やり場のない葬式
棺も、坊さんもいない葬式に居た。
喪服を着た私を中心に、ひょろひょろと痩せ細り、薄い白髪の老人たちが囲んでいる。
彼ら、彼女らは、どこからやって来たかもわからない怒りを私に向ける。
それは口籠るかのような恨み言で。
恨みがましい目線で。
怒らせた肩や息で。
私を責める。
私を追い立てる。
あぁこれは夢だ、覚めねばならない夢だ。
私は不意に立ち上がり、眼前に広がる古い木の板が貼られた暗い廊下を駆け抜ける。
覚めてくれ、覚めてくれ。
そう願った先にあったのは。
死んだ祖母の家の居間だった。