戦争が始まれば
この物語は、とてもシリアスな物語です。
萌えやギャグは、あまりありません。
主人公の心情を主に描いています。
誰だってヒーローになりたいけど、守りたいものがあります。
俺は精神魔法を取得したと思われるので、猫に試すのではなく人に試さなければいけないと思った。
精神魔法を試すために、盗賊を探すことにした。
俺は自分自身に魔力をまといながら、感覚魔法を発動する。
感覚魔法で遠くの方を確認しながら、山にいる人を見つけ出す。
そして瞬間転移で、相手から見えない位置まで移動する。
そして人物を見ながら精神魔法を発動する。
精神魔法を発動すると盗賊が見ている景色が見えてきた。
盗賊たちは、切り立った崖の出っ張った部分に立っている。
盗賊たちからも見やすい位置だが、それだけ前に出ていると下からも見やすい。
そして盗賊の意識の中に入っていき、人からものを取ったり殺したりする言う意識を見つける。
大体そういう意識のある部分は、大脳の中でも決まった位置にある。
そういう意識のある部分が、普通の人とは違うから悪いことばかりする。
なので、そこの部分を意識を変えるようにもっていく。
意識を変えていくと俺は、そいつから魔法を解除して、実際に自分の目で下から見上げる。
そうするとそいつは、何かが気がついたように、自分の立っている位置や、洋服を見ながら、なんで自分がこんなところに立っているんだろうと言う意識が働いているような感じで動き出す。
わからないけど成功だと思う。
精神魔法が人間にも有効だということがわかったので、何とか戦争を回避したいと思い考えている。
精神魔法が有効だということがわかっても、俺が目に見えるところまで近づかない限りは使うことはできない。
何とか戦争を回避して、回避するだけじゃ、また同じことが起きてしまう。
だから人間の意識を変える必要があるけど、洗脳に近いことをしない限りは同じことが繰り返されるけど。
精神魔法と言うのは人の洗脳をすることができるのか。
そして、洗脳を受けた人が影響がない人生を送ることができるのかと言うことも考えなければ、責任を持つことができない。
第一に戦争を仕掛けようと思う自体が、おかしいわけだから。
人が平和に生きていく、羨ましく思うこともなく、自分の国だけを豊かにするように努力をしなければ、人のものを取ったって、豊かな国になれるかというとそうではないし幸せな生活が暮らせるのかと言うこともある。
しかも戦争で人を殺しといて幸せな国だと言えるか!
それだけ邪な考えを持つと言うこと自体、人としてどうかと思う。
俺はアルベルトとしての前世で、いやと言うほど体験している。
村の人なんかは、生活できるだけの畑をしていれば良いと思う人も多くいる。
そんな人が戦争にかり出されること自体が信じられない。
戦争をしたい奴だけが、すればいいし死ねばいい。
でもどこの世の中でも、どうしてなのかわからないけど戦争が起きない地域はない。
戦争に明け暮れて、人口を減らしながら、上層部の人間だけが、のうのうと生きている。
農民が、戦争にかり出されて、1年たっても、2年たっても、3年たっても、駆り出された農民は帰ってこない。
本当にそういうことが実際に、いくつもの国で起きている。
戦争に行って自分の国に帰って来れない人がどれぐらいいるのかと言うのは上層部では関係ない。
ただ勝ったか、負けたかの2つだけ。
命の犠牲がどれぐらいあったのかと言う事は関係ないんだ、戦争は。
結婚を約束している人を残して戦争に行く人もいる
・・・・・行きたくて行っているんじゃない。
戦争に行かなければ、これからの生活が危ぶまれるからだ。
周囲からの目と言うのは大変厳しいものがあるから。
そして戦争に行って死んだ奴は、そこで朽ち果てて骸骨となるか、魔物にくい殺される。
助ける価値がないものと判断されたものほど、怪我を負って動けなければ置いてかれる。
回復させることができる魔術師だって限られているから。
今から子供が生まれようとしている家族だっている
孫が生まれようとしている、お父さんだっているんだ。
この世に自分がいなくなるということ。
そんな世の中にするのか!
家族を守れないで国が守れるわけはない!
前世で酷い目に遭っているから、体が震えるほど、力が入らなくなるほど、怖いことだけど、アリシアを守ること、両親を守ること、今、奮い立たなければ先はない。
しかし、戦争を止めると言う事は、俺自身が危険な目に合うかもわからないし、アリシアのもとに帰って来れないかもわからないんだ。
有能な魔法使いだと思っていても、いつ何時何があるかもわからない。
そんな状況でアリシア1人だけを残して行きたくはないが、行かなければもっと残酷な未来が出現しそうな気がする。
俺は考えながら、手に汗を握りながら、アリシアのことを考えながら、未来のために動こうと考えた。
アリシアの笑顔のために!