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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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時代の変わりめ②

 装備の入れ換えは、スムーズに行わなければならない。何故なら防衛上の穴を作る事に繋がり、敵に隙を与えてしまう事にも成りかねない。それは、現場の部隊にとっても、その様な隙は作らない方が賢明である。たとえ、有事ではなくても日本という国家は護衛艦一隻が退役するにも、隙が出来てしまうと言う弱点を持っている。

 時代の変わり目と言うのは、兵器の入れ換えの時期でもある。米国海軍が長い間世界トップの軍事力を保有出来ているのは、こうした退役期間を念密に計算している上で海軍を運用している事が大きい。艦船の寿命が来るとオートマティックに新しい代換艦の建造が始められる。

 勿論、複数の艦種が必要とされるが、そこは造船大国米国である。発注されたものを短い納期に間に合わせるのは得意分野である。航空母艦の様な巨大な艦から、潜水艦や駆逐艦の様な小型の艦まで、自由自在に建造する能力を持っている。そうした技術の継承は、沢山の艦を作る事で、身に付くものである。

 無論、戦前の日本もそうした世界の度肝を抜く造船大国であった。戦艦長門や大和と言った超弩級ちょうどきゅう戦艦や航空母艦も日本人は作って見せた。その世界トップクラスの造船力が戦後に多少衰えたのは、巨大な艦種を作れなくなったのが、一因にはある。言うなれば、日本国憲法が日本の造船技術を廃れさせたと言って良い。

 日本は、戦後も戦前のスキルを活かし民間船や海上自衛隊の護衛艦や潜水艦を作る事で、技術を継承して来た。今でさえ数万トン級のヘリ空母を何隻か保有出来る様になったが、自由な艦船の建造が成されている訳ではない。

 人間という生き物は、慣れがないとその力が衰えていく生き物である。大きい艦船は、日本を守ると言う意味でも勿論必要だが、造船技術力の継承という面から見ても欠かす事は出来ないものなのである。


時代の変わり目に兵器を入れ替えるのは、海上自衛隊だけでは無い。陸上自衛隊や航空自衛隊も時代の変わり目には、兵器を入れ替えている。対GDP比1%と言う予算の縛りの中で自衛隊は運用されてきた。しかし、近年は人件費以外にも装備のハイテク化に伴い、兵器自体が高額になっている。同盟国である米国からは、対GDP比の2〜3%まで防衛費の増額要求を迫られており、日本政府もこれに応える形で増税に伴い防衛費の大幅な増額を計画している。海上自衛隊では新型護衛艦の投入に際して護衛艦の運用人数の省人化を進めている。自衛官のなり手が減る中どうにか現状維持を出来る様に自衛隊の運用方法も時代の変わり目を迎えている。

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