1000年前の世界11
俺たちはヒルダを王都まで連れてきた。村長の知り合いの人に今日は泊めてもらうけど明日は出たほうがいいだろう。
また暗殺者が来ないとは限らないし、敵側の兵士や騎士が難癖をつけてくることもあるだろう。
ここの老人には迷惑をかけられない。
でも、どこに行こうか? 泊まるところであれば、そこも突き止められれば迷惑がかかる。
村に戻っても、突き止められれば同じことが起きる可能性もある。できるだけ見つからないようにする必要がある。
見つける原因は、入る時に見られることだな。
宿をとって、一度、入ったら後の出入りはしないようにすればいいかな?
でも入る時に見られることもあるよな。
ということで空間を作って、そこに寝泊まりすることにした。
今日は、老人の家に泊まるよりも、今日から、空間を作って泊まることにしよう。
「あの、今日は泊まるって言ってましたけど、ちょっと用ができたので、これでお暇します」
「なんじゃ、泊まらんのか?」
「ええ、ありがとうございます」と言って立ち上がる。
「クリス、泊まる所ってあるの?」とヒルダ
「うん、大丈夫だよ」
「さぁ、ヒルダ、行きましょう」とアリシア
「そうですね、急用ができましたから」
「そうそう」とコリン
俺たち5人は、老人の家を出てきた。
老人の家を出た後、屋台で食べるものを買って、人に見られないように異空間収納に入れた。
「あれっ、クリス、今買ったのもは?」とヒルダが聞いてきた。
「後でね」とだけ言って目配せした。
俺たちは歩いて路地に行き周りをキョロキョロして確認して俺が空間魔法で空間を作ると、すぐにアリシアとジャネットがヒルダの手を引いて空間に引き入れた。すぐに続いてコリンが中に入り俺も続いた。
「うわっ、何、これ?」とキョロキョロしているヒルダ。
俺は空間の中に椅子とテーブルを人数分、作った。
コリンが真っ先に椅子に座り何か描き始める。
テーブルの上に、先ほど買ったものを出してやるとコリンは何も言わずに食べ始めた。
コリンが夢中になって書いている時は、面白い話を書いていることが多い。
コリンは、そのままにしておく
まだキョロキョロしているヒルダを椅子に座らせる。
「ヒルダ、落ち着いて、今日は、ここで寝泊まりするから」と伝えた。
俺はヒルダの部屋を作ることにした。
アリシアとジャネットとコリンの部屋は前からあるから、そのまま使ってもらう。
もちろん俺の部屋もある。
俺は、食べるものを出すと、食べることは後回しにして、ヒルダの部屋を作り始める。
錬金術を応用して部屋を作っていく。
しばらくするとヒルダの部屋ができたところで、俺はテーブルのところに戻ってくるとテーブルの上には何もなかった。
「あの、俺のは?」
「っ、ごめん、クリスのもあったの?」とアリシアに言われてしまった。
「ご主人さま、申し訳ありません。つい美味しくて」とジャネット
「でも、一番、食べたのはヒルダだよね」
「そうそう」とコリン。
「ごめんね、こんな美味しいの食べたことなくて、つい‥‥‥」と
「まぁ、しょうがないか」と言って、異空間から、俺の分ともう少し出したら、真っ先にコリンが手を伸ばしてきた。
まだ、食べるのか?
