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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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米国の思惑

 米国の占領政策から戦後日本の関わり方を見ていると、一貫している事がある。それは米国の影響力を残しながら、適切な兵力を日本に駐留させている事である。終戦からしばらく5~6年の間は、陸軍主力の言うなれば治安維持+武装解除に力を入れていた。

 ところが、朝鮮戦争が勃発すると、海軍の重要性がクローズアップされる。朝鮮戦争が休戦状態になると、米国は在日米陸軍を米国本土へ帰して、日本には海軍や海兵隊を駐留させ始めた。この米国の施策は今も変わっていない。

 米国は、自衛隊という日本国憲法に、触れるか触れないかのギリギリのラインで、米国の極東戦略に有利になる部隊を、作るように日本政府に指示をして、必要以上に米軍を駐留させる必要はなくなった。そう、自衛隊はあくまで米国の極東戦略に有利になる為の産物でしかなかった。

 朝鮮半島に近い沖縄は、1972年まで米国の支配下にあったが、ソ連や中国に牽制をいれる為に、日本の施政下に置かれる様になった。戦後日本が戦争に巻き込まれなかったのは、米国の巧みな軍事戦略があったに他ならない。無論、米国が第一に守るべきは米国であり米国民である。わざわざ米国本土から遠く離れた場所に、戦力を置いておくのは理由がある。

 不安定な弧の東側と言う地政学的位置的も去ることながら、世界の火薬庫である東アジアの島国である、日本と言う最大の同盟国を思いっきり利用してやるぞ、と言う思惑は明らかに現れている。歯向かう敵は多い米国であるが、日本は味方にすることに成功した初めての国と言えるだろう。

 自衛隊誕生と米軍の日本駐留は、そうした思惑が絡まっていた。米国の利害と日本の利害が合致したからこそ、今日の良好な日米同盟があるのであろう。沖縄県は日米同盟の主軸であり、縮図である。まぁ、そんな事は沖縄県民には関係無い話で基地撤去を求めるのは当然であり、仮に米軍が沖縄県から撤退(現実的では無い話にはなるが。)したならば自衛隊が穴を埋めるだけの話で、真に沖縄県民が求める基地返還は現状不可能と言う事になる。中国の台頭や北朝鮮の状況を考えると沖縄の非武装化は絵に描いた餅である。沖縄戦を知らない世代が台頭していく中でやはり、日米同盟の主軸である沖縄県は日本の施政下にある中でも米軍の治外法権下にあり、現実的には米軍有利の状況は変わらない。米国としても抑止力を維持する為には、欠かす事は出来ないと理解しているはすである。

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