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記憶

村で2〜 3日ゆっくりしながら、イザベラとコリンを待っている。


イザベラとコリンも近くの村に里帰りしているので、俺たちはゆっくり待つことにしている。


待っている間もソフィアは村の中の自分の家にいる。


俺たちはと言うと村の近くの川のところでは馬車を止めて馬の世話をしたり、ゆっくりとまったりしている。


そろそろアリシアにも、俺が魔法を使っても驚かないくらいになってほしいので誰もいないところで話すことにする。


「ねぇ、アリシアちょっといい」


「うん、クリス、なに?」


と言ってアリシアが俺の近くに座った。


俺は話し始める。


アリシアは俺の横で触れ合うくらいに近づいて話を聞こうとしている。


アリシアの体から熱を感じるくらいだったから、俺はドキドキしながら話し始めた。


・・・・・・・・・


俺は目の前にある熱い紅茶に手を伸ばして紅茶で喉を潤すと話し始めた。


アリシアもいろいろ知っていると思うけど、あの事件があった時まで、あの村の出身のクリスだった。


しかし俺には前世の記憶があったんだ。


その記憶と言うのは冒険者名で使っているアルベルトと言う記憶なんだ。


前世のアルベルトの記憶で、いろいろなことを思い出したんだけど、以前は、すごい魔法使いみたいだったんだ。


俺が住んでいた王国では王様の直属の筆頭魔法使いだったんだ。


国では筆頭魔法使いと言う呼び名もあったんだけど、俺の別の名が存在していたんだ。


その別の名前が、異能、と呼ばれていたんだ。


それほど魔法使いの性質が高くて、自分が簡単に使っていた魔法が、いくら教えても誰もできなかったんだ。


そして今使っている魔法くらいじゃなくて、かなり高位の魔法も使っていたんだ。


それも簡単にね。


だから人々は、俺のことを見て異能と言い出したんだ。


もちろん筆頭魔法使いだから尊敬もされていたけど、影では、あいつは異能だから、と言われていた事は聞いている。


全員が魔法が上手くなるように指導しても、「先生だからできるんですよ」とよく言われていたんだ。


俺の王国では、俺が率いている魔法師団があったんだけど、3000人ぐらいいたんだ。


その中でも俺と同じような魔法の資質があっても、使いこなすことができなかった魔法がいっぱいあったんだ。


だから呼ばれた呼び名が、異能、だったんだけど、俺はそれを影で言われているのは聞いていたけど無視していたんだ。


俺が、どんなに努力しているのかということも知ることもなく。


その前世の記憶と能力が村が襲われているときに戻ってきたんだ。


全部じゃないけど!


そしていろいろあったよね。


でも1番は自分の屋敷の中で地下2階にこもっているときに、アリシアが慰めてくれたよね。


その時に大幅な記憶が戻ったんだ。


そのきっかけとなったのが、ある魔法書なんだ。


あの部屋でその本を見つけてすごくわかりやすくて、なんだかつながりやすいと感じたんだよね。


そして2回くらい、読み終えたあとに、本の背表紙の名前のところを見たんだ。


本の名前を見た途端、俺の頭に電気が走ったようなショックを受けた。


本を書いた人の名前は、アルベルト・フォン・アーサーと言う名前だった。


それは、俺が書いた本だったんだ。


その時に前世の記憶がほとんど戻ってきて、その後はアリシアが知っている通りだ。


前世で、俺はすごい魔法使いだったせいで戦争に巻き込まれたんだ。


戦争と言うのは冒険者と違って魔物を狩ると言うよりも、人と人との殺し合いなんだ。


しかも兵隊だけではなくて、戦争を望まない人も駆り出されてしまうんだ。


生きて家族のもとに帰りたい!と願う人と戦わなければいけないんだ。


闘っている人の顔を見てみると交戦的だった奴は多くいるけど、中には本当に村人が駆り出されて戦っているんだ。


しかもその村人に限って、粗末な装備で戦っているんだ。


だから生き残れる確率は低い。


それでも必死なんだ。


それは同じ国の後ろの奴から狙われるからなんだ。


つまり仲間にも、戦闘を放棄して逃げ出せば殺される。


苦しい戦争を、しばらくしていて俺は徐々に心が壊れていった。


数年に及んだ戦争に、心が壊れていく俺が出兵していって、その時に殺されてしまった。


現世で記憶が戻った俺は、能力を隠すことにした。


以前のような能力がわかれば必然的に駆り立てられるから。


それを聞いたアリシアは、顔を赤くして涙を流していた。


手で涙を吹けば吹くほど、さらに涙が流れていた。



「そんな人生は、もう二度と嫌なんだ」


「でも、守りたい人は守らなければいけないんだ」


「そのために俺は能力を使う」


右側に座っているアリシアが俺の右手を握ってくれた。


暖かい柔らかい手だ。





俺の前世は本当にしょうがない人生だと思う。


魔法を使えるからといって偉そうにしているだけで、結果的には、その魔法で人を殺さなければいけなくなった。



俺は、頭を下に向けて、うなだれてしまった。



そしてアリシアが握っている手を離して、俺の反対側の肩に手を回してくれた。


俺はアリシアに、抱きすくめられた。


そして俺はアリシアの方を向かされ、アリシアが俺の唇にキスをしてきた。


俺はびっくりして、目を見開いた。


アリシアの顔が間近にある。


アリシアは泣きはらした目をしているが、もう涙を流していない。




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