俺もやっと食事にありつきながらアリシアがコーヒーを淹れてくれた。
ヒルダが「これは何? いい匂いだね」
アリシアが「これはね、コーヒーっていうんだよ」
「へー、少し苦いけど癖になりそうな美味しさだね」
「そうそう、食後には合うんだよね」
「あと砂糖入れると、また違ってくるわよ」とジャネット
「あっ、そうだね、あとは今はないけど、ミルクかな」とアリシア
「ミルクあるよ」
「えっ、持っているの?」とアリシア
俺が異空間収納からミルクを出してあげる。
「わぁー、ミルクを入れるとまろやかになるんだよね」とアリシア
「コリンも入れる」というとカップを差し出すけど、もう何も入っていない。
「もう、言ってよね」とアリシアが、もう一度、コーヒーとミルクを淹れてあげる。
コリンは頭だけ下げてお礼のつもり。
本当にコリンは夢中になると、いつもこんな感じだ。
でもイラストや作文能力は誰よりも高い。
「ここは、なんですか?」とヒルダが聞いてきたのでするのは難しいから簡単に「ここは俺が魔法で作った部屋だよ」説明しておいた。
「へ、クリス様は魔法で部屋も作れるんですね」
「そうだね」
「ここなら暗殺者もくることはないから、夜も安心して寝ることができるからね」
「じゃ、食事も済んだし、俺は部屋でやることがあるから、あとはヒルダに部屋の入り方を説明してくれる?」
「あっ、わかったわ」とアリシア
「じゃあね」と言って自分の部屋に入った。
俺は自分1人になり男爵を追うことにする。
ロバート男爵は、今は馬車で、どこかに向かっている最中。反対側には執事が乗っている。
馬車の中で話していることは、領地の税金の報告みたいだな。
もっと税金を高くするのは、どうすればいいとか、作物の取れ高の報告もあるけど、不作らしい。
当たり前のことだけど税金を高くしても農民の意欲は向上しないし上がるところか逆に落ちていく。
農民が意欲を持って働けるようにしないと考えることもしないから天気や雨や土だけのせいではない。
いい時は、それでいいかも知れないが‥‥‥
もちろん雨は少ないとか、降らないとかも大きく影響はするだろうけど。
意欲を持って鍬を持てば違うこともあると言うことだ。
これは一例だから、全てに当てはまることはないけど意欲は大切だと思う。
それでもダメな場合もあるけど‥‥‥
ロバート男爵の行くところ、それが、どこなのか、ロバート男爵はジュリアス伯爵と懇意にしているということだけど、ジュリアス伯爵は、いい人っぽいけど、本当に関与していないのか気になるところでもある。
馬車が止まった。
ドアが開いて外の景色は目の前にある城だった。
ロバート男爵は城の階段を登っていく。
城の階段を登り切って、わかっているような感じで城の通路を歩いていく。
通路を通って階段を登って、また通路を歩いて階段を登って行くのは城に用意されている貴族の部屋だった。
身なりが良い服を着て、多くの人が歩いているので推察すると、ここは城の中の貴族専用フロアみたいだ。
でも、ほとんどが詰所みたいなところから警備をしているみたいで扉の前には立っていない。
このフロアは詰所を通らないと通ることができないようになっている。
だから扉の前に人を配置する必要はないみたいだ。
ロバート男爵は1つの部屋に入っていき、そこにいた人に声をかけている。
「男爵、おはようございます」
「うむ、何か報告はあるかね?」
「こちらと、こちらの書類に目を通してください」
「ああ、わかった、そこにおいてくれ」とテーブルを指差す。
「はい、わかりました」と言って書類をおいて「では、私は失礼いたします」と出ていった。
1人になったロバート男爵は書類を見ることもなく葉巻に火をつけた。
葉巻を堪能していて書類を見る事はしない。
どれぐらいの時間、葉巻をゆっくり吸っていたんだろうと思えるくらい時間が経ってしまっている。
男爵は、おもむろに立ち上がり仕事の書類を見るかと思えば窓際に行って外を見ている。
誰かを待っているんだろうか?
そう思えるほど外ばかり見ている。
そう思ったらパッと書類をとり中を確認することもせずサインだけした。
何の仕事をしているか知らないけど確認もせずサインをしていい加減な奴だ。
男爵はポツリと「遅いなぁ」
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いつも読んでいただきありがとうございます。
この物語は、ファンタジーの世界の冒険者小説ですので、空想の世界の物語です。
それを理解したうえでお楽しみください
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