旅立ち
温泉に来て、セラフィーナの気持ちが少し和らいだ気がしたので、本当に良かったと思う。
そしてメンバーと仲良くなれたと思う。
温泉に入って裸の付き合いができたからか?
セラフィーナは本当に大変な思いをしたと思う。
だけど前を向いて生きていくしかない、いつまでも閉じこもっていても後ろを向いてしまうだけだ。
前を向いて歩いていくためには、人と話をすることが一番だ。
人は興味本位で聞いてくるかもしれないけど、一度だけだと思いたい。
誰だって自分以外の人に起きた事には、興味がある。
それは、どうしてか?
自分じゃないからだ。
自分が関係しないから興味があるわけだけど、いざ自分の身は自分の家族に起きたらと考えもしない!
俺は今でもアリシアが、さらわれたことを、しっかりと覚えていていまだに恐怖に感じる。
セラフィーナに起きたことが、アリシアに起きていたらと思うと、夜も寝ていられない。
セラフィーナは精神的なものが大きいし、肉体的にもダメージを被っただろう。
それを乗り越えていかなければ、人の顔を見て笑うことができなくなる。
ほんとに誘拐をした奴らと、主犯格の奴らには、ハラワタが煮えくり返るほど憎んでいる。
自分の趣味だけに走って、人の、ことをないがしろにしている、人の感情なんか無視して快楽に走るだけ。
そんな奴らが、良い生活ができるわけないし、良い人生が遅れる事は無い。
もし、そういう奴らがいたら、俺が、そうはさせない。
しかし俺だって、限界はある。
全てを俺が解決できるわけはない。
しかし悪い奴は後を絶たない。
また次のやつが必ず出てくるだろう。
セラフィーナを送って行く朝が来た。
セラフィーナには、俺の能力は、バレているので隠す必要は無い。
なので嬉しいことに馬車を使うことなく、飛行魔法で飛んでいくことができる。
馬車で行くというのも味があっていいけど、長旅は疲れる。
人が歩いて行くのが1番遅くて、次が馬車が遅い、1番早いのが馬、だけど飛行魔法は馬より、断然早い。
馬が1ヵ月かかるところ、飛行魔法だと直線距離で数時間で行ける。
そして1度、その場所に行ってしまえば、転移にすることができる。
時間の短縮ができるのが1番の特徴だ。
旅に出る当日に、俺の屋敷から、メンバー全員で、以前メンバーと稽古していた場所に転移した。
セラフィーナは、転移は2回目だ。
初めてだとは違い2回目といっても、多少のふらつきが出てしまうので、少し野原で休憩した。
そして、ここから、透明化の魔法を使い、空を飛んでいく。
初めて空を飛んだ時にセラフィーナは驚いて怖かったけど、時間とともに徐々に慣れてきた。
空を飛ぶことに慣れてきたので、徐々にスピードを上げていく。
しかしあまりあげることができないので注意しながら飛んでいった。
あまり長時間を飛ぶと、疲れが出やすいので、今日はかなり早い時間に、野宿することにした。
以前だったら野宿するときには、馬車の中でと言う感じだったが、今は空間が使えるので、セラフィーナの部屋もベッドや毛布を整えて用意している。
セラフィーナは初めて空間に入るので、メンバー全員が入った後に入ってもらった。
「すご〜い」とセラフィーナ、いろいろなところを見ている。
「この部屋がセラフィーナの部屋だよ」と言いながら、ドアの開き方を説明しておく。
「この空間にある部屋は、自分でドアのノブを持って出ようとする考えると開くようになっている、練習してみて」と俺が言うと
セラフィーナは簡単にやってみせた。
「じゃぁ後は食事になったら呼びに来るから、それまでは部屋でゆっくりしていてね」
と言って俺は食事の準備にかかる。
食事といっても屋敷で作ってくれたものを、空気がない異次元収納に入れているだけだ。
空気がないし、時間が止まったままだし。
温かいまま出すことができるから、最高に便利だ。
テーブルの上にメンバーに手伝ってもらいながら、料理が乗ったお皿を並べていく。
そしてセラフィーナを呼びに行ってもらう。
セラフィーナが来たので食事にすることにしたが、旅行中なのに雨に振られることもないし、盗賊に襲われることもないし、驚いてばかりいた。
あとはトイレの場所も教えている。
そして食事を終えたので、俺たちはお風呂に入ることにした。
空間の中に作っておいた、扉を開けると、男湯と書いてある方は男湯の脱衣場に通じて、女湯と書いてある方には女性の脱衣場に通じる。
空間は、俺が、いなくても温泉に入ることができる。
「この空間にいる時はね、アルベルトにお願いしなくても、ここの扉を開けるだけで温泉に入れるんだよ」とアリシア
「へ〜そうなんですね、すごいですね、なんだか驚きすぎて言葉が出ないです」とセラフィーナ
「そうなるよね〜、ご主人様あったら本当に人間離れしてるから」とアレク
「本当、人間とは思えないのじゃ」とロゼッタ
「時々、人間だったのかと思うことがあるわ」とパトリシア
神獣たちが勝手なことを言っている。
「ご主人様はねー魔法はすごい超一流なんだよ、そして決断力と行動力も凄いんだよ」とアレク
「本当にアレクは、いつもは私たちの後ろを歩いてきているような感じなんだけど、いざと言う時は……」とアリシアは、それ以上言わなかった。
セラフィーナが「私も、そう思います、本当に牢屋に裸でとらわれていた時に、見られたのは恥ずかしかったですけど、神様が来てくれたような気がして、助けに来てくれたのは公爵様だけですから。」と声を震わせながら、涙を流していた。
いつも誤字脱字、ご報告ありがとうございます。
すぐに訂正を行いました。




