1000年前の世界14
城に潜入して情報を得て、マークすることに成功したけど、王族だけでも5人、そして貴族が2人いるので、大変だから、俺がマークした人をジャネットに頼んでみることにしたけど、できるのか、わからない。
「ジャネット、俺がマークした人でも追跡ができる?」
「はい、ご主人さまの魔法を追えばいいわけですから、やってみたことはありませんが可能だと思います」
「じゃ俺は一番の黒幕を追うから、ジャネットは王族を監視してもらえる?」
「はい、了解です」
俺は人数的には少ないけど、貴族の2人を監視していく。
特に悪が確定しているのはロバート男爵だ。
ロバート男爵が主犯なのか、それとも指図する奴がいるのか、未だ不明だから。
何よりもロバート男爵を見張るしかない。
王族の方はジャネットに任せて、俺はロバート男爵を追跡することにした。
今夕方になったのでロバート男爵は仕事の時間を得て帰宅するために馬車に乗り込んだと思われる。
ロバート男爵がまっすぐ屋敷に帰るのか、どこかに寄り道をするのか確認をおろそかにできない。
馬車はガタガタ音を立てながら進んでいく。
男爵は葉巻を加えながら足を組んで座っている。
一緒に来ていた人はいないみたいだ。
男爵が馬車を止めたのは、酒場だった。
酒を飲んでいくのか?
男爵だけ馬車から降りて馬車は動き始める。
男爵は酒場の扉をくぐった。
扉から、さらに奥に歩いていきながら店主に話をして個室らしきところに通された。
個室には男爵しかいない。店主がオーダーを聞きに来て、酒と食べるものを注文したみたい。
店主が出ていき、男爵は、また、葉巻に火をつける。
そこに、もう1人の人が入ってきた、男爵は立ち上がり葉巻をおいた。
男の顔を見たら城で報告に行った人だ。
「ネイサン子爵、早かったですね」と男爵。
「ああ、男爵、君も気掛かりだろう?」
「もちろんです」
「早く計画を進めていかないといけないからね」とネイサン子爵
「送ったものたちは、帰るまでには、あと1日くらいはかかるでしょうね」
「と言うことは明日か」
「はい」
「まぁ、今日は前祝いと行こうか、男爵」
「そうですね」
そこに店主がアルコールを二杯持って入ってきた。
店主がアルコールを置いて出ていくと「じゃ、明日に乾杯だな」と言って2人で乾杯して飲み始めた。
十中八九間違いないと思うけど、この2人が黒幕の実行犯みたいだ。
ネイサン子爵にもマーカーをつけることにした。
男爵と子爵が黒幕で他の関与がないのか、この2人が、そんなに実力を持っているとは考えにくいけど。
貴族でも、もっと威風があって、さも、悪人ってやつじゃないと王族を意のままに操るなんてできないはずだ。
もっと王族に簡単に近づけるやつがいるはずだ。
しかし建国から、どれくらい経過しているか知らないけど、王の権力の低下がひどい。
実際に今は誰が権力を持っているんだろう?
エイプリルなのか? それともハロルドなのか?
王と一緒にいた2人は違うと思う。
暗殺者を送った奴は、誰を擁立しようとしているのか?
それとも王の弟でもいるのかな? 王の弟だったら以前、あったな。
あっ、そうそう、ライオネル公国であった。
ライオネル公国はセラフィーナの国だけど、セラフィーナを誘拐させて王の弟が王になるために策略した事件があった。
または王の親戚筋? 数を上げればキリがないほど怪しいやつが出てくる。
まだ、2人は酒場で飲んでいるみたい。
今日は何も起きないだろうと、監視を解除することにした。
そしてジャネットが監視している王族の監視に俺も潜入する。
ジャネットと協力して王と2人の確認をする。
王も今は寝ているし、王と一緒にいた2人も寝ている。
俺が最初に城で確認した時に仕事をしていたエイプリルをみるわけにはいかず、エイプリルはジャネットに任せた。
そして男性の方はハロルドだったかな、ハロルドは、何をしているのか、と言うと侍女にちょっかいを出しているみたいだな。
「ジャネット、エイプリルは、どう?」と聞いてみた。
「今は、お風呂上がりで髪をとかしています。別に怪しい行動はないみたいですね」
「よし、今日の監視は、ここまでにしよう」
もう夜だし、明日、何か掴めればいいな。
今は俺たちは空間にいるので、日がさすことはないので時間感覚が難しいけど、今は、もう夜11時を過ぎている。
「よし、今日は解散」と言って、それぞれの部屋へ引き上げていく。
俺も自分の部屋に入って寝ることにした。
*
翌朝、なんだか今日は嫌な予感がして早めに目が覚めた。
俺の未来予知能力が関係しているのか、わからないけど、嫌な予感がある。
朝、早くに目が覚めたけど、時計を見ると夜が明けていない時間で4時だった。
昨日寝たのが12時くらいだから4時間で目が覚めたことになるけど、こんなに早く悪巧みをする奴がいるのか?
