表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/684

クリス冒険者になる

このままアリシアと一緒に村にいて、親のあとをついで畑を耕したりする生活も良いと思うけど、どうしても冒険者だったケインと同じようになりたいと思う。


もちろん親に心配をかけるのは、わかっている。


でも、このまま村にいるんじゃなく、違ったことがしたいんだ。


何をしたいのかは自分でもわからない。


でも、なにかをしたいという思いは募るばかり。


このまま村にとどまっても、悪い一生じゃないと思う。


でも、自分を何かが駆り立てるのか、じっとしてはいられない感じがする。


冒険者になって依頼を受けて、討伐して、お金をもらう、と言う簡単な事じゃない気がするんだ。


そう言うことじゃない。


何かをしないといけないように思うんだ。


その第一歩が冒険者になることだと思うんだ。


俺を何かの意思が急げと駆り立てる。


何が俺を駆り立てるかもわからずに、村を出る決意を固める。

どうして村を出て、何かをしたいと思うのか?


自分を、なにが待っているのか?


冒険者になりたいという意思だけで、何もないのか?



このまま村にいれば、年齢に達するとアリシアに結婚を申し込むだろう。アリシアは嫌とは言わないと思う。たぶん……


あなたと結婚なんて考えられないわ、あなたは弟みたいな存在だわと、言われるとショックだ。


数ヶ月が過ぎていく。


クリスとして生きてきた思い出も多くある。しかし前世のアルベルトの意識も覚醒して持っているので、混在しやすい。だがアルベルトではなくクリスとして現生を生きていく事にした。


前世の記憶の問題もあるけど、クリスとして考えることにした。


統合して考えないと先に進むことができない。


だから俺はクリスだ。


前世を覚醒させてから考えていたことは、前世のようなことになりたくないという強い意識だ。


前世は戦争に巻き込まれて、自国の農民に殺されてしまった。


粋がって、俺に任せておけば大丈夫だと思って出兵したが、魔法力を使い果たしてしまい、恐々近づいてきた農民に殺されるなんて。


前世の俺の両親とは、確か8歳ころまで仲が良かったのに、俺が両親を守るために魔法を行使したら、バケモノって言われて、家から2人とも出ていってしまった。


俺だけ残して家をでていく両親に、絶望を抱いたし、しばらくは立ち直れなかった。


しかも、預けられた村長にまで裏切られるし。


両親は俺のことを村長に頼んだらしいけど、軍に売られてしまった。


それからの俺の生活は一遍に変わってしまった。


軍に売られた俺は下働きをする羽目になり、殴られたり、蹴られたりすることも、しょっちゅうだった。


顔にアザができたり、目を腫らしたりすることも、寒い思いをしながら寝ることも多々あった。


俺は両親を恨んでいるというよりも、魔法を使う事は、よっぽどのことがない限りしてはいけないんだと学んだ。


両親が魔物に襲われそうになっても、考えなけりゃいけないのかな?


前世で俺が使う魔法は怖いみたいだから、クリスとして覚醒しても、魔法を使う時には人に知られることに注意しなければいけないと考えるようになった。


夕方になって家に帰る。家族が全員揃った時に、話があると言って全員をテーブルに座ってもらう。


お母さんが全員にお水が入ったコップを置いていく。


おれは父さんの顔を見て、母さんの顔を見て、最後にアリシアの顔を見る。


なんだか久しぶりに、すごく緊張するんだが、自分の思いを話し始めることにする。


「村を出ようと思う」


言葉を言ったあとに全員が何も言わない沈黙が流れる。


目を伏せていると、誰かが、ハァーとため息をついた。


母親が思い余って吐いた息だ。


「最近クリスは少し変だったものね」


「そうだな」と父親が言った。


「何を思い悩んでいるんだろうと、傍らから見ていて気がついていたんだけど」


「うん、最近クリスは元気がなかったものね」とアリシアが言った。


「村を出ると言ってもどうするの、簡単なことじゃないのよ」と母さんが言った。


「どうやってお金を稼ぐんだ」と父さんが言った。


「うん、冒険者になろうと思うんだ」


「冒険者と言えばクリスは、ケインと仲良かったわよね。」


「ケインは最後は帰ってこなかったわよね…」と母さんが心配するような顔つきで言った。


何とかここで説得しなければ、家族を楽にすることも、自分の力を生かすこともできない。


「私はクリスと一緒に、ここで暮らしたい」とアリシアが言った。


本当ならこんな嬉しい事は無い。


「わかったよ」と答えて、今晩は話は終わった。

感想、ブックマーク、評価ありがとうございます。


励みになっています。


誤字脱字がありましたら申し訳ありませんがお知らせ下さい


読んでいただきありがとうございます。


これから、どんどん面白くなりますのでよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