ギルド登録
住んでいた村は、王国でも端のほうにあって、歩いても行けない距離ではない。
家を出る間際にお母さんから、
「何かの足しに使いなさい」とお金をもらった。
歩くと遠いので馬車に乗ることにしたんだけど、馬車に乗ってみると前世にはたくさんいた、亜人であるけもの耳としっぽがある人が多く乗っていた。
俺が住んでいた村は人族しかいなかったので珍しいと思ったが、よく考えたら前世ではいっぱい見ていた。
なんか時々、こういう現世と前世の記憶の混乱があるんだよね。
村の近くからも馬車は出ているんだけど、全部の工程を乗ってしまうと料金が高くなるので、初めは馬車に乗って、後半の半分ぐらいは歩こうと思う。
本当は馬車に乗るほうが楽しいんだけどね。
前半は馬車で、でこぼこ道を揺られお尻が痛くなったけど、次の街まで乗り、本当は安宿にでも泊まりたいけど、お金は大切に使いたいので街には入らず野宿することに決めた。
幸いにも雨が降ることもなく、魔物が出ることもなく朝を迎えることができた。
冬だったら寒くて野宿なんかできないけど、今は夏だから眠ることができた。けど一応用心をしておいた。
魔物が嫌がる火を絶やすことなく2時間、眠ったら起きて、落ち葉や枯れ木を火にたし、消えることがないようにした。
本当は魔物だけではなく人間も危険なんだが、置き引きや強盗が出ないことを願った。
しかし自分には魔法が使えることを思い出して、魔法を使って自分を薄い膜、つまり結界で覆うようにして眠った。
そうすると魔物も近づくことができないし、人が来ても入ることもできない。
前世では使っていたんだが、ついうっかりしていたよ。
もっと自分が使える魔法を、いつでも使えるようにしておかなきゃね。
そんなことで命を落としたくないからね。
翌朝を迎えた。
朝になったので、家からもらってきたパンを焚き火で焼いて食べた。
食べ終わったら火の処理をして、街の中に入りギルドに向かうことにする。
街全体を覆うようにして塀が立っていて、街の入り口には見張りをしている人がいた。
街の中に犯罪者が入らないように警備をするためだ。
村に暮らしていると普段は使わないんだが、証明がないものはお金を払って入らなければいけないと言われたので、親からもらったお金の中から、払いたくないなぁと思ったけど、言われた金額をちゃんと払った。
お金がなくなっちゃうよ〜。
安い宿にでも泊まる金額が必要なので、それを稼がなければいけない。食事の料金も必要だし、ギルド登録をして即、依頼を受けようと思い、ギルドを探しているんだが、村と違って街は大きいので、どこにギルドがあるのかわからない。
街中をキョロキョロしながら、あっちを見たりこっちを見たりして前世との違いを比べながら歩いていると、噴水があるのに目がいった。
噴水のところに座って休憩しようかと思ったら、目の前にギルド支部が見つかった。
ギルドと言うところは、前世でも役立ってもらったが、本当に雰囲気も悪いし、別の場所で酒も提供しているので酒臭いこともあって、あまりいい思い出はなかった。
前世の時は最初にギルド支部に行くと、すぐにギルドカードが発行されたんだが、今はどうなんだろう?
ギルド支部の大きな建物の中に入っていくと、掲示板があり、いろいろな依頼が張り出されていた。
掲示板のほうに人だかりがある位で、いくつかある受付のお姉さんの前は、数人いるくらいだ。そこに並んで待っていると、すぐに自分の番が回ってきた。
前に進むと受付のお姉さんが、「坊や、どうしたの?」と聞いてきたので、「坊やじゃありませんよ、もう15ですから」
この世界では15歳は大人ですからね、いくら背が低いといっても。大人は大人です。
「あら、ごめんなさい、坊や」
また坊やと言われてしまったが、受付のお姉さんに「冒険者になりたいんですが」と言うと、「15歳になったら冒険者になることができるのでギルドカードを発行することができますよ」と言われた。
なのでお姉さんから差し出された用紙に、名前と年齢と出身の村を書いた。
もし何かあった場合、ギルドカードで名前が分かり、出身の村に連絡が行くようになっているそうだ。
便利だ!
でも、そういうことがないようにしなければ。
冒険者ギルドで受付のお姉さんにギルドカードを発行してもらい、説明を受けると、今日から依頼を受けることができるらしい。受けようと思うなら掲示板に貼られている紙を持ってきて、受付のお姉さんに確認してもらえば、後はギルドカードに登録されて請け負い完了となるそうだ。
ほとんどの人が、新人であればギルドカードのランクがFランクから始まって、依頼内容を達成して依頼を完了すると、ランクがあがるそうだ。
1回くらいの依頼達成では上がらない。
生まれ変わる前世では、 王国筆頭魔法師だからS S Sランクのギルドカードを持っていたんだが、今ではFランクか…と言う思いで、なんだか泣きたい気分になってくる。
以前は何といっても王様直属の魔法使いだったし。だから戦争ですぐに駆り立てられたんだけど。
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読んでいただきありがとうございます。
これから、どんどん面白くなりますのでよろしくお願いします。
いよいよギルドに登録して冒険が始まることになります。




