいかないと思う、うまく行っても時間がかかりすぎる」
「だから対抗馬を立てて、悪い王にでもなるつもり?」とアリシア
「そう、その通り、さすがアリシアさん」
「クリスは、それでいいの?」
「仕方ないよ、誰かが悪を演じれば、それだけうまくいくと思う」
ソフィアが「じゃあさ、私たちも、悪を演じるよ」
「うん、みんなが演じてくれた方が、迫力あるから、頼むよ」
「ああ、そんな役割ですね」とアリシア
「まぁ、そんなもんだよ」
「でも、どうやって奥の王さまを演じるのよ」
「そこが問題だね。う〜ん」と俺は腕を組んで考える。
悪の王様かぁ
「いっそ、ロゼッタに手伝ってもらう?」とアリシア
「えっ」
「ロゼッタに、元の姿になってもらって」
「それはロゼッタが可愛いそうだよ」
「‥‥‥、そうね、ごめんなさい」
「あっ、でも、その案、頂き」
「えっ、どうするのよ」とイザベラ
「みんなは、城の中のことを見ていてくれる?」
「うん、いいけど‥‥‥」
「あとは、どうなるか、わからないけど、俺がやってみるよ」
「貴族の方に行ったクロード公爵と王女は、身近な人から行っていると思うしね、言い訳はどうでもなると思うから。
じゃ、時間がないから、行動開始」
「クリス、もう少し説明しなさいよ」
「あとでね」
俺は思いついた方法で行動に移すことにした。
全ては俺が悪者になる方法で‥‥‥
クロード公爵と王女には、一度、戻ってもらった。
これにはクロード公爵と王女の役目が重要になる。
「どうしたんだ。さっきまで王都にいる公爵にあっていたんだが」
「あっ、そうですか、ちょっといいアイデアを思いついて」
「その良いアイデアっていうのは、なんだ?」とクロード公爵
「国というよりも貴族を纏めるために、悪を作ります」
「なんだって悪を作る?」
「はい、今、王都では、クロード公爵のおかげで制圧できていますが、この情報を知っている人は多くありません。そのため、もう少しだけ情報を統制して漏れないようにしてもらいます。」
「ああ、それくらい容易いが」
「それから、そうですね、精神的におかしくなった第二王子のルーカスが、王と第一王子のダニエルを斬りつけたけど、王とダニエルは一命を取り留めたが、いや、これじゃだめだ」
「お前さん、どうしたいんだよ」
「もう一度、話を戻しますよ、そうですね、俺が井戸に麻薬を入れて城の機能をなくして城を乗っ取ったことにしましょ。
そこにあなたたちが、兵士を連れて城を奪還する。そして悪い奴を追い出す。
うん、これのほうがいいですかね」
「‥‥いや、だめだ」
「えっ、どうしてですか?」
「お前さんが悪人になっているじゃないか、そんなことできるわけねえよ。
お前さんは、この国の恩人なんだ、恩人に対して、そんなことをしたっていうなら、先祖に顔を向けられねえよ」
「そうですよ、クリス様、私も反対です、あなたが、あの図書館で声をかけてくれてからの、あなたの行動、すべて、この国のことを思ってのことです。戦争を起こして多くの民を失ってしまうようなことをしたのはお父様と兄2人の責任です。それを考えれば重罪に値します。
クリス様、どうか、そんな悲しいこと考えないでください。」
「そうだったね、ごめん」と俺は頭を下げた。
「いや、あんたが謝るのはやめてくれ。ここは俺たちがしっかりしなけりゃいけないんだ」
「そうですね、クロード公爵、クリス様に責任を押し付けて悪を演じて国が安定しても、私たちの心は、どうなるんですか?
