神獣と勇者
ロゼッタ ドラゴンの神獣
パトリシア クマの神獣
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俺は、ロゼッタとパトリシアの説得に手を焼いている感があったので、瞬間転移してきた。
ここでは、俺は、勇者クリスと名乗っている。
だから、勇者として、振る舞う必要が出てくる。
だから、威圧的になることも必要なところだ。
しかも相手は、王と宰相、大臣、文官などになる。
「みなさんは、証拠はありませんが、国の弾薬庫が爆破されていると思いますが、それもウルフの仕業です。」
「どうして、わかるんですか?」
「勇者である、私はは、ある魔法でウルフを監視していました。でも、ウルフが何をするかまでは、わかりません」
「私にわかるのは、ウルフが今は、何をしてるのか、です」
「勇者と言っても、なんでもわかることはありませんので、先のことなどは、わかりません」
「 でも、これだけは言えます、ウルフは、この国でも弾薬庫を破壊して戦争をソロモン王国に仕向けようとしています」
「そんな嘘を言って、お前こそ、偽勇者じゃないのか?」
まだ、俺を信用しないのか?
これじゃロゼッタとパトリシアでも、無理だと思う、猜疑心が高くなっている、ん、もしかしたら‥‥‥
俺は精神支配の中でも猜疑心を強くする方法があるのかもわからないと考えたけどもしそういう魔法があっても、どうやってかけるのかもわからないし、解除の方法もわからない。
どんな選択をしても猜疑心を持とうとすると疑いが強くなる。
人の言葉を聞いて考えることをしないから。
猜疑心か?
う〜ん
俺は腕を組んで考えてみた。
俺が以前、 医学書を見たときに失調状態の人が猜疑心が強くなると言うのを見た。
その部分を悪くするのは、脳の中枢部の部分が原因で、 猜疑心が強くなってしまうと言うことを読んだ記憶があった。
王様を精神に関係する部分じゃなく、大脳の中枢部分の周辺の状態を確認してみると、あった。
異常な状態に陥っている部分が。
俺はできるだけ、精神に影響がないように、王様の異常な部分を治してみた。
そうすると、突然、王様の表情が変化して、眉間に シワが寄っているような感じで見ていたのが、シワがなくなってすっきりした顔になった。
王様にもう一度、話しかけてみる。
「王様、私は、あなたたちを守るために、命をかけています」
「勇者が世に出ること自体、緊急事態だと思う、本で読んだことがあるんだが、勇者というのは、いつも世にいるわけではなく、危険な時に現れるのが勇者だと、書いてあった」
「確認することはできないが、神獣たちが勇者の僕として動いていること自体、私も、愚かではないから緊急事態だとわかる、そういえば街で起きている不思議なことは宰相から耳に入っていた。
それが一人の人物の仕業であると思えば、証拠はいくらでも上がると思う、実は目撃者がいるんだが、年齢の30歳くらいの男性と言うことと、背丈も高く、顔に髭があるそうだ。暗闇でも異常に目が光っているそうだ、そして何よりも口が異常に大きいこと、その人物が目撃された周辺には、死体が転がっていると‥‥‥」
「たぶん、その男がウルフというのだろう。
街中にも手配書を出そうとしていたところだ」
目撃されていたのね、この国では‥‥‥
たぶん、やつは余裕がなくなってきたんだと思う、狡猾性がなくなってきたと言うことだ。
狡賢いやつは、計画的だから、狡賢い。
無計画な奴は、行き当たりばったりだ。
「勇者殿、なんでも我々に言ってくれ」
「では、王様、 国境線を守るだけの動きをしてください」
「うむ、わかった、勇者殿」
話が、すごくスムーズに進んで、猜疑心も消えていい方向のほうに向かっている。
