戦闘のあと
村を襲ってきたゴブリンは倒した。だが、非常に厄介なのは、説明することだ。冷や汗が出るくらい緊張してしまう。
なんと説明したらいいのか。
説明が難しい。
Fランクになったばかりの冒険者は、普通、これだけ強い魔法が使えるなんてない。
言い訳や、ごまかし方がわからない。
非常にまずい。
考えても、どうやって説明したらいいかわからなかったので、相手の言葉を待つことにした。
まず、先に言ってきたのは、イザベラだった。
「 ちょっと、どういうことよ? 」
なんだか意味不明な問いかけに、余計に俺も言葉を発することができなかった。
「あんた、ギルドで聞いたときにFランクって言っていたよね」
「うん、Fランクだけど……」と冷や汗が出る感じで、とぼけるようにして言ってみた。
「ギルドカードを見せたよね」
「確かにギルドカードは見せてもらったけど、信じられない」
まぁ確かにそうだよね、自分でもFランクの冒険者が、こんなことができるなんて信じられない。初心者だからFランクなんだし。
「あんた、なんか私たちに隠してない?」
……なんて答えようか迷っていた時に、意識を失っていたソフィアが、う〜んと言いながら目を覚ました。
2人はソフィアに駆け寄っていく。
「ソフィアー」
ソフィアが目を開けた。
混乱している中から、ソフィアは一生懸命に、ゴブリンの棍棒で飛ばされたことを思い出していた。
「私、どうしたんだろう?」
ソフィアは洋服の上から腕や足や体を確認してみたり、動かしたりしても痛くないことに気がつく。
確かに洋服には血の跡があるし怪我をしたあとがあるが、傷がない。
そのことがソフィアを混乱させた。
怪我は直ったみたいだけど、流れ出た血は多かったみたいで、混乱状態の頭と出血の関係で、体がしっかりしなかった。
そのため早急に村に戻って、家の中で様子を見ることを考えた。
3人で何とかソフィアを毛布に包んで抱え、村に戻った。
村に入ると、すぐに村長の家で休養させるように言われたので、ベッドに寝かせた。
そして村長たちにゴブリンが討伐できたことを知らせる。
ゴブリン討伐は喜ばれたが、討伐した冒険者が怪我で運び込まれたのには村人たちも驚いていた。
村人に説明をした後、そのまま放置しておくことができないので、ゴブリンを土を掘って埋めることにした。
もちろんお金になるので魔石は回収した。
しばらくは休養のため村に泊まっていくことを勧められた。
そのため3人は、村に泊まっていくようだが、俺は、村長に討伐の証をもらい、街に帰ってギルド支部に報告しに帰った。
何とか説明を逃げ切れた。
ギルド支部につくと、受付のお姉さんから報告を求められて、討伐の証を見せて報告をした、納得したようなので4分の1のお金をもらうことができた。
これで野宿から、しばらくの間は解放されるかも。
どこかに宿を探そうかな。
それとも3人が戻ってくる前に、他の街に行こうか?
悩むなぁ〜
俺が能力を隠すのには理由がある。
能力が大きいと、自分の欲望のために利用しようとする者もいる。メンバーに危害を加えようとすることも考えられるし、村に住んでいる両親に影響が出ることも考えられる。
前世では、俺の能力の異常性に、両親が俺を置いて、出ていっている。
俺としては両親を魔物から守るために使った魔法だけど、化け物あつかいされてしまい、今でも苦い思いがある。
それ以上に、俺の一番嫌っている戦争に、加担させられるからだ。
誰かに知られることで、その数倍にも広まる可能性がある。
信頼している人から、漏れる事だってある。
その時には、信頼している人に、失望してしまうかもしれない。
誰だって失言することはあるから。
「しゃべるんじゃないぞ」と約束しても、失言はあるから。
それを強制することは、難しい。
知らなければ、知らないで済ます事ができるし、情報が洩れることはない。
俺の知らない所で、失言した人が拉致されることも考えられる。
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