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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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西部方面隊

 西部方面隊の守備範囲は、思いの外広い。1972年に沖縄が本土に復帰すると、九州地方だけだった西部方面隊の守備範囲がかなり広がった。最近では離島の多い南西諸島の防衛にも、人員を割かれている。西部方面隊は対中国、対朝鮮半島の最前線に当たる。西日本の守りの要と言っても良い。

 最大の懸念事項は、中国海軍の動向だろう。尖閣・沖縄ラインで攻め上がってくる事が大いに予測されるだけに、日本政府は西部方面隊の人員及び装備を強化している。しかし、二個師団程度の西部方面隊だけでは、自衛隊の総兵力(約30万人)の10倍近い兵力を持つ人民解放軍には歯が立たない。最も、攻守3倍の原則により、在日米軍の援護があれば、ある程度の兵力なら跳ね返せる力はある。西部方面隊の守備範囲には、とにかく島が多い。

 島が多い事を利用した"不沈空母化計画"も出来なくはないが、現状ではそうした戦略を使ってはいない。それ以前の問題として、相対的に戦力が圧倒的に足りていない。事実、どの方面隊も人員が足りていない。陸上自衛隊のほとんどの戦力は、本土防衛を主としている。その為、少ない戦力をやりくりし、いざと言う時に離島防衛にも人を回せる様な体制はとられている。

 日本の地理的状況を考えると、全地域にくまなく防衛行動をとるのは、物質的にも無理がある。そうは言え、防衛戦略上北海道と沖縄はきちんと守らねばならない。とは言え、沖縄には在日米軍の75%が集中している。日本が軍事的空白を作ってしまったが故の負の遺産だが、現状在日米軍の穴を埋められる実力を自衛隊に持たせるのは、無理がある。

 とは言え、沖縄県民はこれまでの米軍のふるまいにただならぬ怒りを持っているのは事実である。在日米軍の完全撤退は地政学的にも現実的な選択肢では無いが自衛隊がその穴を埋めると言うオプションも0ではないだけに、沖縄県民の在日米軍に対する関根の怒りを鑑みると、在日米軍の撤退は地元住民の悲願ではある。日本国に駐留する米軍の約75%が沖縄本島に集中しており、基地負担の軽減は1972年の沖縄国土復帰以来の政治的課題である。しかし、現実的には沖縄に米軍がいる事によるメリットの方が遥かに多いわけで、沖縄県民と日本本土の国民の考え方には、どうしても解離があるのは現実として存在する。沖縄に駐留する米軍のほとんどは海兵隊である。よって陸海空軍の主力は日本本土にいる。米軍が沖縄にいる事に意味があり、沖縄本島を二度と戦火にさらさない。そう言う信念はある。

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