「あとは、ここにいる二人を助けて行動してください」
「ああ、わかった」
「それと城内に、部屋を用意してください」
「うむ、勇者の仰せのままに」
ここにいる全員が床に膝をついた。
俺は先ほど王様の脳の中枢部を直すときに、ここにいる全員の状態を確認して治療をしている。
精神支配をするんじゃなくて、治療をしたわけだから正常に戻ったと言う感じかな。
さぁ、ここからは急がなければいけない、 ウルフの奴に感づかれる前に。
両方の国の首脳陣がウルフの精神支配を離れたと言うことが気づかれるのは時間の問題だ。
「じゃ、王様、俺はいかねばならない」
「はい、わかっております、勇者様」
と言って俺は瞬間転移した。
一応瞬間、瞬間転移で、ここを去る前にもう一度、部屋の人たちの精神状態を確認してみたけど、大丈夫だと思う。
ロゼッタとパトリシアにうなずいて俺は転移した。
俺は、また、先ほどいた草原に戻ってきた。
広い荒野に一人だけ、周りを見渡しても、サーチで確認したけど、誰もいない。
でも、マクシミリアン国の王様のように、精神に関係する部分を悪くすると、猜疑心が強くなるんだ。
俺は草原に戻ってきて、岩の上に座っている。
奴が俺を見つけてくれば、苦労しない。
ここには、誰もいないから。
俺はウルフをサーチしてみた。
やはりウルフは、気がついた。奴の精神支配を王様が逃れたことを。
さぁ、どう動く?
もし、神獣たちのもとにいくようなら、即、駆けつけることを考えるが、奴は動かない。
????
そうすると、奴の姿が、スッ、と消えた。
どこに行ったのか?
俺は奴の気配を探る。
見つけた
それは、オーリス王国の屋敷だ。
俺は、すぐに屋敷に飛んだ。
俺が、屋敷の上空に瞬間転移すると、奴は、下にいた。
屋敷のすぐ上を浮かんでいる。
奴は手のヒラに火の魔法を準備している。
今にも手を振ろうとしていた瞬間に、俺は逆魔法で火の魔法をキョンセルした。
これも練習しておいたおかげなんだけど、勇者のスキルを使って能力アップしていたからできたことだと思う。
俺は考えたんだよね、奴に対抗する方法を、そうすると全てキャンセルすることができないか、考えてみたんだ。
魔法を無しにする魔法があるんじゃないかと。
つまり最高の対抗魔法だけど。
勇者のスキルって、素晴らしいね、なんでもできるようになるんだから。
奴が屋敷に火をつけようとしたことを、俺はキャンセルした。
奴は掌を訝いぶかしげにみていたが、いきなり後ろを振り向いた。
「やっぱり、お前か」
「やぁ、ウルフ」
そこでウルフは俺の方を向きながら、手で後ろに光系の魔法を放った。
屋敷に張っている結界魔法が、大きな音を立てる
「バチッ、バチッ、バチッ」
雷魔法を屋敷に放ったみたいだけど、俺の結界魔法の方が上だったみたい。
「くそっ」
「無駄、無駄だよ」
「貴様、勇者か」
「あー世間では、そう言うかも、実は俺って、あんまり実感ないんだ」
ウルフは変な顔をしている
「でも、よく、俺のことがわかったね」
「何を言っている、以前、俺の前に来ただろう」
「あっ、やっぱりかぁ」
「お前に神獣どもが、ついているから、手出ししなかっただけだ」
「前のお前は、勇者でもなかったから、見逃してやったのに、今度は、許さんぞ」
「へ〜、どう許さないんだ」
「殺してやる、俺の計画を知ったからには、殺す」
と言ってウルフは鼻息を荒くしている。
「フゴッ、フゴッ、フゴッ」
「おいおい、それじゃ、猪だぞ」
「黙れ」
「フゴッ、フゴッ、フゴッ」
俺は手を上げて、お手上げ〜というポーズをとった。
もちろん、全て、から威張り
勇者としての俺が、そうさせる。
奴の冷静さを奪えと‥‥‥
でも俺のイメージじゃないから、意地悪い勇者になってしまった。




