アリシア
俺はゴブリンを倒したことで、すぐにアリシアのもとに駆け寄る。
アリシアに駆けつけると、すぐに座り込んで傷の確認を行う。
先ほど治癒魔法をかけているから心配はしていないが殴られたのが頭部だから用心しないといけないから。
もちろん、いろいろ触りたいけど、あとで怒られるのでしないが、洋服から出た部分は大丈夫みたいだ。
出血しているのは頭部だけみたいだ、それも今は止まっている。
「大丈夫みたいだ」
前世と現世での意識を取り戻しでも、アリシアは理解できないだろうから、しばらくはクリスで立ち振る舞うことをする。
前世のアルベルトとして覚醒したといっても、覚醒して、すぐは不安定状態があることもあるので、いろいろ確認をしなければいけないんだが。
まぶたを閉じてゆっくりと息をしているアリシアを見ると、ほっと安心する。
治癒魔法のヒールでアリシアの傷を直しているので、アリシアに目を覚ましてもらうために大きな声で問いかける。
「アリシア、起きて」
実は体格的には自分の方が小さいので、いくら以前の記憶のアルベルトとして覚醒をしていても人、一人をおんぶするのも、抱きかかえるのも無理だ。
特に寝ている人を、抱き抱えるなんて、小さい俺には、無理なことだよ。
意識があって、自分で、おぶさってくれるからできることなんだから。
前世のアルベルトの時は、40過ぎの男性だったんだけど、今のクリスは、13歳の子供にしか過ぎないので、筋力もそれほどないから、女の子1人を村まで運ぶのは、大変なんだよね。
しかも、体を触ったことを気を失っているアリシアに知られてしまうと、頭のコブくらいじゃ済まないかもわからないから。
何とかアリシアに起きてもらわないと。
もう一度「ねえアリシア」
と体を動かしてゆすってみる。
「う~ん」
そうするとアリシアが、寝ぼけたような感じで目を開けた。
目を開けたが、まだボーとしたような感じで目の焦点が定まっていない。
徐々に目がしっかり焦点を定めてくると、はっと起き上がって辺りをキョロキョロする。
キョロキョロしているが、ある所に目がとまって魔物が倒れているのが目に見えた。
「あの魔物はクリスが倒したの?」
「そうだよ」
「どうやって倒したの?」
「まぁその辺は今は良いよ、あとで」
あまり、それ以上は説明もしないほうがいいと思ったので簡単に答えてしまった。
そしてアリシアは、頭から流れた血が、着ている洋服のいろんなところについているのに、痛くないので疑問だらけのような顔をしていた。
「ねぇ、クリス、どうして私、血で洋服が汚れているんだけど、どこも痛くないし動かせるんだけど‥」
アリシアはたってみて、いろいろなところを触ったり、ジャンプして飛び跳ねたりして確認するようにしていた。
「ねぇ、クリスどうして?」
「それは……、」
説明しようとしたがアリシアが余計に混乱するかもわからないと思って説明は差し控えた。
クリスは、
「そうだ、家が心配だ」
アリシアは、
「そういえば木の上から見たときに魔物が数匹いたわね」
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