トリスタン王国
俺たちは今、トリスタン王国に来ている。
宿を取ることができたので、これからしばらく街の中を見て回る。
トリスタン王国で、きな臭さを感じるのは何が原因なのかを見極めるためだ。
そのためには情報収集をしなければいけないので、午前中でも、午後でも、暗くなってからでも、街をいろいろ回ることにした。
ただ、うろうろしても意味は無いので、情報収集を兼ねてショッピングをする。
1番は、この街に住んでいる人から情報を集めなければいけないが、聞いたって、そんなに簡単に答えるわけはない。
何か教えてくださいよーって言ったって、情報が集まる事は無いから。
情報に、お金を払ったって、この街で情報屋なんか知らないし。
いろいろなお店を回りながら、女性陣は買い物を楽しんでいる。
工芸品のかわいいものや、面白いものや、使えるものを買っている。
そして俺の収納袋には、時間が経過しても腐ることがない収納袋があるので、特産品を購入している。
野菜や果物、焼肉、ハム、ソーセージ、魚介類などいろいろなものを購入した。
そして調理しなくても。すぐに食べられるもの購入しておいた。
サンドイッチやケーキとか。
食料は多くあっても構わないので、店主と話をしながらヒットするものを探している。
しかしあまり有効な情報は無い。
今日は、この辺にして宿に帰ることにした。
宿に帰って夕食の時に、料理を持ってきてくれた、おばちゃんに、最近、変わったことがないか聞いてみた。
おばちゃんは「そうだねー、変わったことかい?」
ソフィアが「どこかで、多くの人を雇っているとか?」
ロゼッタが「街に人が多くなっているとか?」
イザベラが「急に税金が上がったとか!」
俺がおばちゃんに、数枚のお札を見せると、すぐに、おばちゃんはお金をとって隠しつようにポケット入れた。
おばちゃんは、「街の中心部に行くと噴水があるんだけど、そこになんだか、人が多く雇われているところがあるんだよね。」と言って、おばちゃんは戻っていった。
料理を食べた後、部屋に戻って、作戦会議をすることにした。
まさか自分たちが泊まっている宿で情報収集ができるとは!
おばちゃんは時間を言わなかったので、今日の夜でも行ってみようかと思う。
その前に俺たちは、山荘の温泉に入りに来た。
まずは山荘の中の自分の部屋に全員で転移してきた。
少しだけ、その部屋でゆっくりしてから全員で温泉に入りに行く。
たまには歩いて行こうと言うことで、山荘から外に出て庭を歩いて小屋に着く。
全員で脱衣場に入っていって、俺は端っこで棚を見ながら脱いでタオルを腰に巻いた。
ゆっくり脱いだつもりだったんだけど、振り向くと、まだタオルを巻いていない人がいた。
ちょっと見てしまった。
そして外に出て露天風呂につかる。
しばらくするとタオルを巻いた女性たちが入ってきた。
硫黄の匂いがあるが温泉に入って、しばらくすると慣れてしまえば、そんなに強く感じなくなる。
もう辺りは真っ暗くなってきているので、ちょうどいい感じで月と星が出ている。
俺たちは、しばらく混浴を楽しんだあと、トリスタン王国の宿に戻った。
なんだか以前よりも意識をするようになった。
宿に戻って、準備を整えて街に出ていく。
おばちゃんが言っていた中心部のほうに行くと噴水を見つけた。
その噴水に腰掛けて、夜の買い食いをしている。
買ったものを食べながら、周囲を観察している。
そうすると数人の男たちが、ある建物に入っていった。
しばらくすると、建物から出てくる。
また違う男たちが、数人に入って言って、しばらくしたら出てくる。
なんだ、あの建物は?
大人の男しか入っていかないから、俺が言ってもしょうがないし、女性たちが行っても、違う感じがしたので、
俺が立ち上がって、「ちょっと行ってくる」路地に入っていた。
路地に入って、誰も来ないのを確認して自分を透明化の魔法で見えなくした。
透明になりながら、ちらっとメンバーの方を見るが、メンバーも俺が来たのを気づいていない。
そして誰かが来るのを待って、あとについて建物に入っていった。
しかし建物の中は狭く、見つかる可能性があるので、俺は出ることにしたが、入れ違いで入ってきた男にマーカーをつけた。
透明化の魔法維持しながら、外で、アリシアが座っている横に腰かけて意識を集中した。
俺が意識を集中しながら建物の中の会話を拾っていく。
建物の中で交わされる会話は、トリスタン王が人を集めているから、希望するやつは前金を少し払うから10日後に城門の外に集まれと言うことだった。
集まるか、どうか本当にわからない奴に、前金を払うなんてと俺は思ったが、それほど人が足りていないのかなと考えた。
俺が意識を集中して建物の中を伺っているときに、急にアリシアが俺の手を握ってきた。
俺は慌てた。見えないようになっているのに、手を握られたから。
しかし落ち着いて、そのまま意識を集中して聞くようにした。
しかし、それ以上の情報は集まらなかった。
急に現れるとまずいので、アリシアの手を離して、路地に行って魔法を解いた。
そして噴水に座っているパーティーメンバーの元に戻ってきた。
「アリシアよくわかったね?」と俺が聞くと
「見えなくても、人がいるって分かったから、クリスだなと思ったの」と答えた。
なるほど、目には見えなくても、人がいると言うのを感じることができるんだ。
やはり狭い建物に入らなくてよかった。
もっと修行しなければ。




