1000年前の世界17(ジュリアス伯爵と疑問)
ジュリアス伯爵は自分の屋敷で何かをしているみたいなんだけど仕事をするような部屋じゃなく今現在は地下にいるみたい。
地下の3階にある部屋に実験道具がいっぱい置いてある。
ジュリアス伯爵がいるところは何かの研究室みたいな感じだ。
研究室と言うと嫌な感じがするんだけど。
もしかしてジュリアス伯爵がウルフか?
今までもウルフの奴だと思われる物は実験室にいて何かを研究していた。
ある時は麻薬を研究していたり、ある時はドス黒い魔力のブラックボックスを研究していたりしていた。
しかしウルフの奴が1000年も遡る必要があるのか?
どうして1000年前のガルシア帝国なんだ?
1000年も遡る必要があるのか?
それも前世のアルベルトの時代に攻め込んできたガルシア帝国なんだ?
どこかに繋がるような気がしている。
なんだろう、この感じ、今まであったことが、全て一つになるような気がする。
今まであった麻薬事件、そしてダイラス連邦の誘拐事件、ボールドウィン王国の麻薬事件、全てが関係しているような気がしてきた。
麻薬をどう使うのか、わからないが、それには人がいる、だから誘拐さ‥せ‥た?
捉えて性的なことや、切り刻むことも起きていたけど、もしかして全て麻薬の実験に使われた?
俺はなんとなく、そんな気がしてきた。
全ては、麻薬の実験をすることが目的?
考えろ!
どこかに繋がっているぞ。
もしかして誘拐もブラッドフォード大公国の前王が主犯格じゃなく、ウルフが操った?
オーリス王国の伯爵領でも麻薬で街が汚染されたのは、最終的には伯爵じゃなく、ウルフが糸を引いていた?
なんだろう? このしっくりとした感じ。
じゃアリシアが誘拐させそうになったのも、ウルフの奴が麻薬の実験で人を集めるためのもの、それをブラッドフォード大公国の前王が横取りしていた?
それに巻き込まれたのがセラフィーナ?
そう考えれば考えるほど、まとまってくる。
もしかして俺が冒険者になって、初めてシャーロットと会った、その時も王子や王の暗殺を企てたのはウルフなのか?
オーリスが何かを知って邪魔になった?
それとも国自体を奪おうとしたのか? それを俺がじゃなした?
なんだか、今まであったことが、全て一つになって繋がってくる。
ウルフは麻薬で人の頭を変にできるようになったのか?
ウルフ自体は神獣だから、1000年以上は生きられるだろう。
1000年前から麻薬の実験をしていたのか?
そして、それができたのが、700年前の前世のアルベルトとしていた時代の未来のガルシア帝国が起こした?
もしかして麻薬でガルシア帝国全体をおかしくして戦争に突入させた?
ウルフは人を操れるけど、そんなに多くの人を操れるわけじゃない。
でも、麻薬で頭をやられた奴らを支配することは可能なのか?
*
俺は途方もない計画の一端が関与している可能性を捨てきれずジュリアス伯爵を監視にすることにした。
ジュリアス伯爵はウルフの可能性が出てきた。
偽装が上手くなっているので、この世界にいることはわかるけど正確な場所までは検索魔法でサーチしてもわからない。
検索魔法でも、あの人の皮を被った状態のウルフを見つけることは容易ではなくなるほど巧妙になってきている。
以前だったら、人の皮を被っても見つけることができたのに、今は難しくなってきているのはウルフの特性かもしれない。
動物の狼は隠れるのが上手いし、ずる賢い動物でもある。
一匹狼もいれば、群れで行動する狼もいる。
ウルフの奴は、一匹狼だな。
そう、そう、忘れていたけど魔族の存在も気になる。
もう、やることが多すぎる。
俺は特にマークすべき人物を念入りにすることにした。
それはロバート男爵とジュリアス伯爵だ。
ロバート男爵は、仕事中だからジュリアス伯爵が何をしているのか気になる。
ジュリアス伯爵は、自分の屋敷での地下2階の研究室っぽいところにいる。
しばらくはジュリアス伯爵の行動を監視する。
ジュリアス伯爵はフラスコに水を入れて沸騰させている、そして何かの粉を入れた。
テーブルの上に置いてある草があるけど、どうも麻薬みたいに見える。
研究ノートに書き留めながら、また、実験している。
麻薬で何をするのか?
単純に麻薬患者を作って常習化させて金儲けとは考えにくい。
そんなことだったら、世界中のどこでも、そういう悪い奴はいる。
伯爵本人がする必要はないと思われる。
技術を手に入れて命令をするだけでいいはずだ。
伯爵は、以前も扱ったことが経験があるような慣れて手つきで、実験をしている。
失敗して中の液体を流して捨てることも多いけど、たまには、もう少しだ、と言う時もある。
ジュリアス伯爵は、ウルフとは違うのか?
ウルフは、こんな研究ができるのか?
*
そこに麻薬患者みたいな男性が連れられてきた。
両方をガタイの大きい男性に挟まれてロープで縛られているわけでもない男性は、椅子に座らされて伯爵から、何かの水を飲まさせれた。
5分くらい経っただろうか、男が突然、苦しみ出し両方から押さえつけられる。
しかし男は口から泡を吹いて息だえた。
「くそっ、失敗か」と伯爵
「おい、そいつを連れて行け」と伯爵。
そこにウルフが転移して現れた。
ジュリアス伯爵がウルフじゃなかったのか。
ジュリアス伯爵が「これはウルフ様、今日は、どうされましたか?」
「伯爵、早く、命令通りに動く人形を作れ」
「はい、もちろん、わかっているんですが、どうも実験がうまくいかずに。たった今も実験体に男に試したところ、ダメでした」
「そうか、難しいのはわかっているが、頼むぞ」と言ってウルフは消えた。
やはりウルフと結託して悪さをしている。
どうするか?
今はジュリアス伯爵が何をやろうとしているのか、確認する必要があるので、動くのは、その後の方がいいと考える。
ジュリアス伯爵が、研究室を後にしたのは、それから3時間後だった。
最後の方は研究がうまくいかず文句ばかり言っていた。
ジュリアス伯爵が研究室から出て行ったあと、すぐに動くことはしなかった。
なんだか、感が働いたと言う感じで、時々、索敵魔法で確認することにしていた。
ジュリアス伯爵がいなくなって、1時間くらい経った頃に、やはりウルフが舞い戻ってきた。
キョロキョロして誰もいないのを確認してウルフは実験道具が置いてあるテーブルに行き、伯爵とは違う実験道具で何かの実験を始める。
ウルフが異空間から取り出したものは、あのドス黒い魔力が詰まっている箱だった。
ウルフは伯爵とは違うことをするみたいだけど、あの箱をどうするのか?」
ウルフはテーブルの上に箱を置いて、それを魔法の能力で複製を作っていく。
そして箱だけ50くらい作ると今度は黒いボールみたいなものを一つ異空間から取り出した。
それも量産していく。
何をするんだ?
量産が終わったみたいでウルフは次の行動に入る。
ウルフは、黒いボール50個を前にしてボールに自分のドス黒い魔力を込め始めた。
ウルフの手から、どんどんドス黒い魔力が注がれる。
突然、ウルフは周りを見渡した。
気がついたのか、俺はここで索敵魔法を解除した。
もっと索敵魔法の精度を上げて、ウルフにさえ、わからないようにしなければ。
たぶん、今もわかったわけじゃないと思う。なんとなくおかしいと思えるくらいだと思う。
俺の能力も上がってきているけど、ウルフだって遊んでいるわけじゃないみたいだな。




