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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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二つの組織①

 大日本帝国陸軍と陸上自衛隊。黒沢徹男は、二つの組織で、士官(幹部)としてその任を務めて来た。どちらかの組織が良くて、どちらかの組織が悪いかと言う様な事を黒沢は思ってはいない。しかし、彼は思う。こうも基軸となる憲法に違いがある中で、一体どこまで国を守る事が出来るのかと。

 大日本帝国陸軍の時代にやっていた事が、陸上自衛隊では出来ない。そう言う事もあった。二つの組織とも、日本を防衛する為の実力組織である事実に、変わりはない。黒沢は黒沢なりに、二つの組織の根本的な違いを肌で感じて来た。一人の士官として、思うところを述べたところで何も変わらないかもしれないが、想いは後世の我々が防衛問題を考える上で充分な資料と成り得る。

 兵力の違いや、装備の差はあれども、黒沢は二つの組織は同一の事をやっていると言う認識であった。小銃の使い方を学び、大砲や戦車の扱い方も学ぶ。そして行軍をする。実際に大日本帝国陸軍の伝統やならわしと言うものが、陸上自衛隊には沢山残っている。

 黒沢の様に、大日本帝国陸軍の解体に伴い陸上自衛隊に鞍替えした人間は相当数いて、草創期の自衛隊を支えた事は以前に述べた通りである。彼等の多くが、自分は軍人であり文民ではないと言う認識がある。法的には、自衛隊員は特別職国家公務員と言う、公務員の立場にある。精密的に言うなれば、軍人に非ず。その辺りの認識の違いとギャップの矛盾が、あると言える。

 自衛の範囲を越えるモノは全て違憲。その為自衛隊では、どこまでが自衛かと言うラインを自ら引いている。しかし、近年そのラインの拡大が、止まらない。違憲ラインの兵器を持たないのが、自衛であり、このライン引きは非常に曖昧である。現場の幹部が頭を悩ませるのはここにある。分かりやすい例えが海上自衛隊にはある。空母の保有は認められていないが、ヘリ空母なら自衛の範囲内である。そして、次に垂直離着陸機(F-35B)の運用も自衛の範囲内として、護衛艦かがと護衛艦いずもの甲板改修まで行って運用している。と言う現状がある。

 これは事実上の憲法違反兵器の運用なのに、与党はもちろん、あの共産党ですら機関誌赤旗で取り上げないざまである。違憲だから直ぐに止めろとは言わないが流石に護衛艦かが、いずもの空母化はやり過ぎである。垂直離着陸機(F-35B)は明らかな戦闘機であり、日本国憲法の規定する保有禁止の攻撃型空母に該当する。とは言え、海上自衛隊ではヘリ空母としても運用可であるとして、かが、いずも両護衛艦は空母ではないと言う認識だ。近い将来日本の安全保障環境が激変し、日本国憲法を改正して全ての兵器を保有可能にする日が来るかもしれない。

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