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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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鬼畜米英も今は昔

 黒沢は鬼畜米英も今は昔の事だなと、しみじみ思った。戦後、日本は自衛隊と日米同盟を国防の基軸として、米国陸軍や米海兵隊とよく合同演習をしていた。演習をしていて思うのが、よくこれだけの練度を持った国と、戦争する気になっていたのだなと言う事であった。

 米国陸軍はただの寄せ集めではない。米国の中から選ばれた士気の高い"アーミー"である。そして彼等は「鬼畜」等では無かった。米国兵士も、英国兵士も皆、心を持った一人の人間だった。笑う事もあれば、泣く事も怒る事もある。合同演習をする度に、黒沢はその想いを強くして行く。

 黒沢は米軍の多くの兵器が、日本の自衛隊の保有している兵器とでは、米軍の兵器の方が遥かに優秀であり、日本は米軍を目指す事はあっても、米軍を抜き去る事は出来ない、多分無理だろうと感じていた。その意味でも、日米同盟を選択(選択も何も日米同盟一択だったが。)したのはクレバーな選択であった。

 東西冷戦が激化して行く中にあって、核兵器も通常戦力も、持てないと言うのは、現場の自衛官にしてみれば、心もと無い事であった事は確かだ。ところが、日米同盟があるだけで、日本は米国の核の傘に入り、水を得た魚の様な気分になるのは、黒沢だけではない筈だ。時代は、刻々と流れている。今の日本が他国との戦争をしないで生存していられるのは、日米同盟があるからだ。

 大国に囲まれた小国日本が生き残って行く為には、そうした大国と組む戦略と言うのは、スマートな選択である。日本独自に影響力を公使していきたいところだが、その失敗は大東亜・太平洋戦争で懲りている。今は米国と組んでいるが、未来永劫そうであるとは限らない。将来的にロシアや中国と組む戦略も無きにしもあらずである。日本と言う国家にとって、どのチョイスが良いのか日本国民一人一人が考えてみても良いだろう。

 未来の事はさておき、戦後間もない自衛隊の脅威は、ソビエト連邦であった。日本は半ば強制的であったが、世界の盟主である米国と組まざるを得なかった。これが日本の戦後間もない防衛戦略の基軸となって行く。ソビエト連邦ロシアの対日戦略云々よりも、日本が必要以上にビビっていたのは確かだ。核の傘を突き破る核戦力をソビエト連邦が保有していたのは確かだが、日本人には日露戦争や日ソ中立条約の破棄など対ロ戦略では苦い経験しかしていなかった事を見に染みて感じていた。北海道にロシア陸軍が攻め込んだら、陸上自衛隊はどう戦うか、海上・航空自衛隊はどう援護すれば良いかだけを考えていた。

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