ご主人様
俺は最後の日に、温泉に入って、さっぱりしてダイラス連邦のみんなが待っている屋敷まで戻ってきた。
以前、よりは、精度と威力が増している瞬間転移を確認してみたが、すごい速さになっている、なんてことを考えていると、目の前は俺の部屋だったけど、目の前前には、、知らせてもいないのに、全員が揃っていた。
「あれ、どうしているの?」
「それは、ご主人さまのことでしたら、いつも、確認していました」とジャネット
「ご主人さまが怪我したことも心配をしていました」パトリシア
「治癒魔法も高性能なハイレベルの使い手になっておいでで、安心しました」ジャネット
「なんだか、言い方が変わっていない?」
「いいえ、これより私たち神獣、全員は、ご主人さまに従属いたします」
「じゃ、今までのは?」
「今までのは、単に一緒にいるだけという感じです」
「あっ、‥‥そうなんだ」
「はい、私たちはご主人さまの配下でございます」
「配下?」なんだか変な方向に行っている
「これより、ご主人さまのご命令には、全て従います」
「そ、う、な、んだ」
「これより、あなた様は、ご主人さま様ではなく、救世主様です」
「えっ、ちょっと待ってよ」
「どうして2ヶ月間、いなかったくらいで、そうなるの?」
「いいえ、貴方さまが2ヶ月間、ここに姿を現さなかったことは、全て何をしていたか、みてました」
「えっ、そうなの」
「はい、もう、腑抜けたようなことをすれば、私たちが、貴方さまを殺していました」
「えっ」
それを聞いていた神獣たち意外のメンバーも驚いている。
顔を見ればわかるから。
「あなた様は、格段の能力の違いを身につけ、お戻りくださいました。」
「私たちは、大好きな貴方さまを殺さなくて良くなりました」
「救世主さま、もし、よろしかったらステイタスを出してもらえませんか?」
「‥うん、わかった」
俺が指輪を使ってステイタスを表示させると、
「ステイタスの右下をこらんください」
「えっ、右下?」
「はい。そこになんと書いてありますか?」
「えーと右下ね」
右下を見てみると、そこには称号の欄があった。
その称号の欄には、救世主と書いてあった。
その救世主の下に、もう一つ、ある。
その称号は、俺には一番、似つかわしくないものだった。
その称号は、勇者
「えーーーーーっ」とつい大声を出してしまった。
「お分かりですね、貴方は、努力の結果として、能力を拡大させ、救世主であり、戦う勇者として成長なさいました。」
「私どもも、これには驚いていますが、ご主人さまの身長が伸びていることも、その表れだと思います。
普通であれば魔法力が向上したくらいでは身長まで伸びません。
しかも、たった2ヶ月で体格まで変わっています。
それだけつらい修練を積まれた結果と、クリス様が勇者の素質を持っておいででした。
前世の貴方は、途中で死んでしまいましたが、前世の貴方は、救世主になる可能性があったんです。
そして転生したクリス様は、勇者になる可能性を秘めていましたが、あのままではダメでした。」
はぁーなんだか、よくわからない‥‥‥
修業から帰ってきたら、急に救世主だとか、勇者なんて言われても‥‥‥
「俺、いつもと変わらないよ‥‥‥少し身長は伸びたけど‥‥」
「筋肉を鍛えたから体格は変わったけど‥‥‥」
なんだか、一人だけいるような感じで孤独だ‥‥‥
「みんな、今まで通りで話してくれない?」
「はい、貴方さまの命令に従います」
そこに一番、年下のエイミーとアイリスが「お兄ちゃん、すごいね」といつも通りに言ってきた。
この二人は、滅多に俺に話しかけないのに、「いやー、私もさ、前から、すごい人になるなって思っていたんだよね」とエイミー
「こら、エイミー、馴れ馴れしいわよ」とジャネット
「あっ、それで良いから」
エイミーは調子に乗って届かないのに、腕を俺の肩に置こうとしている。
「お兄ちゃんは、それで良いのよ、普通で」となんか偉そう
アイリスが、「エイミーちゃん、もう、本当にダメじゃないの、私たちを助けてくれる勇者さまに」
「 私たちを助けてくれる勇者様って言っているけど、君達の方が強いんじゃないの」
「まぁ、 前だったらそうでしょうけど、今だったら、もうかなわないかな」とジャネット
「 まだ実践をしていないから、実感がわかないかもわからないけど、本当にあなたは強くなっているのよ」
「うん、そんな気はしないよ‥‥」
「 じゃぁ、私と腕相撲しようか」とアレク
「うん、してみよう」
テーブルの対面に俺とアレクが座って右手を合わせる
