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敵はほぼ壊滅していた。ゴミだらけの戦場の真ん中に、消灯した機械月が浮かんでいた。
味方は淡路島空母まで後退していた。帯刀機と星美機の輪光は消えたままだった。
残りの敵も帝釈天星の軌道上まで後退していた。艦載機は全機発進済みだった。
カンフー機の背中の輪光が輪宝紋に変化した。
カンフー機と全翼機部隊は前進した。
了介機は中間地点の機械月を突破した。
全翼機部隊は機首から巨大胡蝶蘭を咲かせた。胡蝶蘭は縄文ミサイルとオレンジビームを発射した。最後は本体がオレンジ色に炎上して、炎の戦輪に化けて飛んでいった。
了介機は正面から胡蝶蘭攻撃に飲み込まれた。
了介機は乱れ飛ぶ炎の合間を飛んだ。金色の光が下方から接近してきた。
了介機は何もない所に大車輪キックで飛び込んだ。
カンフー機は黄金のビームサーベルを抜刀して切り込んだ。カンフー機がサーベルを振り下ろす直前、大車輪キックが飛んできて右手首を蹴った。
カンフー機は後ろにのけぞった。了介機は素早く背後に回り込んで、距離五十メートルから銀ビームを肉薄射撃した。カンフー機は全身から金粒子を放出してビームをかき消した。
了介機は加速して帝釈天星へ向かった。
カンフー機は粒子を放出し続けた。粒子の一つ一つが蓮の蕾に変化して、そこから大小の仏像が生まれた。仏像軍団は了介機を追った。
帝釈天星から豪風部隊がやってきた。了介機は前後を大軍に挟み撃ちされた。
了介機は縁日のスーパーボールの動きで宇宙を激しく跳ね回り、銀ビームの肉薄射撃で全機叩き落とした。
後続の仏像軍団は互いに寄り集まって、帝釈天星より大きい上野の大仏生首に化けた。大仏生首は口を大きく開けて、帝釈天星を噛み砕こうとした。
了介機は足を止めて大仏生首と向き合った。
了介機の両手が銀色に燃え上がって、駆逐艦ソード一本が現れた。駆逐艦ソードは炎上、増殖を繰り返して、大量の駆逐艦ソードが寄り集まった巨大菩提樹となった。
了介機は駆逐艦菩提樹を全力発射した。銀ビーム、化仏ミサイルが大仏生首の口に打ち込まれた。
帝釈天星の敵艦隊は、了介機の無防備な背後にミサイルを全力発射した。
了介機の背中から、銀色の粒子が大量放出された。
敵ミサイルは銀粒子の霧に突っ込んだ。尻尾の紫の光が銀に変わった。敵ミサイルはクロールのクイックターンの動きで反転した。
銀粒子にハックされた敵ミサイルは敵艦隊を攻撃した。敵艦隊は自分で打ったミサイルで壊滅した。
了介機は駆逐艦菩提樹の舟形光背ビームサーベルを起動した。銀色の光の刃が寄り集まって、一本の巨大な剣となった。了介機は菩提樹ビームサーベルを振り下ろして、大仏生首を一刀両断した。
カンフー機が正面から突撃してきた。了介機は菩提樹ビームサーベルを振り上げた。カンフー機は片手突きを打ち落とした。小さな刃の一突きが、巨大な菩提樹ビームサーベルをVの字に叩き割った。
了介機は上昇後退しつつ、銀色のビームサーベル二本を起動した。カンフー機は加速急上昇で頭上を取り、上段の構えで急降下突撃した。
カンフー機は上空から全力でビームサーベルを振り下ろした。了介機は二本のサーベルをクロスさせて何とか受け止めた。カンフー機はくるりと縦回転して、脳天にかかと落としを打ち込んだ。了介機は帝釈天星まで蹴り落とされた。
艦隊の残骸は炎上、崩壊しながら帝釈天星へ落下していた。了介機は態勢を立て直して残骸の中に逃げ込んだ。カンフー機は追撃した。両機の輪宝紋が薄くなり、速度が落ち始めた。
残骸の一部はなおも戦闘能力を保っていた。戦艦の残骸は半狂乱で対空弾幕を打ち上げてきた。了介機はエルロンロールで飛び抜けて、野球場ほど広い空母甲板の残骸に着地した。
カンフー機は巡洋艦の残骸に着地した。
両機は残骸に乗ったまま大気圏に突入した。




