生まれ変わって同じ悲劇を繰り返さない為
この物語は、とてもシリアスです。
小心者の主人公が、幼なじみの女の子を守りたい一心で、一生懸命、努力して人生を変えていく物語です。
前世の俺は、国の筆頭魔法師だったけど、どんなに強い魔法師でも 魔力を使いすぎれば魔力欠乏症に陥り簡単には回復できなくなるから。
魔力欠乏症になってしまうと、どんなに強いポーションを飲んでも簡単には回復する事は無い。
体力ぐらいだったらポーションで回復することもあるけど、 魔力欠乏症と言うのは問題が違う。
だから味方が、どんなに減ろうと、強い魔法師を手っ取り早くやっつけようと思ったら、数で攻めることだ。
人である限りは、持っている魔力が無限大まであると言う奴はいないと思われる。
もし仮に魔力無限大まである奴がいたら、多分、人じゃない。
魔力を使いすぎれば、立つことさえ不可能になり倒れるように寝てしまうしかないし、それでも回復には数日から数週間かかってしまう。
俺としてしょうもない人生を生きてきて戦争で死んでから300年以上が過ぎている。
あの戦争で、どれぐらいの人が死んだんだろう。
俺が率いていた魔法師部隊も、かなりの人数が死んだと思う。
数千人か、数万人の死者が出たはずだ。
死んだ人は、埋められることはない。まとめられて焼かれるだけだ。
たぶん、俺も、焼かれる人の一人だと思う。
結局は俺の国は侵略されて滅亡し、ガルシア帝国に併合されてしまったが、そのガルシア帝国も他の国から侵略を受けて、なくなり、国自体が変わってしまっている。
ガルシア帝国があった土地には、今はオーリス王国が建国されている。
戦争に明け暮れていたガルシア帝国と違って、今の王族は、平和的な考えを持っている。
支配している王族で国の印象が変わってくる。
オーリス王国のまえにあったガルシア帝国の形跡は無くなり、新しくできた国で暮らしている人たちも、笑顔があり、活気がある街並みを築いている。
オーリス王国のはずれにある村で、子供が生まれた。
元気な男の子が生まれて大声で泣き始めたが、この村には1人しかいない産婆さんの手で生まれた男の子だった。
生まれてきた赤ん坊が元気に泣き声をあげる。
「やったぞー」と父親が大声を上げる。
俺の父親は、跡継ぎが生まれたのと、それ以上に生まれてきた赤ん坊が、初めての子供で可愛くて可愛くてしょうがなかった。
結婚してからは、すぐに子供ができなかったので、あきらめかけた夫婦は、やっと授かった子供で、子供をあきらめた時期もあったが8年目にして、やっとできた子供だ。
夫婦は経済的事情が良いとは言えない中、生まれてきた子供を、一生懸命、育てようと思っている。
本当に、どんなに田畑を耕しても、経済的事情は大きく変わる事はなく、時々は狩猟をしていたが、大物が取れることもなく、ウサギが取れれば良い方だった。
狩猟をするときは危険なこともあるので、狩猟に行って返ってこない者もいたからだ。
しかし贅沢はできないが、普段の食事で困る事はなかった。
村周辺には木の実が多くなっているため、それを食べて賄っていることもある。
父親が生まれたばかりの子供を抱き上げて我が子に頬刷りをしているが、泣き出したので、どうして良いかわからずに母親に返した。
泣きわめく子供を見ながら、この子が俺の子なんだ。
改めて自分の子供ができたことに感激していた。
「あらあら、どうしたの、ぼうや」母親が父親から子供を受け取ってあやしている。
大泣きしだしたので、どうしたらいいかわからない父親は、すぐに子供を母親に戻した。
母親の手に戻った子供は、すぐに泣きやんだ。
子供は大きく鳴くことが元気な証拠だという風習があるので子供が大泣きした声で、父親も、母親も、自分たちの子供は元気だと言うことで安心をした。
母親の横で寝ている子供に、父親が面白い顔をして、あやし始めるけど生まれてすぐは目が見えない。
生まれて間もないのでタオルに包まれた赤ん坊の母親が
「あなた、この子の名前は?」
父親が、「そうだなぁー」
しばらく考えていた父親だ、「そうだ俺の父親の名前をもらったらどうだろう」
父親が、「クリスと言う名前はどうだろ。」
母親が「いい名前だと思うわ」
母親から子供をもらって、父親が赤ん坊を抱っこして「お前は今日からクリスだ」
そして赤ん坊に話し始めた。
「俺のお父さんはなぁ、すごい能力を持っていたんだぞ、残念ながら俺は父親の能力を受け継ぐことができなかったけど、もしかしたら、お前がおじいちゃんの能力を受け継ぐかもわからないからな」
「もう、あなたったら」と母親が、呆れながら言った。
父親は、どんなに狩りを頑張っても、村から近くの狩場しか行くことが出来ず、いつも獲物が、取れるわけではなく、母親のお乳の出を気にしている日々を過ごすしかなかった。
幸福な日々が家族を包んでいる。
俺はすくすくと成長して、1歳、3歳、5歳と成長をして親のお手伝いができるようになっていく。
