元ブラック企業社員で冴えない無職ニートの俺様が異世界転生者に!?!?ギルドへいくぞ!!!!!!
フィクションです。
俺は異世界転生者だ。今この瞬間、異世界転生者になった!!!
電撃的啓示。俺は全裸になり目をむいて絶叫。
「ステータスオープン!!」
何も起こらない。なるほど、この【セカイ】はリアルファンタジー志向か。
ともあれギルドへ向かわなければならない。ギルドカードを発行してもらった後、依頼を受けなければ。
私は家から飛び出し、駆けた。若い女たちとすれ違う。黄色い歓声が聞こえた。
「クソ、もう俺が異世界転生者とバレたか?やれやれ・・・・・・」
ひとりごちながら、駆ける。丸出しの陰嚢がぺちぺちと太ももにあたって気持ち悪い。
「ここがギルドか・・・・・・」
ギルドは大抵の場合酒場が併設されている。つまり酒場はギルドなのだ。
私は「和民」というなんとも風雅な看板の掲げられたギルドに突入した。
「たのもお!!!」
入り口には軽薄そうな若者が屯していた。クエスト受注の順番待ちだろうか?
じろりとこちらを見やると、すぐに怯えた表情に変わる。ほう、実力の差がすでに分かっているか。将来有望だ。
「お前らも早くここまで来い。待ってるぜ?上でな・・・・・・」
「ア、ハイ・・・・・・」
「さあ、クエスト受注だ!!」
俺はずんずんと受付と思しき場所へ向かう。
背後では先ほどの若者たちが泡を食った様子で何処かへ電話を掛けている。この世界には電話があるのか・・・・・・
やれやれ、どうやら現代知識チートは通用しないようだ。
「ダメヨ、オキャクサン。フク着テ」
受付では褐色肌の男が慌てていた。む、受付は美少女というのが通説・・・・・・
やれやれ、なかなかに俺を裏切ってくれる【セカイ】だ。
「クエストを頼む。簡単なやつがいいが・・・・・・」
「ダメヨ。チンチン見エテル。アブナイヨ」
「ム。言語が異なるか?ヘロー。アイウォントゥークエスト」
「オキャクサン!チンチン!チンチンシマッテ」
意思疎通に四苦八苦していると、なにやら入り口が騒がしい。
振り返ると、先ほどの若者たちの人垣がさっと割れ、ひとりの男が進み出た。【元のセカイ】の警官のような服装だ。
「何奴!?」
「あーあー、お兄さん。ちょっと落ち着いて」
男は顔をしかめながら言ってくる。その刹那、脳裏に電撃的啓示。これはいわゆる「ギルドで主人公に絡んでくるガラの悪いチンピラ」というお約束だな!?
「おい、全部分かっているぞ」
「え」
「そちらがやる気なら仕方ない」
「え?」
「どうせ、このギルドにも【冒険者同士の諍いにギルドは関与しない】という不文律があるのだろう?」
受付の男を見やる。「ダメダメ、チンチン隠シテ」と異界言語で慌てた様子であるが、どうやらその通りらしい。
「少し揉んでやる・・・・・・かかって来い」
手をクイ、とやり挑発。
「あの。お兄さん。まずは落ち着いて。とりあえずこれで隠してよ」
警官に似た男が、上着を脱いで放ってくる。開戦の合図だ。
「ハアーッ」
ぺち。気合を込めた拳は男の胸元に吸い込まれて、酷くマヌケな音を立てた。
「確保」
俺は羽交い締めにされ、連行された。
◯
「ああ、コウちゃん、まさかこんなことになるなんて・・・・・・」
拘置所。面会に来た両親は泣いていた。
「お前が前の会社で心を壊した事は分かっている。人生を踏み外したと悲観していることも。でも、でもな、まっとうでなくともお前は俺たちの息子だ。どうか胸を張って生きてくれ。俺たちも支える」
「あああ・・・・・・」
電撃的啓示。転生なんてしなくても、前を向けば、そこが新しい世界。
似たよーな話をもう100000000人くらい投稿してるだろうな~~~~と思いながら投稿ボタンを押すこの気持ちが分かるか。