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そろそろ召喚やめませんか?  作者: あひる隊長
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国家的犯罪に手を染めたかもしれない若者の煩悶

やっとヒロインとの邂逅(涙)

 ランドルフ・マクファーン、淡い金髪に深い緑の目。人よりヒョロリと高い身長に表情豊かで整った柔和な顔。まだ少年っぽさも残っているが後数年も経てば確実に女性にキャーキャー言われるであろう…と言う外向きな顔と違い、内面は変わった家庭環境で育ったため少々複雑な少年と青年の狭間の15歳。


 父親は貴族、母親は平民。

 辺境伯の次男坊だった父は若い時から冒険者として成功していた。少し奢りもあったのかもしれない。単身で入ったダンジョンでちょっとまずい事になった。


 簡単に言えば死にかけた。


 そこで出会った長身の美女に助けられ、無事にダンジョンから抜け出せた。

 父21歳、母(長身の美女)18歳の時である。

 それから3年ほど共に行動し、父、5度目のプロポーズ成功で母と結婚したらしい。


 そんな両親の元に生まれたランドルフは生まれた時から強力な魔力を持っていた。

 赤ん坊の頃はよく部屋の中を破壊していたようだが、物心つく頃には落ち着いていたようだ。

 6歳からは王都の学校に行くようになったのでその頃には両親も冒険者を復活したが、もともと住処も宿屋を点々としているような有り様であったので、ほぼ辺境伯の伯父のもとで育ったようなものだ。年に数回の長期休みには伯父の元に帰っていた。王都の学校からの推薦もあり、2年の仮入団の後、そのまま王宮魔術師に入団した。


 伯父は自分の跡取りとなって辺境伯を継がない?と言ってくれたが、若い奥さんをもらった伯父にはまだまだ自分の跡取りが生まれる可能性があるだろう。それから手伝っても遅くはあるまい。

 それに、40過ぎた両親も好きなこと(冒険者)をして生きているのだ。居場所だけでもはっきりしている自分の方がまだマシだろう。


 学生時代は魔法ももちろん得意だが、座学も案外悪く無かった。気になる事はとことん調べてみたいと思うあたりは学者気質だったのかもしれない。

 ここ数年の興味の対象は『召喚』。仮入団して初めて召喚の儀式に参加した時、ふと思いついた疑問があった。


 アズール歴元年、召喚された『爆炎の魔術師』

 果たしてあの頃に今日第一師団長が展開した術式の様な複雑な物があり得たのだろうか?


 否だ。


 あの術式には無駄が多すぎる。勿論師団長も分かっているに違いない。

 あれは『これ程の術式を使わなくては召喚術は使えない』と思わせる為のフェイクだ。


 しかし、いつの時代からか儀式としてより、祭りの余興のような扱いで召喚が行われるようになった。

 いったいどれほどの事が正しく伝わり、そして()()()()()()()()()()()()()のだろうか?

 

 ランドルフは簡単な仮説を立ててみた。人の願う力と魔力量、勿論召喚者の資質もだが、魔術自体が(まじな)

 国が混乱の中にあった時、英雄になりうるものを切実に求めたのではないか?

 聖女の召喚に成功した時、疲弊する人々は何を望んだのか?


 全て願いが叶った訳ではないのかもしれない。召喚され、アズールの地に現れたのは神でも精霊でもない。強大な力を持つかもしれないが、歳を経ていく人間だったからだ。


 ランドルフは昨年、団長に注げるだけ魔力を注いでみた。団長の器からはみ出ないように、極力気付かれないように。


 強大な影が見えた。それを引っこ抜くイメージで力一杯引き寄せてみた。


 その結果はドラゴン召喚。


 ちょっと、楽しいかも…


 そう思ったのは昨年。



 今度はなるべく不純物を取り除くイメージで。澄んだ、澄んだ、まるで切実に望むものを引き寄せるイメージで。



 自惚れすぎだともう。自分一人にそれだけの力が有るとは思っていない。

 しかし確実に無関係ではない。



 (僕は一人の女の子を異世界から誘拐した事になるのだろうか?)


 心臓がザラリと嫌な音を立てたような気がする。


 どのような暮らしをしていて、どのような幸せを奪ってしまったのだろうか?家族は?恋人…はないか…

 (小さいし)

 

 ふと気付くと寮を通り過ぎて随分歩いてきてしまったようだ。これ以上奥に進んでは魔術師団員であっても衛兵に捕まってもおかしく無い。


 ランドルフは慌てて踵を返して戻ろうとししさた。

 すると目の端に入ってきたのはピンクの…


 「ドワー…ゲフッ‼︎」


 すごい速さで飛び込んできたソレに今度は一発飛び蹴りを食らわされた。


 「あんたは昼間の失礼な小僧っ子‼︎」

 「えーっと…聖女様、なんでこんなところに…」


 つい今し方まで考えていた当人が何故か目の前にいた。ピンクの髪をお下げにして、エプロンは付けてないもののどうやら侍女の着る黒いドレス…つまり昼間に着替えさせられた服のままのようだ。(ランドルフは着替えさせられた事は知らないが)


 「…さ、散歩よ!散歩‼︎…で、あんたは?」


 まさか、迷っていたのかと思ったがそうではないらしい。しかし、こんな時間に散歩?一応は貴人扱いになるのではなかろうか?


 「僕は第二魔法師団ヒラ団員のランドルフ・マクファーンと言います」

 「マクファーン?マクファーンって言うと…ラシナーン大森林近くの?」


 聖女様…チャチャが目をキラキラさせてランドルフを見上げた。

なんだか長くなってしまったので途中でアップ

携帯が水没して久しぶりにパソコンで打ってました(笑)

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