村
俺たちの住んでいる村が魔物に襲われた。
村長さんに魔物が来たと言ったけど、信じてもらえなかった。
その村長さんも死んでいる。
道には多くの怪我人や死んだ人がいる。
血が至る所で流されて、人が死んでいる。
そこにあるのは凄惨な現場だけ。
俺が感じたのは、前世での出来事。
戦争で俺が死ぬ前の凄惨な現場と同じことが起きた。
いろんな所で人が怪我をしていたり、血を流しながら倒れていたり、建物が壊れていたり、畑が荒らされていたりしていた。
「そうだ、家がどうなっているか見に行かなけりゃ」
「うん、そうだね」
なによりもまず自分の家族が心配なので、アリシアの家族が住んでいる家へ。魔物がいるかもわからないので2人して村の中を走った。
アリシアの家の方が近かったので、アリシアの家に行ってみると玄関の扉が開いている。
なんだか嫌な予感がする。
まだゴブリンがいるかもしれないので、恐る恐るアリシアと2人で玄関の中に入ってみると、アリシアのお父さんとお母さんも血を流して倒れている。
「お父さん」「お母さん」とアリシアが言って、2人に近づいていく。
アリシアが近づいていっても、2人は声を出すこともなく目を閉じている。
どうも母親をかばって父親は先に死んでしまい、そのあと母親が殺されたみたいだ。
アリシアが突然大声で泣きだした。
「お母さん、お父さん……」
すがりついて泣いてしまうアリシアに、俺も涙が目から溢れてくる。
もう少し早ければ、治癒魔法で何とかなったかも……
自分の家も心配だが、1人で残していくのは心配なので、しばらくはアリシアに付き添う。
「お父さん、お母さん‥」
そこに扉を開けて誰かが入ってきた。
俺は身構えようとしたが、外から中に入ってきた人間の顔を見た瞬間に構を解いた。
それは俺の父親と母親だった。
「あ〜よかったわ、クリス無事だったのね」と母親が言って、父親も安堵した。
しかしアリシアの家の中の状況を確認した途端、また厳しい顔をした。
そしてクリスの母親が、アリシアのそばに来て抱きしめた。
母親は何も言わず、ただ、ただアリシアを抱きしめていた。
抱きしめている時間が長く感じたが、アリシアがようやく落ち着きを取り戻した。
アリシアの家に1人で置いておくのは不安だったので、俺の母親は俺の家にアリシアを連れて行った。
俺の家にアリシアを連れて行くと、少しの間俺にアリシアを任せて両親は表に出て行った。
たぶん、アリシアの家を確認しに行ったんだろう。
しばらくの間アリシアの家に行っていた父親が、
「以前のような良い暮らしはできないかもわからないけど、この家でクリスと母さんと私と暮らさないか」とアリシアにつげた。
アリシアは悲しみも収まらないうちに、うなずいた。
俺は、俺の両親、アリシアを守っていこうと思った。
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