ご飯の手伝いをすることは、もちろんだが、父親の畑の手伝いやお弁当を持ってくることは、日常だった。
親の手伝いをしながら、時には、近くの子供と一緒に遊ぶこともあったが、特に仲が良かったのが、アリシアという名前の女の子だった。
俺はアリシアと遊ぶときには村には自然が多くあり、丘や川が流れていることもあり、魚釣り、魚とり、川ガニを取ったり、泳いだり、走って競争したり、木に登ったりする遊びもしていた。
よく2人して泥んこになって服を汚して親に怒られていた。
「いいクリス、あの大きな木のところまで競争だからね」
「うん、わかったよアリシア」
アリシアは活発で、髪の毛は腰まで長くて、誰もが美人だと思うような顔立ちで、目がクリクリとした笑顔が可愛い女の子だ。
「アリシア待ってよー」
「クリス、遅いよー」
アリシアに置いていかれないように早く走ってみたが、とても追いつけない。
俺よりもアリシアの方が走るのも早く、木に登るのも上手だった。
お転婆なアリシアだった。
村人たちも俺とアリシアの2人が、遊んでいるのを見ることが多くあり、木の上で木の実を食べたり、話をしているのを目撃したり、近くの川で魚釣りをしていることを見かけていた。。
2人は、住んでいる所も、歳も近いこともあり、その辺に落ちてある棒の切れ持って、剣士の真似をして棒で遊び半分に打ち合っていた。
「クリス、行くわよ」とアリシア
「うん、いいよ」とクリス
バシッ
「いてて」
「もうクリスたら、弱いわね」
いつもアリシアの方が勝っていた
さらに剣士の真似事は続き「アリシア、手が痛いよ、少しは、手加減してよ」
「何いってんのさ、そんなんじゃ、魔物を倒せないわよ、さあ、もう一度、いくわよ」
「わっ」
そう言ってアリシアは、さらに棒の切れ端を持って振りかぶってきた。
アリシアの棒が俺のお腹に当たって、俺は、お腹を抑えて、イテテと言いながら、仰向けに倒れた。
「クリス、だめね〜」
「アリシアの方が強すぎるんだよ」
2人にとっては真剣な勝負なようであっても、遊びの範囲を出るものではなかったけど。
俺たち2人は、本当の剣は無いけど、棒で剣の稽古らしい事をしているばかりではなく、アリシアと近くの川や野山を、よく追いかけっこをしたり、遊んでいた。
「いいクリス、今からあの木まで走って、木の先まで登るのを競争するわよ」
アリシアが一目散に走つて、木の根元まで到着して木に登り始めた。
俺は、まだ、木まで到着していない。
「クリス、早くここまで登っておいでよ」とアリシアが木の上から言った。
俺は木登りが上手くないが、アリシアが待っているところまでは届かなくて、時々、ずり落ちながら、なんとか、上まで登ることができた。
そして別の日に洋服を着たまま2人は川に飛び込んで競争したり、どちらが魚を多くを釣ることができるか競争をすることもあった。
村の近くにある山に登って競争したり木の実を取ったりしていた。
遠くにいくと魔物が出るので、できるだけ、村の近くで遊ぶように言われていた。
アリシアと俺は、いつも、その辺に落ちてある棒の切れで剣術だと思って練習をしていたが、父親が持っているような剣で、戦ってみたいなーと思っていたが、家には父親が時々、狩りをするときに使っている1本の剣しかない。
剣は欲しいなと思っていたが、いくらするかも知らないし、売っている所もしらない。
俺は、家の経済事情が、幼いながらも良くないのは、わかっていたので、なんとなくだけど、どうにかしたいと思っていた。
親の畑を手伝ったり、家で掃除や料理の手伝いをしている事はあったが、どうにかして少しでも親の暮らし方良くしたいと、いつも思っていた。
別の日に畑を手伝っていたら父親から「今日は、俺が畑を手伝ってくれるから、はかどるよ」
俺は、父親と畑仕事をすることが好きだった。
親を楽にしたくても、方法がわからないし。
この世界には、魔物を狩る冒険者がいる。
冒険者は、魔物を狩ることで、お金を稼ぐことが出来る職業だが、もちろん危険は、伴なう。
だから誰もが、なれる職業ではない。
冒険者になるために、魔物の知識と動きの予想と実践訓練等が必要だと言われている。
親を楽にする為には、村にも数人しかいない冒険者になって、親を楽にしたいと、幼いながらも思っていたが簡単なことではないと、いつも思っている。
村にも数人しかいない冒険者がいたが、その中でも、いろいろなことを、よく話してくれる、お兄さんみたいな存在のケインと言う20歳くらいの男性の冒険者がいた。
ケインは、魔物狩りに行かないときには、魔物を討伐したときに話をしてくれたり、棒で稽古をつけてくれる。
本当にケインは優しいし、兄ちゃんみたいな存在だ。
ケインが魔物の話をしてくれる時は目を輝かして聞いていた。
本当に冒険者になって魔物を狩るなんて、面白そうなんだ!
しかし、そんなケインは、ある時、冒険に行って戻ってこなかった……
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