受け継がれるチート能力
第90話 受け継がれるチート能力
2人して突っ込まれた俺は、顔から汗が滴り落ちているが、どう説明すればいいのか悩んでいた。
う〜ん、なんて説明しよう。
あっ、そうだ
「俺が魔法の訓練をした結果のチート能力だよ。」
本当の意味のチートと言うのは不正行為のようなことを言う。
でも自分のチート性は前世のアルベルトからだ!
でも、そこを言うことができない。
変な目で見られることが、1番、怖い。
そして、それを知られてしまうのも。
アリシアにも話すつもりで、ソフィアに話し始める。
「俺が、いつも魔法を勉強したり練習している事は知っているよね」
俺たちが住んでいる屋敷の地下2階の部屋に、以前住んでいた住人の魔法書がいっぱいあったんだ。
俺は最近そこにこもるようになって、いろいろな魔法を開発したり新しい魔法を学んだりしているんだ。
その結果としての能力なんだ。
と説明したが、ソフィアはまだ納得していないような顔をしていたが、それ以上言う事はなかった。
「俺が使った魔法の事は誰にも話さないで、黙っていてね」とソフィアに言って、ソフィアはうなずいた。
なんだか、まだ頭の中が混乱しているようなソフィアだ。
当然だろうけど。
しばらく俺たちは洞窟を見張っていたが、なんだか、こちらまで熱くなるくらい洞窟が燃えているみたいだ。
ここまで蒸し暑さが来る。
もういいだろうと思うところで、感知魔法で確認してみると、全滅していることがわかった。
あまり焼け焦げたゴブリンを見たくなかったので、入り口を被っている魔法の膜を解除して、土の魔法で入り口を全体的に覆って閉じ込めた。
入り口が開いたままだと他の魔物が入ってくるから。
アリシアが近づいてきて、「クリス、休憩しなくて大丈夫?」とかわいいことを言ってくれたので、「うん大丈夫だよ、村に帰ろうか」と言って3人で現場を離れた。
村に帰ってくると、物見櫓の高いところから人が手を振っている。
俺たちは手を振り返して、門番がいるところから村の中に入っていった。
村に帰ってくる直前で、何かが焼けているような匂いがしたが、気のせいだろうと思うことなく、説明しなければいけないなと思った。
そして一緒にいたソフィアが、先頭を切って今あったことを話してくれる。
もちろん俺の能力は言わないで10匹のゴブリンが洞窟に逃げ込んだので焚き火で洞窟を焼いたといった。
帰り際に10匹のゴブリンの死体を確認したと言って安心してもらえた。
この日は村全員でお祭りのような宴会をすることになった。
たまたま俺たちがソフィアとともに裏にいたことで村人に危険が及ぶこともなく解決できたから。
普通だったら、村人が襲われているだろうと言うことで。
村長さんや村人たちから本当に感謝をされたり握手を求められたりお酒を勧められたけど、俺は飲めないと言ってソフィアに飲んでもらった。
本当に楽しい宴が行われていたが、どこか俺の心は覚めていた。
そのわけは、だんだんと魔法の能力が上がってきているのもあるが、使う機会が多くなっているような気がするから。
いつかは、どこかで利用される可能性が大きくなっている!
自分で、やらかしたことだけど!
自分でやっている事だけど、時代の流れに逆らえないのかと考えることもある。
自分が王様を救って、謀反を解決したことから伯爵を押し付けられたことも1つの要因かもしれない。
でも悪事が起きているのに、一度、知り合った人を無視して殺されてしまうことになる方が恐ろしい。
俺が伯爵になったのも、そういうことの結果だから。
本当は嫌だったんだけど、街の人にも知れ渡ったみたいだし、謀反を起こそうとしたのが伯爵だったから。
それほど重大事故だったと言う事だ。
俺が伯爵になるのも、他の貴族全員が一致で会議を終えたそうだ。
なので伯爵位を拒否することができなかった。
今度はどこかで戦争が勃発しなければいいが。
特に俺たちが住んでいる国は豊かなので、狙われやすいと思う。
しかし戦争が勃発しても、今の国力では押し切られてしまうだろう。
あまりにも平和だったのが長すぎた!
伯爵が王様を狙ったのも、大きな事件が起きたのも久しぶりだったらしいから。
平和ボケと言うのも怖いもんだね。