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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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旧軍の名残

 旧軍とは、大日本帝国陸海軍の事を指すが、よく使われるのが旧日本軍や、旧というフレーズで歴史の教科書ではお馴染みの言葉である。古いか新しいかという事で使うのか、日本軍という組織を悪者にしたいのか、はたまたその両方なのかはっきりしない。

 では、旧軍があるなら新軍があるのか?という様な素朴な疑問が生じてくる。陸海空自衛隊は新軍に値するのかという論戦は、戦後長らくタブーとされてきた。だが、明らかに陸海空自衛隊は戦力であり、日本国憲法の目指すような戦力の不保持にはほど遠い状況だ。

 そもそも、合理的だからと大日本帝国陸海軍人の登用を早々と決定し、日本海軍の多数の艦船を使用している時点で、旧軍との決別など名目に過ぎなくなっていた。平和憲法と自衛隊の存在というねじれ現象が発生したのは、寧ろ自然な事で、軍事力なしの平和など有り得ない話なのである。

 平和憲法(日本国憲法)が日本弱体化の重しとして機能していないのは、誰よりも日本国民が理解している事である。よく護憲派の人間は憲法の改正をすれば直ぐに戦争をしたがると主張する輩が多いが、一体こんなに経済が疲弊し、人員不足の自衛隊が、どこの国と戦争を一戦交えようと言うのであろうか?

 そもそも論として、法律や憲法というものは、人間が理性的になれるブレーキ、あるいは円滑なエンジンのどちらかの役割を補佐するべきものであるべきであり、それらが変わっても、直ちに戦争を起こすほど愚かではないはずである。大義名分も無しに戦をおっ始めるなど、武士道に大きく反するものである。

 話が逸れてしまったが、大日本帝国陸海軍の名残というのは、技術というソフト面も兵器というハードの両面に存在していて、防衛庁・自衛隊の発足時点では、まだまだソフトもハードも旧軍の遺産に頼っていたのが現状の様である。かといって、この自衛隊が、軍国主義の天皇万歳の軍隊にはなっていない。

 極端な精神主義で、無謀な策をとっていた大日本帝国陸海軍のイメージがどうしても残りがちであるが、健軍して約90年。いつもそんな調子だった訳ではない。寧ろ、崩壊した昭和の陸海軍も、明治時代に、当時世界最強のロシア海軍バルチック艦隊や、ロシア陸軍を破った明治陸海軍もDNA的には同じである。勝った明治が良くて、負けた昭和が駄目だったという短絡的な考えは、未熟であると言わざるを得ない。

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