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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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米軍兵士の犯罪を裁け!

 複合的な米軍基地問題の中でも、特に米軍兵士の犯罪の扱いは、独立したはずの日本では大きな問題になっていた。

 占領下の日本で「占領軍の事件・事故によって死亡又は負傷した者は9千名」を、数えたと言う。その他の国の兵士が問題を起こした事もあるが、圧倒的に多かったのは米軍兵士である。

 米軍兵士の犯罪容疑者の裁判権の規定も、日米行政協定には、盛り込まれた。(詳しくは第30話警備隊の発足参照)米軍関係者の公務中の犯罪は、米国側に裁判権があり、それ以外の場合は日本側に裁判権があるという規定になっていたのが問題であった。

 要するに米軍兵士が、公務中に交通事故を起こしたのは、米国側で裁けるが、休暇中に事故を起こした場合は、日本側に裁判権があるという事になる。しかし、当時の日本政府は公務外の米軍兵士の犯罪でも、日本政府が重要では無いと判断すれば、裁判権を行使しない事を米国側に伝えていた。

 困難な改定交渉成立という、名を取り実を捨てたのが苦渋の発言だった事が明るみに出たのが2011年の事であった。50年以上も日本国民に伏せられていた他にも課題はあった。「公務執行中」と言う言葉である。米国側は、2006年頃までは、軍属の第一次裁判権を実質放棄していたのであるが、その後米軍は軍属に公務中である事を示す「公務証明書」を発行する様になる。公務中であれば、日本側は第一次裁判権を行使出来なくなるからだ。

 ところが軍属は、米国最高裁判所判決により、平時に軍法会議にかける事を禁じられた為、日米どちらでも裁判が行われない事になってしまう。また、公務証明書が発行された中には、自宅に帰る途中に交通死亡事故を起こした、軍属の例もあった。米国側が主張する公務の範囲が広い事は、被害者側からすれば、納得に値せず不満の対象になっていた。この点が改善されたのも2011年の事であった。

 在日米軍で働く軍属の起こした事件・事故については、公務中であっても、米国が刑事訴追しなかった場合には、日本で裁判が出来る様に日米地位協定(1960年の新日米安全保障条約に基づき締結された地位協定。日米行政協定を改定。)の運用を改善する事で日米両政府が2011年11月に合意している。その後も日米地位協定の見直しは日本政府が抱える問題だとして、野党側の追求を度々受けて来たがその後の進展は米国大統領の変化や、日本の政権変化などにより、棚上げされて来た。とは言え、日米地位協定の改善は少しずつ前進してはいる。首脳級のレベルでは。

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