朝4時に起きて服を着替えて身なりを整える。
部屋から出てみるとテーブルと椅子だけあって誰もいない。
いつ、誰が来ても食事ができるように水と食料を出しておく、時間が経っても大丈夫なものばかりを。
俺は部屋に戻って自分の部屋で食事をとることにした。
異空間からパンと水を出して、今日のことに思いを馳せながら考えている。
多分、今日は何かが動く日だと思う。
朝食をとって部屋から出てみると、まだ誰もいない。
俺は部屋に戻って索敵魔法を展開してみる。
まずは生き残っている長女のエイプリルから確認してみた、寝てる、しかも寝相が悪い、布団がベットから落ちている。
そして次女のダイアナも確認したが、こちらも寝ている。
次に3人目はハロルドだけどハロルドも寝ている。
4人目はエリオットだけど、トイレから帰って、また布団に入ろうとしている。
全員が何こともなく寝ている。
じゃ王様は、どうだろう? と王に索敵魔法を向けると王が苦しんでいる。
俺は介入していいかどうか迷ったけど、人名を考えて王のベットの横に転移してきた。
ベットの横をみるとテーブルに薬の錠剤が置いてある。それを鑑定魔法で確認すると毒が混入されている。睡眠薬と毒の両方が確認された。
俺は苦しんでいる王に近寄り聖属性魔法をかけてみる。
王は近づいた俺に一瞬、目を明けてみた。
「誰だ?」
「‥‥‥」
「わしに何をしたのはお前か?」
「‥‥‥」
俺は鑑定魔法で毒を見つけて、さらに聖属性魔法で毒を霧散させていく。
「少し楽になってきた、どうやら、お前は悪人ではなさそうだ」と王は言った。
「俺はヒルダの仲間だ」と王に告げた。
「な、なに ヒルダの?」
「ああ、そうだ」
「そ、そうか、ヒルダは元気にしているのか?」
「ヒルダが狙われた」
「なんだって、ヒルダのところにも奴の手が及んでいたのか?」
「あんた、ヒルダを狙った奴のことを知っているのか?」
「ああ、知っている」
「誰だ?」
「それは今は言えぬ、証拠がない」と王
「‥‥‥」
「奴は、俺を邪魔に思ったのであろう、今まで奴に子供たちが殺された」と王は喋っていく。
「初めに皇太子が殺されてから、おかしいと思い始めた。それでもなお、止めることができなく手口が巧妙だった」
「‥‥‥」徐々に毒が霧散して体内から出ていくので、王の容態が安定して顔色も良くなってきた。
「随分、楽になった、感謝する。貴殿の名前はなんと言う?」
「‥‥‥」
「そうか教えたくないか?」
「クリス」
「そうか、クリス殿と言うのか?」
「ヒルダは大丈夫だったか?」と聞かれたので、「一緒に来て安全なところにいる」と告げた。
「そうか、よかった」
「ヒルダを継承権争いから外せないか?」と直接聞いてみた。
「今はできぬ」
「どうして?」
「継承権を放棄するなら正式な場でする必要がある」
「そうか、では、その場を作れ」と声を強めていった。
「貴殿は、本当にヒルダのことを思っているのだな、貴殿のような強者に守られてヒルダは安心じゃな」
「貴殿は、どうやって、ここに現れた?」
「俺は魔法使いだ」
「そ、そうか、魔法使いでも、城の中に現れられるような魔法使いはいないぞ」
「‥‥‥」
「貴殿は寡黙だな、それとも装っているのか?」
「今は助けるが、ヒルダの味方とも限らない」
「そうか」
「俺は魔法の能力に長けている、俺に敵対しないほうがいいだろう」
「ああ、わしも長年の経験から、そう思う、貴殿に逆らえば、わしなんか、すぐに倒されるだろう」
「ああ、その通りだ」
王は少し動けるようになった。
「ヒルダに会いたいか?」
「ああ、ぜひ会いたい」
「もう大丈夫だろう、ここに今、連れてくる」




