救世主への道3
第544話 救世主への道3
「皆様、リアムの妻のエマと申します、ご主人さまを救世主にするために使わされました、よろしくお願いします」とエマが挨拶する。
「みんな、リアム同様、よろしく頼むね」
「うん、こちらこそ、よろしく、でも、どうしてネコなの?」
エマが「それは動きが速いからです。何かあった時には、しなやかで早く動けることが大切です。そしてリアムがご主人さまを守るマントで、わたくしエマがご主人さまと戦う剣です」
「奥さんの方が剣なんだ」
「はい、リアムの方が、守る能力に長けていて、私の方が戦うことに長けているからです」
「一度、剣になって見せてよ」
「いいですよ、じゃ、私だけじゃ、なんですからリアムも同時にしてみましょう。ご主人さま、いいですか、私とリアムを呼んでください」
「うん、わかった、リアム、エマ、来い」というと、2匹の姿が突然、消えて肩にマントが出現し、手の中にはすっぽりと剣を握ることができた。
「おおっ、すごい」
「クリス、これぞ、勇者だって感じがする」とイザベラ
「うん、なんだか、そんな感じがする」とソフィア
「うん、そうだね」とアリシア
「クリス様、かっこいい」とシャーロット
「うん、私も、そう思う、まさに勇者だね」とセラフィーナ
エマとリアムの剣とマントは好評みたいだ。
*
俺はメンバー全員と庭に出てきたが、まだキャサリンがいるんだけど帰らなくていいのかな?
メンバーが攻撃する役目をしてくれるので、練習をすることにした。
俺の、すぐ横にエマとリアムがいる。
そして向かい側には、メンバー全員がいるんだけど、まずはジャネットからファイヤーボールで俺を攻撃してもらう。
ジャネットが、ファイヤーボールを発射してから「2人とも来い」というと一瞬で消えて俺のマントと剣になった。
そして俺が結界魔法で防がなくても、マントが自動的に前へ行き、ファイヤーボールを防いでくれる。
「次は全員で攻撃してきて」というと「クリス、当たっても知らないわよ」と言われた。
「うん、その時は、しっかり治療してくれるとありがたいよ」
「うん、それならクリスの魔法の指輪を使って攻撃するわよ」
「えっ、俺の‥‥‥」
「だって、使わないと練習にならないわよ」とイザベラ
「あっ、そうだね、よし、わかった、いいよ」と言うと
「じゃ、みんな行くわよ」とソフィアが言って、みんなは同時にファイヤーボール、アイススピア、ウォーターボール、ウィンドカッターなど得意の魔法を発射する。
俺は練習なので剣を前へ出して剣を横殴りに振って剣だけで、攻撃魔法を防いで見せた。
「うわっ、魔法を剣で防いだよ」とイザベラ
「魔法を剣で切ったよ」とソフィア
エマの剣は、勇者の剣よりも重たいのに、すごく軽く感じて振りやすい。
手に馴染んでいることも要因だと思うが、俺専用に作られた剣みたいだ。
なんの金属なのか知らないけど、すごくいい感じだ。
俺は、剣をもっと手に馴染ませるために、振ってみたが、硬い剣が曲がっているようなムチのような、しなりをみせる。
「ヒュン、ヒュンッ、ヒュン」
そこにアリシアが近寄ってきて、「ちょっと私にも剣を貸して‥‥‥」といってきたので、俺が持っている剣をアリシアに渡した。
アリシアが俺の剣を受け取ると、落としそうになった。
「なに、これ、重た」と言って必死に抱えている。
「えっ、そんなに重たいの?」とイザベラがアリシアから剣を受け取ろうとする。
「えっ、腕が折れそう」と剣の鞘を持つことさえできない。
「そんなに重たいの?、ちょっと貸してみて」とソフィア
今度がソフィアが剣を受け取り、「うわっ、こんな重たい剣を触れるの?」
「えっ、そんに重たいんですか?」とシャーロットと言って剣を持つ
「うわっ、本当だ、無理、無理、こんなの持つこともできない」
ジャネットが「ちょっと私もいいですか?」
「うん、どうぞ」と言って剣を渡した。
手に持った瞬間、手が下に落ちてしまう。
「うわっ、なんですか、この重たさ、よく、あんなに、しなるように触れますね」
「えっ、そう? 俺にピッタリだから、全然、重たくないよ」と言って俺の手に戻ると重たさがないように感じるくらい軽い。
俺は剣を手に戻して、鞘に入れる。
そうした途端、剣がネコのエマに戻った。
「私の剣はクリス様、専用に調節してあるんですよ、クリス様がいくら振っても疲れないように、無限に触れるように魔法を充填しながら戦うことができるんです」
「無限に?」
「はい、剣が振れば振るほど、消耗しますよね、その点、私の剣は、ご主人さまように調節して、使った分だけ魔法力も体力も充填されるように作られています」
「そうなんだ、すごいね」とイザベラ
「そしてリアムのマントも、同じことができます、単純に攻撃を防ぐだけじゃありません」といったところでリアムもネコの姿に戻った。
リアムは右手を舐めながら顔を洗う。
「よし、これで練習は終わりだよ、食事しようか?」と言うと賛成という声がした。
俺は一度、部屋に戻ってきた。
もちろんエマとリアムを連れて。
「2人に聞きたいけど、いいかい?」
「はい、聞きたいことはわかっています」とエマ
「さっき言っていたことが必要になるということだね」
「はい、その通りです。ご主人さま、さすが、わかっていましたか」とエマ
「俺が攻撃を受けることがあるということだね」
「はい‥‥‥」
「今までは俺は、攻撃を受けることなくダメージらしいことは受けていない」
「はい」2人の顔が真剣になった。
「ご主人さまは、今まで攻撃を体に受けることはありませんでしたが、これからは、そうは行きません」
「俺を守るためということだね」
「はい」
「誰に?」
「ご主人さまもわかっていますよね」
「うん、復活したウルフだね」
「はい、ウルフはより強力になって復活を遂げました。復活したウルフは、魔法力もご主人さまに匹敵しています」
「あの時、創造神ナサニエルがウルフを殺したのは、、強くするため?」
「はい‥‥‥」エマ
リアム「ウルフをより強力にするために、仲間でも簡単に殺してしまうのが、奴らの手口です」
「しかし、ウルフの奴は神が作った神獣だろ、殺しても殺しても、また、復活してしまう、やつを殺す手段なんてあるのかい?」
「ご主人さま、たぶんですが、ある程度、わかってらっしゃいますよね」
「ああ、たぶん、あの方法なら、魂を消滅させることができて、復活しないんじゃないかと言う方法‥‥‥」
「その方法を早く完成させてください」とエマ
リアムが「でも、完成されるのは、あと数年はかかります」
エマ「そうよね、でも未来は変化するのよ」
リアム「うん、ご主人さまなら早く完成させることができるかもしれない」
エマ「そうね、それだと、ご主人さまにプレッシャーを強く与えることになるわ」
俺は聞いているだけ‥‥‥
2人はしばらく話をしていたが、結局は、俺次第だと言うこと。しかしウルフの魂を消滅させる魔法は、まだ先のようだけど急ぐ必要がある。
世界がなくなってからでは遅い。
別に救世主になりたいわけじゃない。
世界を救うことも考えちゃいない。
俺はアリシアとの世界を築きたいだけ、そのために、救世主となる。
それが結果的に、世界を救うことになる。




