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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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日本程の国が③

 日本人自身が、誰よりも先ず復興してやろうと意気込んでいたのは、確かである。そうでなければ、あれだけの短期間で経済成長は出来ない。例え戦勝国の言いなりで、その枠組みから抜け出せなくても、である。日本人は強い。地震、雷、火事、津波、台風等の自然現象に翻弄されながらも、日本人は必ず復興して来る。それは、戦後も同じであった。

 日本は自存自衛の為に自衛隊を持つ事により、非武装平和の虚言を証明した。日本程の国が、と心の中で思っていたのは、他でもない日本人であった。敗戦に引きずられて、沈んで行く事を、恐れ許容出来なかったのは、紛れもなく日本人であった。

 日本の体制は戦後大きく変わった。無論、米国と同盟を結んだのはそうなる運命にあったからである。しかし、それは日本を成長させる起爆剤となり、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言わしめる経済成長に集中出来たのは、米国と言う矛と自衛隊と言う盾の役割分担がしっかりして機能していたからである。

 とは言え、日本人のど根性は大したものである。戦後の日本は"米国の犬"と揶揄される事もあったが、それでも日本人はたった五年で(沖縄を除き)占領状態を終わらせ、独立を回復している。戦前・戦中の日本人が悪い事ばかりしていたわけではない。日本に批判的で、悲観的な評価はあって然るべきだが、それは氷山の一角に過ぎない。

 日本は良い事もした。やるだけの努力はした。それに、日本の様に大きな体制変化を経験した国は歴史上少ない。皆、等しく混乱状態を経験するし、何よりもフラットでノーマルな状態を、取り戻したのは難しい決断をしているに違いない。と、総括すると、日本は戦後と言う困難な時期を、上手く乗り切った方であると言える。

 その理由は言うまでもなく、日本人が冷静かつ懸命にこの時期を過ごしたからである。日本人には、それが可能なだけの能力があった。と、言えるだろう。大日本帝国陸海軍が陸海空各自衛隊に変わっても、国民の肌感覚では同じであった。それを最も感じていたのは黒沢等元帝国陸海軍人達であった。

「結局この国の地政学的重要性を考えると非武装中立なんてありえないよな。」

「確かに名前も規模も違うが、必要最低限度の自衛力はこの国には、必要不可欠なんだよな。と言うか自衛隊なんて日本語考えた人ってワードセンス神ってるよな。」

「セルフディフェンスフォースって英語にした途端意味分からなくなるけどな。」

「単純に陸海空軍では受け入れられなかった事情は察して余りあるが…。」

日本語って凄いと改めて思った黒沢であった。

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