魔法の次の段階 3
俺が魔法を使っても、威力が強すぎるため、メンバーが魔力を感じ取ることができない。
俺の訓練にもなるので、距離を開けることも考えたが、距離を開けるよりも俺が魔力をコントロールすればいいことだと気づいた。
4人には少し待ってもらうことにした。
俺の魔法の魔力がつよいと言う事は風のせいもあるんだが、粒子が大きいせいもあると思うので、それを小さくするイメージで訓練してみる。
魔法を使うために集める魔力は、微粒子だ。
その微粒子にも大きさがあって、感じ取れないくらい小さく、微細にすること。
そして、あとは強弱だと思う。
もっとさらに精細に、それをもっと小さくしていく
魔法の粒子を小さくしていくイメージで訓練してみる。
全員が草に腰を下ろしてこちらを見ている。
俺は今できる最小の微粒子で魔法を発動させてみる。
できるだけ小さく、微細に、精細に、その魔法を練り上げていく、そして手を上げながら、じゃあ行くよと言った。
全員が立ち上がって、構える。
今度の魔法の発動も、同じようになるかも、わからないので怪我をしないように全員に構えをとってもらう。
自分の体に魔力を集めて濃密にして、意識しながら発散する。
そうすると4人とも、ひっくり返ることもなく、立ったままで、すごい勢いの魔力をの中に居ても、風邪も流れるようなことはなく、倒されることもない。
発散し終えたあと、4人の前に転移してきた。
「みんなどうだった?」
「魔力が、さっきよりも、ずいぶん弱まったみたいだけど、感じ取れた」とアリシアとソフィアが答えた。
あとの2人の方を見ると、「まだ強すぎて、あまりわからなかった」と言われてしまった。
もう少し離れた方がいいと思ったので、一応、離れてみて魔法を発射してみたが、今度はうまくいったみたいだ。
4人とも俺が発した魔法を感じ取ることができたみたいだ。
これは、俺にも課題ができてしまった。
魔法をコントロールすることをもっと訓練しなければ。
「でも、クリスの魔法ってすごいよね」とアリシアが言っていた。
今は、せっかく草原まで来ているので、ここで練習することにした。
全員がまっすぐ立って目を閉じている。
集中して魔力を集めていって、とどめる。
自分の体に魔力が集まってきて、集まってきた魔力を感じる。
そして、それをできるだけ濃密にしていく。
それが安定したら、外に向けて一気に放つ。
放つことができたら方向を定めることも練習する。
もちろん敵が全方向にいるのであれば、全方向発射でもいいかもわからない。
自分の前の敵であれば前側だけに絞った方が効率が良い。
自分の前にしか敵がいないのに、全方位に発射しても無駄。
でも何よりも、魔力を纏うことができなければできないことだし、纏うことができても外に放出することができなければ使えるものではない。
第一段階は、魔法を纏うこと
第二段階は、濃密にしていくこと
第3段階は、放出すること
第一段階と第二段階はパーティーメンバーはクリアしているので第3段階の放出することなんだが、一気に全てを放置する事は難しいので、少しずつ、その感じをつかんでいくこと。
どこかの世界にいる、ヒーローのように最初からできる奴なんていない、努力をして努力を積み重ねてやっとできるレベルだと言うことだ。
俺だって前世の記憶や能力がなければできない。
前世の俺の時に、努力に努力を重ねた結果でやっとできたことだから。
前世の俺だった時も300年以上前になるが、俺にも師匠との出会いがあった。
前世のアルベルトのときの話をすれば、俺は本当に小さい村の出身だった。
その村に師匠が怪我をしてたどり着いた。
俺が遊びに行く途中に、師匠が怪我をして倒れているところに出会ったのが初めだ。
どんなにレベルの高い魔法使いだって、油断はあるから、油断から怪我を負ってしまうことがあり、普通であれば自分で直すことができるかもわからないが、怪我が大きいと集中力が落ちてしまい治すことができなくなる。
師匠の場合は、寝ているときに盗賊に襲われて傷つけられたそうだ。
急だったため対処ができないで、やっとたどり着いたのが俺がいた村だった。
師匠を見つけて大人たちを呼んできて、俺の家に連れて行って休ませることにしたのが、きっかけで師匠とのつながりができた。
師匠のケガは、徐々に回復していき、自分で怪我を治せる程度まで回復してきた。
俺にも小さい頃から魔法の才能が少しある事は、低いレベルではあったけど村で知れ渡っていたので、それを聞いた師匠が恩返しに俺に魔法を教えてくれることになる。
師匠は俺に魔力の感じ方から教えてくれて、日々、上達をしていた。
ときには厳しいことも言われたけど、俺の成長を楽しみにしているようだった。
ある時、河原で「私は、もう高齢だから、そんなに長くは生きられない、お前に俺のすべてを受け継いでほしい」と言ってきた。
俺はいつまでも師匠に魔法を教えてもらえると思っていたが、そんなに長く師匠が、この村にとどまってくれるわけがないとショックを受けたが、それをバネにして俺は日々、努力をした。
ときには、師匠と2人で、バトルをすることもあった。
やはり魔法を使うには、1番の上達は、経験値を積むこと。
ある時、師匠から言われた、「もうこれ以上、私がお前に教えるものはない」
それを聞いて、俺は涙を流した。
師匠を越えられたと言うのもあるが、多分、これで師匠との別れになるだろう。
多分、二度と師匠に会える事はないだろう!
師匠が、俺の村を去ってから、俺は努力を惜しまなかった。
いつか、また、師匠に会えたときに、褒めてもらえるように。
その時が、たまらなく楽しいような気がしたから。
しかし師匠は、二度と俺の村を訪れる事はなかった。
師匠が村を出て行ってから、数年後には師匠が使えなかった魔法を開発したり、それを使うことができるようになっていた。
俺が、いつも思い出すのは師匠との日々だ!
すべては師匠、あなたがいたからだ。




