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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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核の傘

 日本は戦後核兵器を持たず、またICBM(大陸間弾道ミサイル)、長距離爆撃機、IRBM、SLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)等のいずれも持たないと言うスタンスでやって来た。では、日本は戦後核の脅威に対してどのような対処が出来るのか?

 閣議決定された防衛計画の大綱では、2004年と2010年とも、核兵器の脅威に関しては、米国の核抑止力に依存する。と明記されている。つまり日本政府としては、核兵器の脅威には、米国の核戦力に依存する。所謂"核の傘"戦略を戦後一貫して貫いて来た。

 米国の拡大抑止に頼るしか、専守防衛の日本には、策がないのである。防衛省の定義によると、拡大抑止と言うのは、「ある国の有する抑止力即ち"侵略を行えば耐え難い損害を被る事を明白に認識させる事により、侵略を思いとどませるという機能を果たすもの"が他国の防衛及び安全保障に対しても提供される事を言う。」となっている。

 少々難しい表現かも分からないが、例えて言うならこう言う事だろう。

 「俺を殴るなら、ボコボコにするからな。」と言うのが、元々の抑止で、「俺の友人を殴ったら俺がボコボコにするからな。」と言うのが、拡大抑止という事になる。

 このように日本は米国の核の傘を頼りにしている訳だが、米国は本当に核の傘を日本にさし掛けてくれるのだろうか?いざとなっては譲ってくれないのではないか?そう言う疑問があっても、不思議ではないだろう。この点について、日米両政府は、日米の外務防衛閣僚所謂(2+2)において2005年に合意した文章には、「米国の打撃力及び米国によって提供される核抑止力は、日本の防衛力を補完する不可欠なもの。」

 と明記されている。その後の日米両政府の協議においても、米国が日本に対して核抑止力を提供するという方針は変わっていない。ただし、この核の傘は日本側の能力のみならず、米軍の核、非核の戦略兵器から通常兵器に至る多様な兵器体系や米軍部隊の人員や配置まで、どれくらい詳細に把握しているかによって、内容が左右される事は言うまでもない。

 非核三原則を国是とする我が国の立場上、こうして核戦力を米国に依存する事でしか、日本は己の生存権を確保出来ないのは、何だか悔しいものである。核兵器なしで、どこまで自国を防衛出来るか?等と強がって見たところで、米国の核の傘を使って雨露をしのいでいるのが現状であり、現実である。その事を我々銃後の人間はしっかりと受け止める必要がある。

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