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時空間転移術に関する講義


それでは、今回は転移呪術とその派生呪術について解説していくよ。

空間転移術は何処に注目するかで分類の仕方が変わってくるんだけど…そうだね、まずは一番シンプルな自己転移から解説していこうか。

基本的なところから確認していこうか。自己転移とは、今現在の自分自身を、任意の地点に、通常の移動よりも短時間で、移動させることだ。

そうだね、大体は「移動させるもの」「転移先の定義」「どのような手段で転移するか」このあたりを押さえれば分類できるかな。まあ、移動させるものというのは転移先の定義にも絡んでくるのだけど。

まずスタンダードなところで「自分自身」を「相対座標」で「原子置換」移動する術を解説しようか。術式の構成としてはシンプルだね。自分自身の現在位置を座標定義の原点、作用始点として定義、終点、この場合は転移先を相対座標でとって原子置換術式を発動する。

ん?原子置換術式そのものの解説が必要かな?

といっても、私はあんまり使わないんだよね、この方式。肌に合わないというか。まあ、理論的には単純だ。始点の物質を原子レベルまで分解して、終点で元通り再構成する。経路には自己が存在しないってのが合わないんだよね、俺は。

ついでだから他の方式も解説しようか。まず「引き寄せ(アポート)/発射(アスポート)」これは力の向きが反対なだけで、やってることは同じだね。対象を離れた位置からこちらに引っ張ってくるのがアポート、手元にあるものを遠くに飛ばすのがアスポート。

次に「座標移動」文字通り、座標を移動するだけ、なんだが、これは三次元座標のみではなく最低でも四次元、できれば十一次元くらいで座標を計算しないとならないから面倒なんだ。

それから、僕の一押しの「空間バイパス」座標移動の応用みたいなものでね。四次元転移に狭間の空間、虚数空間を挟むことで体感の移動距離より大幅に長く実移動距離を伸ばすことができるんだ。難点は、事前準備なしで虚数空間に入ると九割の人間は変調を起こしたり消滅したりしてしまうことだね。

では次に座標定義について説明していこうか。座標定義は大きく分けると、相対座標と絶対座標にわけられる。どちらが使いやすいかは状況によるね。相対座標というのはそのまま、基点からの相対距離で座標位置が決まる。移動距離に着目した定義だ。逆に絶対座標というのは、目的地点の座標を事前に定義して、距離や位置取りを無視して向かう。目的地ありきの定義だ。

ただし、厳密に言うと、絶対座標と言われるものも相対座標になる。何故なら、現在地からの距離でなく座標を定義するには現在地以外との相対座標にならざるをえないからだ。逆に、相対座標転移は基点位置からの絶対値で座標を決定するから、厳密にはこちらが絶対座標だともいえる。

まあともかく、目的座標の定義というか、計算だね。これは主に地球上の一点として計算する方法と、宇宙空間の一点として計算する方法がある。後者は必ず四次元、時間軸上の計算が必要になる。そして、時間軸の定義が必要になるということは、当然、時間軸上の移動も可能になる。

そもそも、通常の移動では不可能な距離の移動をしている時点で、広義の時間移動を行っているともいえるんだがな。物体は光速を越えることができないという物理学の法則がある。つまり、光速を越える距離の移動は時間移動でもある、ともいえる。

ここで転移事故について触れておこうか。読んで字のごとく。転移の際起こりうる事故だ。まず、一番多いのが衝突(コリジョン)。転移先にあった物質にぶつかってしまうこと。ただぶつかって痛い思いをするだけならマシな方。場合によっては存在が混じったり埋まったり…まあ色々拙いことになる。対策としては、転移先を何もない空中にするというのがベターかな。死なない程度にね。

次に空間バイパス時の虚数空間対策不足。下手すると帰ってこられなくなるから、まあ慣れない内はガチガチに対策しておく方がベターかな。

それから座標定義ミスによる迷子や漂流。こいつはもう、座標計算を正確に行う他ないかな。あるいは、転移先で自己座標を観測計算する技術を上げて、帰ってこられるようにするとかね。

原子置換転移における再構成失敗は…まあ、字義通りだね。

とまあ、そんなところで、それじゃあ、具体的な座標計算式の解説からしていこうか。まずは地球上の一点、北極点を原点とする三次元座標から始めていこうか。




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