旅立ち
俺を何が待っているのか?
村を出るように駆り立てる心の意味を知りたいと思う。
無茶をするために村を出るつもりはないけど、俺が村を出ることで、何かが、何処かが変わる感じがするんだよね。
いくら前世ですごい魔法使いだったからって、現世は違うかも知れないし、村から出たことがないから、世界がどれくらい広いかわからない。
前世の知識は今でもあるけど、現生とは違うと思うから。
前世の俺が死んで、確か300年以上たってしまっている。
今でも300年以上続いている国もあると思うけど、前世では戦争が多くあり、攻めたり、攻められたり、侵略戦争ばかりしていた記憶がある。
平和なんて、どこにあるのか。
前世の俺なんて、自国の駆り出された農民に殺されたんだよ。
強い武将とか、将軍じゃないんだよ。
俺を殺さなければ、自分の命も家族の命もないから、相手は必死だけど、顔をみたら、人殺しなんて初めてのような恐々の顔をしていた。
前世の俺も戦争だからと言って多くの人を殺した。
そんな俺が、どうしてなにかに駆り出される心があるのか、それはわからない。
村から出てみて、初めてわかることだってあるから。
だから自分は冒険者になろうとおもう。
冒険者になることを諦めるように説得されたけど、俺はなんとか冒険者になりたいと思いながら、幾晩もベットに入って眠った。
家族と話をしてから数日すぎた。俺は今日、村を出ようと思う。
持っていく荷物は少ないから、出る前に準備しても、すぐにできる。
親やアリシアに村を出ていくのを悟られないように。
着替えを麻袋に詰めて夜明け前に旅に出ようと思った。
時間が過ぎていくのが遅く感じる。
村を出ていくのは、親やアリシアが寝静まったあとの2時くらいと考えた。
その時間までベッドの中で待つことにしたが、本当に時が過ぎていくのが遅く感じる。
親とアリシアが寝たと思われる2時くらいに、俺はベッドから起きだして用意を始める。
起き出して寝間着を脱いで洋服を着て、昨日詰め込んだ麻袋を確認すると、音を立てないように靴は履かず、こっそりと自分の部屋の扉を開けた。
扉を開けると、寝間着姿の3人がテーブルの椅子に座っていた。
「クリスどこ行くの?…こんな早くから」
返答に困っていたが、アリシアが「やっぱり行くんだね」と言った。
「ごめんね」と答えはしたがアリシアの顔を見ることができなかった。
親もアリシアも諦めたような顔をしている。母親が、「わかったわ」といった。
「実はね、近くの山や川の景色が、いつの間にか形が変わっていたのよね」
「不思議に思って何回か見に行ったことがあったんだけど、その時に見たのよ…」
「あなたが魔法を使っているところ」
いつの間にか母親に魔法の練習しているところを見られているとは思わなかった。
背筋が寒くなって、顔色が悪くなったような気が自分でもした。
何と答えたらいいかわからなかったので黙っていた。
父親がぽそりと、「俺のオヤジとそっくりだな」と言った。
そういえば昔、聞いたことがある。
父親のおじいちゃんは、若い頃はかり有名な冒険者だったと言っていたのを思い出した。
父親が、「おじいちゃんと同じ冒険者になりたいのか」と聞いてきたので、「うん」と答えた。
本当は今までおじいちゃんの事は忘れていたんだが、この際どう答えたらいいかわからないので、曖昧な答えをした。
おじいちゃんごめんなさい、と心で思った。
アリシアが私もついていくと言っていたが、まずは自分1人で冒険者として生計できるかどうかをやってみるからと答えて、その時に迎えに来るからと答えた。
何とか親にも承諾をもらえて、黙って家を出ることなく旅立つことができた。
一応、自分の部屋のテーブルの上に手紙は残してきたんだけどね。
ここからは15歳の旅と冒険が始まる
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