「じゃ、いくよ、はい」とパトリシア
「う〜ん」
「 アレク、力入れているの?」
「うん、 目一杯力入れてるんだけど」
「 なんだか、全然手が動かない」
「‥‥‥」
「 じゃぁ、私と代わって」とロゼッタ
「うん、いいよ」
アレクに代わってロゼッタが目の前に座って右手を合わせる。
「じゃ、いくよ、はいっ」と言うパトリシア
「プハー、だめだ」
「 みんな、ほんとに力、入れてるの?」
「 うん、目一杯入れているんだけど、手は全然動かない」
「 もしかして、俺って本当に強くなっているの?」
「はい、 あなたは筋力を鍛えると言うよりも、魔法力を鍛えることで身体強化の魔法がかかっているんです」
「 身体強化?」
「はい、それも、かなり強いものが」
「 だから、今まで通りクリスって呼ばせていただきますけど、私がお腹を殴っても、多分、何も感じないと思いますよ」
「へーそうなんだ」
「はい」と言って手を挙げたのは、イザベラ
「 私が、クリスの中を殴ってみていい」
「良いけど‥‥‥」 イザベラは何回も顔や頭やお腹を殴られているから、その記憶が蘇るんだけど。
「いくわよー」
イザベラは基礎魔法を展開しているみたいだけど、たぶん全力で殴ってくるのかな。
俺はお腹に意識を集中させながらも、立っているだけにした。
ドスンッ
すごい重たい音がしたけど、俺の中は衝撃のようなものはなく何かが触ったと言う感じしかなかった。
「あっイタタッ」
イザベラの手の方が、痛めてしまったので、「 ちょっと見せて」と言ってアレクが治癒している。
「 すごいねクリス」とアリシア
「ほんとうに」シャーロット
シャーロットが俺をまじまじ見ている。
そして横に立っているセラフィーナも声は出さないけど俺の顔をじーっと見ている。
なんだかブラッドフォード大公国の山荘で修行をしてきたら今までとメンバーの俺を見る目が違っていた。
「他の皆さんには説明をしていたんですが、あなた様だけには黙っておくように言っておきましたけど、これからあなたは本当に困難な道を歩まれます。
しかし勇者であり、救世主でもあるあなたが世界を救わなければ、この世界は転んでしまいます。
あなたが修行に行く前に、ウルフとなって誕生した神獣を見たと思いますけど、、あの心中は本当に破壊神と同じなんです。
つまりこれからあなたは破壊神と戦うことになるんです。 そのためにはあなたに宿命づけられた勇者としての力と、この世界を救う救世主としての力が必要なんです。
その両方の力を持っている人、つまりあなた様が私たちのことも救いいただけると思います。」
ジャネットが続けて話している
「 もし、あなた様が中途半端な修行に明け暮れるようであれば、我々、神獣はあなた様を殺さなければいけませんでした。
あなたを殺すことで、世界にもう1人の勇者が生まれるまで10年か20年かまたは50年か100年かも分かりませんが、それ以上待たなければいけませんでした。
たとえあなたを殺しても、勇者が生まれる可能性は少なく、現世ではあなたに頼るしかありません。
しかしあなたは本当に努力をされ、勇者として称号を得るまでに努力されました」
「 あなたを殺さなくてよかったです」
じゃあ、もし俺が中途半端な修行しかしてなくて帰ってきたら、本当に首を切られていたのかもわからないと言うことか。
そして俺が死んだ後、次の勇者が生まれるまで数10年待つことになるかもわからない。
「 しかし、それまでに、この世界が残っていればの話です。私は、知っての通り未来を予知する力がありますが、いまだに次の勇者は出ていません」
「 本当に、これでは世界が滅んだ後に勇者が現れても意味はありませんでした」
「 じゃぁ、君たちに聞くけど、俺が村から出る時から感じている、なんだかわからないものは、このことだったの?」
「いいえ、違います。 申し訳ありませんが今はまだ話せません」
「‥‥‥そう」
「じゃぁ、俺はこれからどうすればいいの」
「 それは、あなた様の思っている通りにすればいいんです」
「 今までのあなた様も、思っている通りに行動してそれが全て結果として良くなってきています」
「 あなたは救世主 でもありますから、救世主の心の通りに動けばいいと思います」
なんだかよくわからないことを言われてしまったけど、今まで通りでいいって言うことかな。
しかし俺が救世主であり、勇者だって、 なんだか信じられない。
いまだに俺が話を聞いても勇者とか救世主だと思えない。
しかしその夜、寝床に入って寝ていたら、声が聞こえてきた