一生背負っていくなんて、私は嫌ですよ」
「そうだったね、そこまで考えなかった、本当にごめん」
「いえ、クリス様が考えたのは、この国が早く安定できるようにと言うことで‥‥‥、その努力を私たちがしていないと言うことだと思います。
今から手伝ってもらって、一生懸命、頭を下げてでも、貴族の方に説明をしていきたいと思います。」
「そうだな、貴族を一軒、一軒、訪問するよりも、みんなに集まってもらって本当のことを話そうや」
「そうですね、嘘や偽りよりも、本当にあったことを話してみましょうか。もし、それで納得がいかない貴族の方がいらっしゃったら、その時は、私はお城を出ます。
やはり王族というのは力で支配するよりも、したってもらった方がいいですから」
「よく言った、その時は、俺んとこに来い」
「えっ」
「もし、お前さんさえ良ければ俺の領地に来てほしい」
「そ、それって」
「ああ、今まで言えずにいたが、どうか、こんな年寄りだが、結婚してほしい」
「まぁ、こんなことが起きるなんて、信じられない‥‥‥」
「それで、どうだ」
「はい、私もあのネックレスをいただいてから、あなたを、その‥‥‥」
「じゃ、いいんだな」
「はい、よろしくお願いします」
というとメンバーが2人に近づいて「よかったね」とか、「おめでとう」とか言っている。
「これも、すべてクリス様のおかげです」と王女
「そうだな、お前さんは俺たちの仲を取り持ってくれた、あの日、俺の領地をお前さんが来てくれなけりゃ、こうなることはなかった、ありがとうよ」
「いえ、俺の方こそ、お二人の縁を取り持つことができてよかったですよ、でも弟のゼノに言う時は大変ですね」
「あ〜、そうだった、一番の問題の奴がいるんだった」と落ち込んでいる。
「あの、私から話しましょうか?」
「あっ、いや、ゼノには俺から話す」
「それでは、これで王は、どちらがなりますか?」
「それはやはり、王女だろうな、俺は王の資質はない、どっちかというと国の宰相にでもしてくれればいい」
「では、アレキサンドリア女王と宰相のクロードということで」
「私が女王?」
「そうですね、もう逃げられませんよ」
「ええ、逃げたりしません。
この国を変えることができるのは、私だけです、それができないとクリス様、あなたに笑われてしまいます。
大魔法使いクリス様、本当にありがとうございました。
そしてパーティーメンバーの皆さんも、本当に、この国を救って下さって、ありがとうございます」
「でも、これからは大変ですよ、選んだ道は厳しいかもしれませんから」
「そうですね、でも、クロード公爵がいらっしゃいますから」
「そうですね、1人でできないことでも、お二人ならできると思いますよ」
そこに危険を知らせる予知を感じた。
「えっと、もう少し、国のことを見守りたかったけど、急用ができたみたい。もういかなきゃいけない‥‥‥」メンバーみんなの顔を見渡す。
みんなは何かを感じたと説明しなくても俺の顔を見れば理解している。
「なんだ、俺たちの結婚式にも出てくれないのか?」
「ええ、そうなりそうです、時代が俺たちを必要としています」
「‥‥‥そうか、止めはしねえよ、いつまでも元気でな、俺たちはお前さんたちのことを一生忘れねえぜ」
「はい、ありがとうございます、お二人ともお幸せに」
メンバーがそれぞれ、お祝いを言ったりしている。
「じゃ、行こうか?」
「そうだね」と言って俺たちは次の現場に行くために転移して消えた。
*
「いっちまったか」
「はい、行ってしまいました」
「一体、あいつらはなんだったのか?」
「さあ、私にはわかりません」
「そうだな、しかし未来から来たと言っていたが」
「でも、この国を救ったのは、紛れもなくクリス様たちです」
「そうだな、違いないな」
「たった数日のことですが、なんだか数ヶ月もおられたような気がいたします。
「あいつらは、どこから来て、どこに行くんだろうな?」
「気になりますか?」と王女が笑っている。
「いや、今はアレキサンドリア、君の方が気になるよ」と言って2人は近寄って、キスを交わした。




